(政治・経済)

1) ピニェラ政権
新政権が発足して2週間目です。「意外」と言うと顰蹙をかうかもしれませんが、20年も左翼政権が続いた後、急に右翼政権に替わったのに、すべてが、地震の大問題を抱えているのに、しっかりした出発振りを見せています。チリって人材が豊富なのですね。今までと全く違った顔が夜のニュースに政府要人として出てきますが、ちゃんと役目を果たしているようです。混乱した様子は全くありません。
一番最初の国会対策は国民への3月ボーナスでしたが、下院で危なげなく成立。左翼連盟も反対しませんでした。
さてそれより重要な問題はもちろん地震対策ですがその費用をどこから出すかが問題です。可能性としては増税、消費税のアップ、国が持つ外資を売却、鉱山会社にローヤリティ税をかける、国債や外国からの借り入れるなどの借金が考えられます。もちろんどれを選択しても、それに影響されるところから反発が出るのは必至です。そのほか国が持っている幾つかの会社の株を売ることで7億ドルが見込まれます。例えば、国有石炭会社、アンディーナ水道、イキケ・フリーゾーン、太平洋鉄道など。
どの選択をするか、どれだけの金額が当面必要か来週中にも決まるかもしれませんね。
しかし経済一般として株式市場が下降、ドルの為替が上昇と、先週とはやや趣をことにしています。銅価は高値で安定です。

2) 与党側からの要求
与党第1党のUDIはピニェラに各種の要求を出しています。例えば今週、就任したばかりの8州の州知事ステッグメイエルがディグニダ・コロニーと密接な関係を持っていたことが明らかになったので、その職を解かれた問題です。軍事政権と深くかかわっていたそのドイツ・コロニーは左翼系の人間の拷問や虐殺にかかわったとして問題になりました。そこの責任者はそのほかにも年少児に不適切な性的行為を行っていたと訴えられアルゼンチンに逃亡しましたが、最後は逮捕されました。その組織と彼は深い関係にあり、マネーランドリーにもかかわったという容疑も出ています。それが明らかになったので政府は仕方なく職を解いたのですが、UDIは就任までに分からなかったのかと問いただしているわけ。その他にも大統領就任までにすっきりさせると公約していたランチリ航空の株の販売やチリビションTVの経営権などが解決されておらずそれは政権運営にマイナスの要因になるとしています。

3) ボリビア問題
ピニェラが任命したボリビア領事が以前に発言したことが問題になっています。それは「ボリビアとの間の外交関係で最も良いのは関係を持たないことだ」です。
しかし32年前からボリビアはチリとの外交関係を絶っており、(近年になって外交関係正常化の兆しはあるが)新領事の発言は特に反ボリビアと見られる必要は無い。とにかく隣国に大使館がないのですからね。近年、ボリビアから算出される天然ガスが重要性を持っていますが、チリには売りたくないと言うほど・・。ボリビアの海問題を棚上げして、関係の正常化は無理でしょう。

4) 社会党の総会延期
今月予定されていた社会党の全国大会は6月まで延期されました。地震がなくても現在、次期党首を選定するのはかなり難しいでしょうね。今のままでは国民は左翼、社会党を受け入れないのははっきりしています。別れていったマルコ・エンリケ・オミナミを呼び戻し、彼を頭にするかな?
それから民主化以来、キューバの援護をしてきたチリ社会党はここに来て態度を替え、政治犯の釈放をキューバに要請しました。時代は変わるですね。

5) バチェレットのニュースは全くメディアから消えました。彼女は元側近とも連絡を抑えてしまっているらしい。突然、その彼女の記事が出ました。それは今住んでいる家を出て、子供の住む家の近くに引っ越すというもの。まぁ家族的になるわけですね。やめる前、あれだけ人気の高かった彼女が普通のおばさんに戻るのか、社会党などの左翼がなおも彼女を必要とするのか2−3ヶ月もすれば分かりますね。