(政治)

1) 軍事政権が終了してから,これまで無敗で4代続いた連合政権が敗北という結果に終わった大統領選挙ですが、私が先週書いたように大きな混乱なく野党側にバトンタッチがされそうです。選挙の翌日、バチェレット大統領はピニェラの私邸を訪問し、朝食を共にしながら3月の政権交代までのスケジュールを話し合ったようです。軍部のトップ、裁判所関係者、各種の教会トップと、引きもきらず表敬訪問。勝てば官軍でしょうか。
ただ最後の討論会で、ピニェラはべネスエラには民主主義はないとコメントしたが、それを取り上げて、チャべスは一人の資本家がチリの政権を取ったようだが、彼のような金持ちには労働者を大事にするべネスエラの実情は理解できるはずがない、他国へのいらぬおせっかいはやめるべきだねと逆襲しました。
3月の政権交代で、コデルコ、TVN国営テレビ、国鉄など国営各社のトップが交替しますが、与党のメンバーはその時、野党になってしまったという実感がするでしょうね。
ピニェラの政権の閣僚候補者名が出始めました。
2)さてチリ政界に波が立ち始めました
与党グループの最小政党たるラヂカル党が野党(3月から与党ですが)グループと接触、密約を結びつつあったが、それがばれました。同党は造反の疑いで、与党政権から破門騒ぎになりましたが、党首の辞任でなんとか大地震は回避されました。しかし選挙が終わったとき、これで連合政権は壊滅したと、自分たちで発表したのに、ラヂカルは裏切り者だとするのは矛盾している気もします。まだ連合は生きているのかな?
思ったほど派手な騒ぎはありませんでしたが、社会党の党首エスカローナがとうとう辞任、元労働大臣アンドラーデがその責につきました。そしてそれが更に若い党員に代わりそうで、世代の交代が一気に進みそうです。アラテやオミナミなどのかっての党員に、もし戻りたければ社会党の扉は開かれていると言っていますが。古いリーダーで残っているのはキリスト教民主党の党首だけです。
元大統領のラゴスがリーダーシップを取ろうと各種の動きを見せているようですが、老齢だけに(71才) 候補者にはなれないが自分の息がかかった人間を大統領にしたいのでしょうね。こういうのを院政って言うのかな?しかしピニェラ新政権になってから、かって彼の実行したトランサンティアゴ、プエルト・モンまでの国鉄延長、チロエ島への架橋などいくつものエラーに関連するスキャンダルが表に出て、彼の隠れた姿がはっきりされるはず。院政願望もそこまででしょうね。
私の見るところでは与党グループ連合は崩壊し、新党が出てきて、それが今回の選挙で第3の目となったマルコ・エンリケスとどう連合を組むかになるでしょう。つまり、この先は3グループの争いになるはずです。
ピニェラは今回勝ちましたが、別にチリ国民が中道左翼から右翼に考えを変更したのではなく、たまたまなフレイが人気のない候補者だったことと、汚職、犯罪の増大などで長期政権が飽きられただけです。私のように1次はマルコ、2次はピニェラに投票した人間が今回の政変を作り出したわけで、私もチリの風を代表している気がしています??
3)フレイの経済問題
あえなく敗退して逃避色の濃い彼ですが、海外での長期休暇をする前にやらなくてはいけない問題があります。彼の政治キャンペーン中の費用の支払いで、何でも何億ペソ分が未払いになっており、裁判沙汰になりそうです。彼の名前はディコム(未払い者リスト)に記載されています。これに名前が出るともうチリでは就職も新規借入金申し込みも可能性はありません。フレイは自分の支払える金額を越えて借金をしながら選挙運動をしたのでしょうが、彼の支持団体が支払い不能なら、彼が自腹を切る必要があります。彼のポスターを作った小企業のオーナーがテレビカメラの前で11月から不払いが続き私の会社は倒産寸前と泣いていました。