(政治)

1) もちろん今週のチリの話題は大統領候補討論会です。討論会の前に突然、5人の候補者の中の一人ナバロが脱退宣言。彼の作ったMAS党の内部で激論となり、最後はかなり揉めたようです。当然でしょうね、それまで全力で応援してきたのに突然目標がなくなるなんて。
討論会は障りの無い発言が続いていましたが、フレイが突然、世界透明委員会のレポートで糾弾されている人間が大統領候補になるのはいかがなものかと爆弾宣言。何をベースにこの発言が起きたか、分からなかったピニェラはフレイに許しがたい発言とし謝罪を要求しました。フレイはその世界組織に報告するチリのレポートを極秘に入手し、ピニェラも知らないうちにこの発言をしたのでしょうね。ピニェラは一般投資家が入手できない情報を手にする可能性が高くそれを利用して利益を上げているというのがクレームの趣旨のようです。しかし翌日からの調査で、そのチリ側委員会は正式にピニェラを糾弾しておらず、委員会の正式レポートとして発表されたものではなかったようです。結局、フレイのスタンドプレーのようで、ピニェラを追撃するためには何でもするということでしょう。
私はこの二人にはほとんど魅力を感じません。両方とも嘘くさいです。それより他の二人、エンリケ・オミナミとアラテのほうがのびのびしていました。この週、もう一度同じ討論会が女性グループの主宰で開催され、そこで年齢のことを質問された4人の中でもっとも高齢のアラテは、「私の母は95歳ですが、まだしっかりしています。ですから私もまだ将来のある若い年代と考えます」と発言して拍手を浴びました。討論会の前まで世論調査で1%の支持しかなかった彼は、討論会のおかげですぐに4%までアップしました。
もっともノビノビしていたとか、ユーモアがあったなどは討論会の本質ではなく、今回の討論会では4者の間の議論はほとんど無いにも等しいとする厳しい意見もあります。またフレイ、ピニェラ以外の候補者は政権を担当するチームが背後に無く、いくら選挙で多くの投票を得ても実際には大統領には就けないとするコメントも出ています。

2) ところでバチェレットがニューヨークに飛んで国連総会に参加しました。もちろん話題を呼んだのは彼女の演説よりカダフィでしょうね。もう引退したのかと思っていましたが、老齢にもかかわらず言いたい放題だったようです。べネスエラのチャべスも大舞台に立つと役者ぶりを発揮、全く上がることなんかないのですね。演説練習をしなくてもアドリブで世界の目をひきつけるみたいです。
日本の首相も早速オバマ大統領と面談したようですが、鳩山は確かに以前の首相とは違うみたいです。
ところでバチェレットはニューヨークで小野洋子さんにチリの勲章を授与しました。バチェレットもビートルズファンだそうですが、70歳を越えた小野さんの元気な様子は素晴らしいですね。
バチェレットは一度チリに戻り、再度べネスエラの南米・アフリカ国際会議に出席しました。任期終了間際なのに獅子奮迅の活躍ですね。そこで彼女は、「昨年来の世界経済危機を脱出するのにチリで国家が果たした役割は大きい。すなわち小さな政府が望ましいとして、自由経済が世界をリードするとする考えが必ずしも正しくないことを証明した。」さらに彼女は地球温暖化の問題に触れ、「この問題はわたしたち(南米)にもあなた方(アフリカ)にも大きく影響するが、この問題の根源は先進国の無責任な工業推進にあることをはっきりさせたい」としました。なんだかチャべスのコメントみたいですね。
この会議ではカダフィは大人しかったようですが、2年後のこの会議は彼の本拠地で開催されるので、そのときまだ彼が政権を握っていたら、何時間でも話し続けるでしょうね。
でもバチェレットが強調した地球温暖化って、本当ですか?後進国の工業化を妨げるのが目的かなとも思われるし、全く逆に地球の寒冷化が来るという意見も出ていますが。工業の発展で二酸化炭素が排出され、それで気温が上がるというのが正しければ、北半球の温度が南半球のそれより上がりそうですけれど。
ところで、この会議中に、アフリカ代表の一人が手を上げて「議事進行とは関係ないのですが、室温を少しあげてもらえませんか?寒くて困っています」と要請。笑ってしまいますね。べネスエラは高級ホテルの室内とか、バスの内部の温度を極端に低く設定します。外の温度が30度の時でも、バスに乗るときセーター、ジャンパーを着ていなければ泣いてしまうって本当ですよ。
バチェレットは10時間だけべネスエラに滞在してすぐにチリにとんぼ返り。ビーニャで開催される国際競争力委員会の会議に出席しました。