(政治)

1) アルゼンチンのバリローチェで臨時南米首脳会議が開催されました。アメリカがコロンビアに建設する軍事基地に関する事項が中心議題でした。コロンビアのウリべ大統領はアメリカの支援を感謝し、同国に存在する強力な麻薬マフィア、極左組織と対峙している同政権には必要不可欠なものとしました。これに対し、隣国べネスエラのチャべス大統領はヤンキーの南米侵略の足がかりになると軍事基地を強く批判しました。コロンビアはべネスエラとエクアドルの間に位置していますが、その両国はチャべスの戦略で動いているわけで、国境問題があれば両面からコロンビアに攻め込むのは明白。これを嫌うアメリカが友邦コロンビアに援護の基地をおくのは当然。こういうシナリオです。会議の結論は、「結論を出せなかった」が結論。問題点が明白になっただけで、どちらも他国の明白な支援を得られませんでした。チリのバチェレットは基地の設置に関して、透明さを訴えましたが、迫力はなし。会議の後の記念写真はどこでも撮られますが、これをウリべが拒否し、アルゼンチンのキヒネル大統領が捜しにいって連れてくる一幕もあったようです。
しかしブッシュの時代ならともかくオバマが以前と同じ戦略をとるのは不思議な気がしますが、彼らよりもっと上層にいる人間(もしくは組織)がブッシュにもオバマにも同じ指示を出しているのでしょうね。しかしアメリカの存在を強化すると見せて自滅的な行為をするのはアフガニスタンでもイラクでも行われていますが、これを南米にも導入するのかな?こうして財政的には破滅しつつある国が更なる浪費をし、そしてその地区の人民に忌避されていく・・・アメリカ一極化から世界の多極化への移行を望むグループがアメリカを牛耳っているわけですね。
じつはこの大問題に陰に隠れましたが、チリとボリビアの大統領が40分間、個別に会談し、ペルー対策問題について話し合いました。ペルーのガルシア大統領は両国(とくにボリビア)を攻めることで国内問題から国民の目をそらそうとしている気配がありますが、こうしたペルーの作戦に乗らず、これからも地道に話し合っていこうとなったようです。またペルーは「チリは軍事費を拡大し、軍事強国になろうとしている」と批判していますが、これに対しチリの軍事大臣は、その批評は全く当たっていない。なぜなら戦車、戦闘機をはじめとする昨今の装備の充実は、拡大でなく更新としました。戦車の場合、第2次世界大戦時の古い戦車がまだ保有されていた例もあげています。まさかチリ陸軍の戦車がすべて50−60年前のものだったとは思えませんが、チリ人って物持ちが良いのですね?

2) 大統領選挙の件は目立った動きはありません。もちろんレベルの低い争いは毎週のことです。話題になったのはピニェラが「私が大統領に就任したら貧困階級に4万ペソの支給をしたい」としたのと、彼のマスコミを含めた派手な宣伝にかかる費用を聞かれた際、桁の違った額を回答し、後でそれを指摘されると街頭宣伝の費用を回答したものとし疑惑を残しました。彼が他の候補とは桁はずれた額をつぎ込んでいることを暴露したわけですね。
一方、フレイはもう自滅作戦のようです。与党連合の4党首との宣伝写真を撮影しましたが、それを自軍の広報担当が、「写真を撮ることで1歩前進したが、写真を撮るために譲歩することになったので2歩後退」とコメントし、社会党党首を含めあちこちから批判を浴びました。このためフレイはこの広報担当者に部外にコメントするのは控えるようにと異例の指示を出しました。広報が部外者にコメントできないのなら何の仕事をするのかな?
またフレイは地域の集会でマプチェ代表を招き、今までの政府はマプチェ対策に力が入っていなかったと異例のコメント。これって自己批判なのかな、それとも選挙前だけのことなのかな?
そのマプチェの件ですが、今週も農場不法占拠が行われ、それを排除しようとした警察隊にマプチェが襲い掛かり、警官に数名、負傷者が出ています。続きますね、この件は。
いずれにしても若手エンリケ・オミナミの人気が着実に上昇し、与党候補のフレイを越えていくでしょう。日本で自民党政権が崩壊したように、チリでも与党政権は間違いなく崩壊でしょう。