(経済)

1) 銅価格
銅の価格がチリとしてはどうしてもほしい最低線の1ポンド2ドル付近を維持して一安心の状態ですが、肝心の輸出量が激減し、なんと今年度1−4月期では輸出金額は前年対比59%の激減になっている中央銀行が発表しました。
2) ペソの切り上げ
チリの通貨ペソは今年に入って80ペソも切りあがり、世界で2位の強さを示しています。ドルの価格は1ドル640ペソだったのが560ペソまで落ちています。
欧州は国内総生産が軒並み落ち込み、世界危機の終焉はまだまだ遠いと思えますが、チリの場合は通貨のペソも堅調、また株式市場も好調で昨年からの落ち込みを24%まで取り戻してきています。しかしこの見掛けのよさはどこから来るのでしょうね。と言うのは中銀の予想発表では今年はチリ国内総生産はマイナス成長となり、インフレは過去74年で最低の0.6%となっています。
3) 債務の増大
世界の経済危機で借金が増えるのは国や企業だけでなく、一般市民も同じですが、チリでは一般市民の懐状態を公にしようとする動きが出ています。現在もディコムと言う仕組みが破産状態になった市民の名前を発表しています。このリストに掲載されるとどの銀行からも借り入れが出来なくなるし、普通の会社では採用しません。これを改善拡大したような新しい仕組みに銀行側は賛成し、一般リーテル業界(百貨店など)は反対しています。破産状態の人間に更なる貸付を与えることは貸し出し側に不利になり、それを防ぐには対応費用を準備する必要がある。この新方式でそれが無くなれば、コストが下がり、一般消費者にとって有利になると説明されていますが。
政府が作った同案は国会に送られ審議されます。
4) チリにとっては目新しいことですが、コンピューターの進歩から世界との距離壁がなくなり、チリを経由して世界のメーカーとユーザーがコンタクトする仕事が増えています。この分野はインドが先進国で欧米企業がインド経由のビジネスをしていますが、チリでもこの分野の仕事が最近始まり、何でも2―3年後にはこの分野の外貨収入はチリを代表する産業のワインやサーモンの輸出を上回るらしい。不思議な気がしますが、チリは近隣諸国より教育程度が高く、国の安定性が高いのでこの分野への投資も盛んなのでしょう。
5) べネスエラは私が滞在した2週間の間に私企業の国営化の動きが大きく進展しました。石油会社の国営化と銀行の国営化です。このほか政府が外貨の支出を厳しく抑えているの海外へ支払いが出来ません。もちろんこれは国内・国外企業にも影響し、たとえばランチリ航空は多額の損失が出ています。
しかし他国のことを笑っていられません。新聞の投書欄で「バチェレット大統領は政府の支払いは期日から30日以内に完了すると約束しながら、半年も遅れることはざらで、その間の金利は当然支払われず、それを持ちこたえられなければ企業の倒産、もしくは人員削減を迫られている。大統領の見解がほしい」と中小企業のオーナーからクレームがありました。もちろんこれは冗談ではなく真実でしょうね。