(政治)

1) もちろん、バチェレットのキューバ訪問がトップです。彼女と現大統領のラウル・カストロの会談は当り障りのないものだったようですが、

その兄のフィデル・カストロとの面談は困ったものになりました。彼女は現地の人たちの音楽演奏を楽しんでいると、急に誰かがきて彼女にヒソヒソ話。すると彼女は誰にも挨拶せず、その場を小走りに去りました。なんとフィデルから呼び出しがかかったのでした。しかし小走りに逃げ出すような彼女の姿は一国の大統領ではなく、まるで社長から呼び出しがかかった課長の雰囲気でした。あまりにも軽い。

さらにフィデルは彼女にボリビアの海を返すように頼んだらしい。さらにチリの所有する世界最大の銅鉱山地帯はもとのボリビア領土だというわけです。もちろんボリビアのモラレスは尊敬する「フィデル長兄」に感謝のコメントを出していますが、チリ国内ではあまりの屈辱に開いた口がふさがりません。野党側はこのキューバ訪問を大統領の自殺点と評価しています。確かに彼女が大きなアジェンデの顔の絵をバックにした演壇で演説する写真を見ると時代が戻ったような気になりました。

もちろん彼女はチリに戻ってから不快感を表明しました。ところで彼女はキューバに人権がないことに対しフィデル遺憾の意を表明したのかな?チリの野党代表を殺した犯人がキューバにかくまわれているとか、チリの作家が何人もキューバでは発禁処分になっているとか。

べネスエラもひどいけど、キューバの社会情勢もひどいですからね。

政界は彼女のキューバ訪問事件で大混乱ですが、彼女は飛行場から逃げるようにまっすぐ第9州にある別荘に戻り、2月末まで休暇を楽しみます。戻ってくるころはこの話題も少しは冷えているでしょう。

そうそうフィデルはバチェレットがアジェンデ以来の左翼政権とし、ラゴスを無視しました。彼にすれば左翼主義で自分に挨拶にこないのは偽左翼とするわけでしょうか?

さらにチリの社会党は90年以降、キューバ援護の体制にないと批判したらしい。彼の発言はチリ政界を野党・与党ともに掻き乱しますね。

2) 軍事政権時の行方不明者(殺害されたと見られる)リストに軍によって殺害されたはずがない人間が載っている事件は最近目立っていますが、今週もさらに追加されました。軍事革命が起こる以前に死亡した人間が軍による拉致で行方不明になったとされた例で、確かにこれら以外の不正・不明な例がこれからも続出するでしょう。