(経済)

1) 物価上昇にかげり
   なんと1月の消費者物価はマイナス成長でした。そのマイナス0.8%の数字は1943年以来の低い数字とか。もっとも1943年の統計にそんな信憑性はありませんから、歴史的な低い数字ということでしょう。ということは冷えかかっていた消費者の購買意欲を変え、また何か買ってみようかなと思わせています。ちょうど夏物一掃のバーゲンセール中ですからね。政府はそれを狙って中銀にさらに公定金利を下げるよう勧告・要請しています。
   1月の観光は前年対比二桁の上昇で3億ドルほどの観光収入があったと発表されました。関連業者はホクホク顔です。チリ人の財布が緩んだことと海外に出ていたチリ人観光客が今年は国内旅行に切り替えた、さらにアルゼンチン人が大挙して押し寄せたことが理由のようです。この傾向は2月も継続するので、浮かれた雰囲気が表に出て少なくとも今月中はチリ経済に関する悲劇的なニュースは目立ちそうにありません。
   しかし浮かれて大盤振る舞いをする時期ではないと思いますが・・・

2) 株価の動き
   渋いですね、チリの平均株価は。堅実に上昇を続け、今週は4.9%もアップ、今年の累計は12.5%のアップです。昨年10月の段階まで戻っています。がんばれその調子だ。
しかし、よく考えると、これもチリ経済が元に戻って成長していると見るより、他国(中国やインドなど)に投資されていた金が戻ってきて、他に行き場所がないので当座チリ市場に入ったからでしょうね。
ところで銅の値段はジリジリ上がって1ポンドあたり1.5ドルを越えました。このまま理想の2ドルに向うのか、一転してまた下位低迷をするのか。
さてチリを代表するコデルコ銅公社は昨年まで国のドル箱でしたが、09年は国庫に収める税金より、国から受け取る援助金の方が大きくなり、国民の税金で同社の活動を維持することになりそうです。そんなことで良いのかな?

3) 失業率の増加
   チリで大量の失業者を生み出している業種は建設、銅鉱山、木材、そしてサーモン生産関連企業です。
   その木材関連企業では、製材工場の約5分の1が閉鎖され、販売は15%ダウンし、既に4千人以上の首きりが実施された由。
   昨年は3300万M3の木材が1年間に生産されています。アメリカが輸入を激減したのが不振の原因のようですが、その他アジア関連(日・韓)も大幅購入減少らしい。
   で、政府はこれに対応するため植林の奨励、国内での住宅建設(低所得者用の住居)の援助を考えているらしい。
   アジア不振問題はアメリカ問題の陰に隠れてあまり問題視されていませんが、中国・インドはそれでも08年に経済成長が見られたのに対し、その他の日本、韓国、台湾、香港など軒並みマイナス成長で、チリにとっての主要輸出地域、アジアの不振はこの先深刻な問題になりそうです。

4) 不動産販売
   08年の売れ行きは前年対比二桁の減少でしたが、コンセプシオンなんか50%の減少だったとか。それを挽回するためのバーゲンセールが実施されていることは既報ですが、何でも夜のバーゲンセールとして先週の週末行われた特別セールで、ある不動産業者はなんと一晩で過去4か月分の売上を記録したとか。やっぱり値段を下げればまだ売れるわけですね。
しかしそんな奇跡がいつまでも継続する訳はなく、ブームが収まると3月には建設業界に秋風が押し寄せ、労働者の大量解雇が見込まれます。

5) サーモン業界に壊滅的打撃
   世界で最大のサーモン業者マリン・ハーベスト社は09年のチリ全体の生産予想を発表しましたが、それによると08年35万トンだったのが40%減の21万トンになると見ています。同社は08年チリで3万トンの生産を記録しています。
他の推測ではもっとひどく60%の減少になる由で、これは通常の数字ではありません。6%とちゃうで、60%やで。ISAビールスが発端となったこの危機はなおも継続中で、おさまる気配がありません。
これではどの会社も利益が出るどころか赤字垂れ流しですね。3月に大量の首切りが見込まれています。