(政治)

1) リマで開催されたAPECの話題がトップに来るはずですが、「みんなで手をつないでこの経済危機に対処しましょう」といったほとんど効果のない声明で終了したのを評価しないのか、チリのメディアではこの国際会議についてあまり報道されませんでした。(日本でもあまり報道されていないようですが)

2) 商工経団連の年次総会があり、チリの政財界のトップが集合しました。政府側では大蔵大臣が「チリはこの経済危機を迎えるに当たって十分な準備がされている。スポーツにたとえれば、練習をしないで試合に出るのではなく、十分に練習をつんだあと、大会を迎えているのに相当する」と胸を張りました。
野党側の大統領候補ピニェラはラゴス・バチェレットの両政権はチリ経済好調をうけて、危機に対応する準備を整えるに十分な時間と資金的余裕があったが、それをしてこなかったと厳しく批判。
さらに注目されたのは、基礎教育に触れ、政府は公立学校充実の重要性を繰り返すが、大統領を始め、閣僚、与党議員の子弟は一人も公立学校に通っていない(高い授業料を払う私立の学校で学んでいる)としました。なんと彼の子供は公立学校に通っている(いた)らしい。
これを受けバチェレットは彼に逆襲を試みましたが、この先両者の対立は激化していくでしょう。
企業者側は大統領に経済活性化のために減税を迫っていますが、どうなるでしょう。
さてこの会議にインスルサ米州機構代表も招待されていましたが、先に大統領候補を降りたため参加せず。
もう一人の候補者(与党側では筆頭候補)のラゴスが再度、候補辞退を匂わせています。これはいつもの癖で、自分しか真の候補はいないのだから、全員私の言うとおりしなさいと言っているのでしょうが、嫌味な癖ですね。
アメリカのオバマと同じです。チリ国民はラゴスのようなタイプに飽き飽きしています。新顔を出さなければ政治全般の危機(政治不信)になることを与党側も理解する必要がありますね。

3) 公務員のベースアップがありました。我がバチェレット大統領は給料の安い公務員にはこれは朗報だが、私のような高給取りにまで賃上げする必要はないとそれを拒否する声明を出しました。与党側の議員が(野党側ではありません)なんやかっこつけて人気取りの政策かと批判していました。
さらにこの話は続いて、彼女の提案する給料の受け取り拒否は法律にないらしく認められなかったので、彼女は自分を含め、全閣僚に(自主的に)福祉施設に毎月献金するように指示を出しました。もちろん閣僚も、せっかく月に30万ペソほど昇給したのにバカらしいと思いつつも、上司の言うことを聞いて献金する福祉施設先を捜しています。

4) ペルーとの間で小さな問題が起こっています。向こうの陸軍長官が「チリ人がペルーに入れば箱の中に入って帰ることになるだろう(棺おけに入るという意味)」とコメントしました。
チリ側がこれにクレームしたのに対し、本人は謝罪しましたが、チリ側要求の罷免は行われませんでした。
ガルシア大統領はチリからの罷免要求をけって「ペルー政府は他国の指示・圧力を受け入れるつもりは全く無い」と撥ね付けています。まだペルー全般のチリ人に対する反発には厳しいものがあるようですね。