(経済)

 1)世界経済機構の発表で世界188カ国の中、チリは貿易ランキングで27位になり、これはラテンアメリカではトップです。税関、航空協定、安全性、ブランドの尊重など、種々の分野の総合評価ですが、チリが協定の遵守などで評価されているのは当然でしょう。香港、シンガポールスウェーデンが上位ですが日本は10位にも入っていません。

2)最低賃金の改正
 国会で最低賃金が批准され、7月から現行の10.4%アップの159000ペソになります。この数字が妥当か否かは論議を呼ぶところですが、インフレが進む今日、生活が厳しくなっているのは当然で、このベースアップで少しは息をつける人も出てきます。しかしこのベースアップで36000人が就職の機会を失うだろうと言われています。つまり企業家が新規採用を控えるわけです。
さらに貧困階層は失業者が多く、その人たちはたとえ最低賃金の上昇があってもその恩恵にありつけず、さらに苦しい生活が待っていると新聞論調にありました。つまり彼らは犯罪に走る可能性があるのでしょうね。
 6月の物価上昇率は再度1%を越える高いものになりそうで、生活を圧迫しそうです。その一つの理由はペソが対ドルで弱くなっているため輸入品の価格が上昇するからとか。
 トラック業者はストで政府を脅かしましたが、今週、サンティアゴで一般乗用車が列を作って街を走り、ガソリン税の軽減を訴えました。政府が反応しないと来週はもっと多数の車を動員するとリーダーは訴えています。
 国会でガソリン補助に10億ドルの投入が決定されたので来週には1リットルあたり、60ペソ―80ペソほど小売価格は下がると言われています。
 この10億ドルの補助に対し、ガソリン特別税は年間18億ドル、その消費税は33億ドルで、国庫に入る税収は合計51億ドル。つまりほんの一部を消費者に還元しているだけで、政府にとっては全く痛くも痒くもない金額と言われていますが、どうでしょう。
車を持っている人はこの他に車に対する税金、高速道路の使用料金を払っているわけで、政府はそこからも税収があります。取りすぎじゃない?

3) 今年度後半の景気予想
   上記の状況にもかかわらず、今年度後半のチリ経済は上向くと経済学者は判断しています。推定数字ですが年間物価上昇率は5.9%、経済成長率は4.3%。経済が上向く理由として建設業への投資が7%アップ、小売業は4.5%アップ、鉱業は銅価格の高値に引っ張られて大きな貢献とか。漁業は残念ながら成長は期待できないらしい。
   エネルギー問題は雨が多くなったことから水力発電が期待でき、アルゼンチンの天然ガスの供給に依存するパーセントが低くなったのはチリ経済には好影響。もっとも原油価格の上昇ぐあいによっては上記の数字は大きく変動することも考えられ、依然として他力本願は免れません。

4) 事務所の賃貸し料
   世界のトップはロンドン、モスクワ、東京です。賃貸し料は1m2あたり2000ドル以上です。ラテンアメリカではリオ、サンパウロがダントツに高く(800ドルくらい)その後にボゴタ、メキシコ、サンティアゴが続きます(450ドルくらい)
   ただ最近の上昇率はサンティアゴが50%とラテンでトップと経済成長につれてサンティアゴの事務所の要求が増加していることを示しています。