(経済)

1) チリもアメリカの二の舞になりそうです。この数年、住宅・事務所の建設が盛んでしたが、売れ行きに影が出始め、このままだと年内に供給過剰の大問題が噴出しそうです。なにしろ今年1−3月は、この8年間で最悪の売上とか。当然、建築の急落、失業者の増加、最近の食品の物価高で食事にも事欠く層が急増という最悪パターンが予想されています。中銀は金利の維持を発表していますが、それだけでは景気高揚にはなっていません。

2) 今年度の経済成長率は年初4.9%が予想されていましたが、下方訂正され何と4.0%に。約1%の低下です。
3月は0.7%の成長に終わり、これは月間として2002年以来の最低のレベルです。1―3月では3.15%で、これは前年対比でなんと半分の伸び。
これを受け株式市場も落ち込んでいます。
おまけに物価上昇率は攻勢の手を緩めず年間4.7%のアップが予想されています。

3) コデルコ鉱山と下請け労働者の間の争いは19日で終止符をうちました。昨年は同様の争議が36日続きましたから、今年のほうが政府の手回しがよかったわけですね。昨年は各人が40万ペソのボーナスを受けましたが、今年は50万ペソとか。じゃ来年は60万ペソかな?
とにかくこのストでコデルコは15億ドルの損失が出たらしい。
コデルコと民間のエスコンディーダ鉱山はチリのトップを争いますが、収益で大きな差がついています。もちろん鉱山ですから、鉱脈に差があるのは当然ですが、その他こうした生産コストの差も大きいですね。
なにしろ、同じ職種でコデルコ労働者は民間企業の従業員より20%高いサラリーをもらっているらしい。国営の方が民間より高いのは日本の感覚と大分違いますね。

4) ドルは中銀の介入(ドル買い)で高値を続け1ドル470ペソまで上がっています。

5) 原油価格の上昇は異常ですが、これは世界経済に大影響。しかしこれも国際通貨のドルの問題で、これが他の通貨建てだと、これほど価格上昇はないはず。
アメリカ内政の失敗を世界に伝染させているのを世界が黙ってみているのも不思議ですね。アメリカ経済は国民消費に負う所が多くあり、家庭経済が浪費から破産しかかっているわけで、それを他の国民に影響させるのはいかがなものでしょう。チリも昨今、収入を考えず消費する傾向になってしまいましたけれど。

6) チリの将来性を疑う資本家たちは競ってペルーに投資しています。何しろ今年度のチリからペルーへの資本投下は20億ドルといわれます。
ところで2007年の海外投資総合ではチリは144億ドルで、ブラジル・メキシコについでラテンアメリカで3位。小さな国ですが経済的には健闘しているのが証明されています。