(政治)

1) チャイテン火山の話で今週は終わりそうです。とにかく一週間以上たっても噴火の勢いが衰えず、その灰の量のすごさは尋常ではありません。なにしろ1000キロ以上離れた隣国アルゼンチンの首都ブエノス・アイレスを襲い、さらに大西洋を乗り越えてアフリカ大陸にまで到達したらしい。中国の黄砂がアメリカまで着くのと似ていますね。
火山の近くの町は無人になりました。政府が法制化して、残っていた人間を強制的に移動させたからです。家の中に隠れていた人間も捕まったりしていますが、自分の家にいることで逮捕?されるのは通常ではありませんね。わずか1週間くらいなら他所の町に移ることも苦痛ではないでしょうが、今回のケースでは1年、2年・・いつになったら戻って来られるか分からないわけで、学校など仮の宿舎に入った住民の苦痛が思いやられます。
政府も本腰で援助してもらいたいもの。
20万ヘクタールの土地が灰に覆われてしまった由。住民の次に家畜、ペットの救出作戦も実施中です。1週間も放置された彼らは餓死し始めたようです。養殖サーモンの移動はそれに比べると簡単でしょうが。
チリには3000の火山があって、そのうち120が活火山とか。じゃ、いつどこの火山が噴火してこのチャイテン火山のようになるか分からないわけですね。火山があると温泉が出ますが、こうした被害は避けられないのがきついです。

2) 世界銀行の管轄にある国際法廷でチリに関する裁判の裁定が出ました。10年以上かかった投資訴訟ですが、判決はチリ国家に旧クラリン新聞関係者に1660万ドルの支払いをするよう言い渡しました。
チリ政府は一応これに対し不服を申し出る予定ですが、一部では請求額5億ドルに比べると非常に低い判決なので勝利感もあるとか。
訴訟人がその新聞社のオーナーだった証拠が少ないとか、国籍問題があるとかでチリ政府は逃げようとしましたが、国際的にその主張は認められませんでした。
1973年の軍事革命時、アジェンデと良好な関係のあった新聞社をチリ軍事政府が不法に取り扱ったというものですが、軍事革命時はこのような例はたくさんあったはずで、この判決が妥当なものだとなるとこれ以外にもたくさん訴訟が出るでしょうね。チリ国家が訴えられたのはこれが最初の例で、現在、係争中の案件が他にもあるらしい。

3) ボリビアサンタ・クルス州の投票は自治権拡大派の勝利に終わりましたが、それを受け大統領は自分のイスをかけて国民投票を実施したいとしました。ベネスエラのチャべスは「友人モラレスが失脚するのを指をくわえて見ているつもりはない。裏にアメリカの策略が見える」としラテンアメリカで第2のベトナム戦争を起す(?)と宣言しました。
ところで今週ボリビア陸軍の4人が不法にチリ領土に侵入したとして逮捕されました。少し前にペルーの軍隊がチリ領土に侵入したのに続く不祥事です。まさかチリの出方を確認しているのじゃないでしょうね。

4) 政府の依頼で設置された社会公正委員会の答申書が提出されました。働くシングルマザーの援助とか、最低賃金の設定とか、いろいろ書かれていますが、特に目立ったものはなく、これを目玉にして新政策をだすことはなさそうです。地方選挙、国政選挙、大統領選挙が近づくとこういう政策の目玉作りが必要になりますからね。