(政治)

1) やっぱり話題の中心は教育大臣の罷免でしょう
その日の国会はまるでテレビのショーみたいでした。彼女は悲劇の主役のように振る舞い、舞台を見る観客のように傍聴席から声援が飛び、彼女を非難する野党にはもちろん、独立グループ(元与党議員)に裏切り者とブーイング。そして・・・・結論は彼女を有罪にしました。

彼女はこれで公職には、少なくとも、この先5年はつけません。涙ぐむ彼女のそばにキリスト教民主党(DC)の党首アルベアルが付き添い、社会党の党首は「こんな不可解な議会はない、無実の大臣を力ずくで葬り去るなんて世界の恥だ。」それに付け加え、「誰もが知っていたはずだ、この事件は昨日今日起こったものではない。数年前から続いている問題だ」(そのころの教育大臣は前大統領のラゴスなんですが、忘れたのかな?)

アルベアルは「国民は絶対に忘れない、この国会の野党の破廉恥を」本当に与党の人の頭の中は通常の人間とは違いますね。桁違いの金額の不正使用が起こっている事実を押しのけて、悲劇の女性大臣を庇うのですから。まだあるのですよ。その翌日、前大臣をはげます集会に会場近辺の小中学校の生徒が集められました。政治集会にDC党員をしている区長が学校関係者をプッシュして生徒を集めたのですが、そんなこと許されるのかな?

もっと笑ってしまうのはDCが彼女が国会議員選挙に立てないのなら、その夫を出せばどうか検討中というもの。議員が亡くなってその未亡人が選挙に出るというのは聞いたことがありますが?

政府は彼女を何とか救おうと独立系議員に、「彼女を救う方に投票してほしい。しかしそのあと、彼女への嫌疑が晴れた段階で、彼女に大臣を辞任させるから」と持ちかけました。その議員はその提案を公にしたらそれを受けるとしましたが、政府は秘密のうちに行いたいとして最終合意に達しなかったらしい。しかし政治の世界って面白いですね。

こうして民政化してから始めて国会で国務大臣が罷免されました。


2) その次は先週、バチェレットが訪問した中国の話題。
彼女ははっきり一つの中国を訴え、人権問題をチリと中国の間の議題にするのを避けました。さらに北京五輪を支持することを明確に表明しました。しかしそれはチリ与党の左翼議員に疑問視されてしまいました。今まで軍事政権下の人権問題を、民政化してからのチリの最大政治課題として来たのはなんだったのかと言うものです。それを国会で表明したら、中国政府はその日のうちに、駐北京チリ大使を呼び出しクレームを入れています。貴国の大統領が我が国を訪問され合意に達した事項について全く正反対の見解を国会で表明するのはどう言うわけかというわけです。当然ですね。