(経済)

1) 中銀がドルの下落に対抗

数年ぶりにチリの中央銀行が為替に介入しました。前回2002年の介入はチリペソがあまりにも落ちるので、1ドル761ペソまで落ちましたが、それを防ぐために手持ちのドルを大量に売ったのですが、今回は全く逆でペソがあまりにも強すぎるのでドルを大量に買ってドルの落ちるのを防いでいます。しかし時代は変わるものですね。

何でも今年中に80億ドルまで買い付けるらしい。その額が妥当なのかどうかは別にして、今まで市場の原理を押し通して介入を拒んでいた中銀が輸出業界の圧力に対抗しきれなかったと言うことでしょう。

しかし(アメリカとチリの間の)大きな金利差の問題を放置してこの介入だけで問題解決(軽減)できるか心配です。

専門家の目には1998年のアジア危機の頃と比べ、チリ経済の体質は大きく改善されており、アメリカがクシャミをすればチリは風邪を引く状況にはないとか。ホンマかな?でもがんばれチリ。

2) サーモン騒動

サーモン問題が波紋を呼んでいますね。
チリサーモンを批判したニューヨークタイムスは有名なだけで、その記事の内容はたいしたものが無いとする痛烈な批判の投書がありました。しかし今週カナダの食品試験所がチリのサーモンに抗菌剤注入かと品質に疑問を表明し、問題を複雑にしています。
そしてチリサーモン業界の大手マリンハーベストはISA病から生産低下を招いているとしてプエルトモン工場閉鎖を実施。
おまけにサーモンだけがチリの漁業を代表するんではないと零細漁民連合からサーモン業界への反撃の通告。政府も対策に苦慮しそうですね。チリの南部はおおげさにいうとサーモンで町や村が成り立っているようですからこれは死活問題です。

3) 電力問題

先日バチェレットを訪問したケネディJRの発電用ダムについてのコメントをニューヨークタイムス新聞が掲載していますが、チリ政府によるとそのコメント内容は真実ではないとしています。

さてその新聞に掲載されたチリの水力発電ダム計画を批判する記事に連結して、チリの新聞にもアイセン地区の環境破壊を訴えている自然保護団体の投書が掲載されましたが、「私たちの提出した種々の疑問に政府は回答していない。またそれほど遠くの地区で発電して、それを首都圏までどうやって持ってくるのか、その搬送費用の計算はどうなっているのか」となっています。

現在チリで計画中の水力発電ダムは全国5箇所で、合計50億ドルの建設費用で4500Mワットを発電するらしい。ダムの建設費用はアイセンでも第8州のビオビオでもそう変わらない模様。建設費用は変わらなくても遠い所から電力を持ってくるのは確かにコスト高でしょうね。

4) 食糧危機

世界的に食料価格の高騰が問題視されています。これも原油高と同じで、誰かの仕組んでいることなのでしょうね。

しかし低所得層にとってこの問題は死活問題。一部のアフリカ諸国のような飢餓の問題はないチリですが、昨今のインフレでこの2年間でチリの家庭の購買力は3%ダウンしたとなっています。その理由は食料費と住居費のアップが主な原因です。