(政治)

1) イベロアメリカ頂上会議がサンティアゴで開催されました。しかしこのサミットの目的,内容がさっぱりわかりません。ここに住んでいる私が新聞テレビのニュースを見てもその成果を理解できないのですから,遠く離れた地区の方にはもっとその雰囲気が伝わらないでしょう(そうでもないか?)

最もそれは表向きの話で実際の内容は今回ほど面白い国際会議は無かったのではないかと思います。じゃその実態を・・・

各国首脳は金曜日に飛来し日曜日には帰っていきましたが、その中で一番目立ったのは,もちろんチャベスです。国内の混乱から一時は会議への参加を見合わせるのかと思われましたが,他の代表より遅れて到着。飛行場の記者会見で突然歌を歌いだし,何しに来たのかと思わせました。全体会議でも各国の首長が5分で基調演説するところを何と連日30分も話つづけ,基本的に他の人とは違うのですね。さすがです。

その次に目立ったのはアルゼンチンで、他の首長が定刻に到着したのに,さすがアルゼンチン,遅刻で有名ですが,2時間の遅れで到着。待たされた人間はイライラしたでしょうね。現大統領の夫を差し置いて次期大統領になる妻がさっそうと一歩前を歩いていました。彼女は服装、お化粧に時間と金をかけるそうで,さすがにチリ入りするときからそれが目立っていました。

さて肝心の会議の内容では、大事な基本合意事項は私には良く分かりませんでしたが,揉め事は良く分かりました。その1はウルグアイとアルゼンチンです。ウルグアイが両国国境に建設中のセルロース工場は環境破壊につながるとアルゼンチンが建設中止を申し入れ、それを無視するウルグアイとの戦いがこの会議でも繰り返されました。

さらにチャベスとスペイン政府のサパテロの抗争が続き,スペイン国王はチャベスに黙れと命令。そんなものに従うチャベスではありません。議長役のバチェレットも「皆さんお静かに,他の人の発言をちゃんと聞きましょう」と学校の先生みたいにお願いしても全く役に立たず、さらにニカラグアオルテガがスペインに抗議する内容を演説し始めるとスペイン国王が怒って退席。

この他チャベスボリビアの海を勝ち取りたいとチリにクレームしたり、トランサンティアゴを助けるためバスが使う燃料を国際価格の40%引きで売りますよと擦り寄るなど,したい放題言いたい放題。楽しいでしょうね。毎日がこうなら。

さてそのチャベスですが、新聞に次のような論評が出ました。90年代にラテンアメリカ諸国が米国追随の政策でバラ色の日々がやってくるとの宣伝を繰り返したが,チリ以外の国ではそれは全部失敗に終わった。彼はその反アメリカの風潮を利用し,特にブッシュを徹底的に攻撃することで特色をだし、またONGなどの機関をうまく使うことにもたけており,石油を利用した戦略をその仕上げにしたらしい。彼になってから同国の貧乏人が激減したという事実は無いが、貧乏人の味方というイメージ作りに成功している。

さてベネスエラは世界最悪の汚職国で(調査179か国中の162位)国中の機関が汚職の中で生きている。つまりうまみのある現行制度を替えたくない人間が多い。

私が昔,ベネスエラを旅したとき、この国で会社に商品を乙波しに行けば,先ず最初に受付のお姉さんに賄賂を渡す必要があるといわれて驚いた。この仕組みは今も存在で,しかも強力なのでマフィアはその組織をコロンビアからベネスエラに移し、2003年に75トンといわれたベネスエラからのコカイン輸出は2007年には276トンに急増中とか。もっとも国中は真二つに分かれ、彼の支持派が40%,反支持が40%らしい。それでも終身大統領を狙った手を打って今年中にその勝負に出るらしい。

さてその彼と対戦したスペイン国王は,一部から批判の波を受けているが、17回もこの国際会議に出席しているらしい。一体何の資格で出ているのかな?未だに中南米を自分の領土のように思っているのだろうか?各国の大統領、首相が集まるのがこの会議で少なくとも私は,国王とか法王とかは関係ないと思う。まぁスペインが中南米で大きな態度を続けるのを快く思わない国がたくさんあることをはっきりさせたわけですね。

それに比べるとチリと懸案事項をもつ,ペルーとボリビアは大人の態度で

主張の違いを派手に宣伝することは避けました。

しかし会議を支障なく運営するというのはホスト国の義務ですが,それを実効できなかったバチェレットの手腕に大きな疑惑がもたれています。

特にスペイン国王が怒って席を立ったとき,あわててその後を追ったのがまずいといわれています。普通左翼は国王制度を認めないのですが。

またこの国際会議と並列して民衆国際会議というのが開催され,それにはキューバ,ベネスエラ,ニカラグアそしてボリビアの代表が参加。チャベスは演説している最中に携帯電話でキューバカストロと連絡をとり,誰も私たちの関係を邪魔できないと豪語していました。

所で,大統領の昔の職業として、ブラジルのルラは元工場労働者,ボリビアのモラレスは元羊飼い(リャマの飼育)、ベネスエラのチャベスは元軍人などと紹介されましたが、各国の大統領はそれぞれ変わった経歴を持っているのが楽しいですね。

モラレスはサッカーの腕前もたいしたもので、この忙しい会議の合間に政府関係者のチリ対ボリビアのサッカー試合を実施。なんと彼も参加し,チリチームを蹴散らしました。

結論。 ねっ、このサミットはすごくスリルがあったけど、何の結論も無かったというのが分かったでしょう。

2) この会議の前に発表された指標でバチェレット大統領を信任するが3%アップ、不信任が3%ダウンしたとありました。最もまだ不信が信任を4%も上回っていますが。こんな数字が出るたびに閣僚会議で話題になるのでしょね。若干上向きましたねとか、まだまだ良くなるとか各大臣が感想をいれて、バカみたいですが、実際そうでしょうね。

3) 久しぶりにチリの新聞にフジモリの記事が載りました。それによると彼は絵画に熱中し,既に10枚くらい描き上げ,展覧会も考えているとか。またギターの練習も熱心でアンデス民謡を弾いているらしい。なかなか結構な刑務所暮らしですね。ペルーで評判の良い政治家のランキングにも入っているそうで、満足している様子が伝わってきます。じゃチリで無駄な時間を使わずまっすぐペルーに行けばよかったのかな?