チリの風  その236  07年8月13日―19日

チリの風  その236  07年8月13日―19日

天気の良い週末、のんびりと生活を楽しみました。2週間続けて、若いグループの訪問を受け、我が家も華やかになりました。そうか私も30年前は彼らのように考えていたのかと感慨深かったです。まぁ、老人力のついた今は彼らと違った人生の楽しみ方があります。マラソン練習とか、サッカー教室とか、ねっ。
最低気温はまだマイナスの日が続いていますが、週末は晴れ上がり、マラソン練習で丘の上に駆け上がると、好天気に誘われて出てきたのでしょう、いつもの2倍以上のランナーに出会いました。欽ちゃんが高齢にもかかわらず70Kを走りきったそうで、中高年に片足突っ込んだ私にはすごい刺激になりました。で、今日は16K練習を76分15秒の今シーズン新記録で飾りました。


(政治)
1) マス・メディアは今週はペルーの大地震のニュースで埋まっていました。
 先週、沿海の領域を巡って一触即発(?)のチリとペルーでしたが、この地震で、チリが被災者救援を即時実施したため問題は据え置きです。
 それにしてもチリの大統領のバチェレットはニュースに出ませんね。やっぱりテレビが嫌いなのか自信がないかのどちらかでしょう。来月、日本に行くときは多数の随行団を連れて行くらしいが、日本で活躍できるかな?
 とにかくそれに伴って彼女の政権になってからチリの孤立化が顕著になっています。ペルーなど南米太平洋岸国との関係は最悪だし、南米の隣国アルゼンチンやボリビアとの関係は気薄。頼りのメキシコ、ブラジルとの関係は悪化。アメリカとは細い連絡網のみ。ベネスエラにいたってはどんな関係を持ちたいのかさえ良く分かりません。外観では人当たりの良いバチェレットですが、何故どこの国とも仲良く出来ないのでしょうか? ただ各国との自由貿易交渉は順調ですが。
 ところで彼女にメールで脅迫状を送った大学生が逮捕され、どこかの施設で矯正のため奉仕労働をさせられるとか。

2) トランサンティゴ
 この件で内務大臣が国会で喚問されました。彼は主要閣僚などの援護を受け国会に登場、野党側議員の質問を受けました。一方的に押されていましたが、ノックアウトはされなかったらしい。
 この論議の後、当の内務大臣は下院議長に私を公の席で嘘つき扱いした野党議員に公式のお詫びを要求するとしましたが、野党側はその前に大臣は国民にお詫びすべきと冷たい対応。
 もっとも識者のコメントで、チリでは国会の権限が小さいため、このように政府要人を召還しても、両者の単なる意見陳述に終わり、つまり単なるショウ―で、問題解決には寄与しないとなっています。
 今週水曜日は祝日でしたが、バス停に多くの乗客が並んでいました。バスが正常に運行しなかったからです。しかしいつになったら正常化するのかな?
 この新交通計画はスタートする前から失敗だったのははっきりしていますが、その失敗を改善する、もしくは立てなおす事にも失敗しているわけで、現政権ではもうだめかもしれませんね。
 次回は前運輸大臣が国会召還されていますが、彼は自分の責任は認めるが、政府内の委員会で最終承認決定を受けており、自分一人の責任ではない。また業者とのネゴは前政権のときから始まっており、現政権にすべての責任をなすりつけるのはおかしいの3点をはっきりさせるらしい。つまり彼一人に責任を押し付け他の人は手を洗ってしまうのは許せないというもの。
 泥棒が増えて、4―6月に訴え出られた件数は前年対比何と43%アップ。新聞にはこれは新交通計画に関連か?と書いてありました。ほんと国民が怒るのも無理はない。


(経済)
1) 外国企業にとって魅力ある市場の調査でチリはじりじりそのランクを上げ今年のランキングで世界7位になりました。上位はインド、中国、マレーシア、タイなどです。ファイナンス、地元労働者のレベル、生活のしやすさなどが考慮されています。まだいけるチリ!

2) アメリカの経済危機が世界に波及した事件はチリでも大問題になっています。
チリ株式市場は7月に記録した最高時から10%のダウンになりました。
1週間下がりつづけた平均株価はやっと金曜日、少し持ち直しました。
それでもチリ市場が蒙った損害は合計で180億ドルとか。すごい。

3) 先週のチリ最大の話題だったのは教会関係者がおこなった最低賃金は人道的配慮からとした発言でしたが、もちろんこれは今週も後を引いています。政府関連機関で働く労働者の中に最低賃金は越えているが司祭が言う「人道的な給料」に到達していない人間が多く、政府は直ちに彼のコメントを受け入れるわけにはいきません。彼の発言に最も強く反発したマテイ上院議員は、「司祭の発言の後、私のところにメールが入り、教会で働いている労働者は最低賃金さえ支払ってもらえない人間が多いとなっている。司祭はこれをどうとらえるのか」と再度厳しく糾弾。やはり人道主義などといっても、口で言うのと実際に実行するのは大きな差がありますね。

4) サーモンの養殖
   チリとノールウェイが世界のトップの座を争っています。1990年に世界生産の52%をノールウェイが占めましたが(チリはそのとき9%のシェア―)昨年2006年ではノルウェイが同じくトップでしたが40%とシェア―ダウン、チリは2位に急上昇して38%でした。1990年の総生産額は33万トン、2006年は164万トンですから、いかにチリの躍進がすごいかわかりますね。


(一般)
1) 前にも書きましたが、スペインに飛んだチリ人観光客が強制送還されるケースが目立っています。今週それが6名になり、07年通算で400名を突破。これは06年全体の数字と同じとか。今週の強制送還者の話では「往復の航空券は持っていた、三千ドルほどの現金も持っていた、ただホテルの予約はなかった・・・」これで飛行場から強制送還なら私も危ない。
しかし南米も情けない、チリも情けない。こんな仕打ちを受けて黙っているなんて。
それくらい南米人(やチリ人)が欧州で犯罪行為をして、先方から嫌われているのでしょうね。

2) 犬にかみ殺される。
最近、歩行者が犬に襲われる事件が続出しています。ピッツブルとかロットワイラーとかの危険と見られる種類の犬が人間を襲う事件です。今週も3件あったようですが、そのうちの1件で、家政婦さんが襲われ、病院で死亡しています。これは刑事事件になりますが、飼い主が刑務所に入ることはまだありません。犬が家を飛び出して通行人を襲えば、飼い主はその責任で刑務所入りは免れないと思いますが、どうでしょう。

3) 世論調査
最近の世論調査でチリ人の58%は幸せと感じていると発表されました。まぁこんな数字どうでも良さそうですが、笑ってしまったのは自由な時間があれば何をしたいですかとの質問に1位はゆっくり寝たい。疲れているのですね。続いてテレビを見る、音楽を聞く・・・これで自分は幸せと言えるのかな?がんばれチリ人ですね。

4) チリ人は世界的なデブだとか、チリの子供は外で遊ばないとか、同じようなニュースが続いていますが、じゃ何故そうなってきたのかというと・・・チリ人の食生活が極端に変化したからだとされています。
40年前に比べ10年前は油脂分(肉類)の消費が40%の増加、逆に野菜類の消費は15%の減少。1997年に平均一人当たり2740カロリーだったのが2003年に2880カロリーに上昇。
これらを皿の大きさで表すと1960年にはチリ人は直径20センチの皿で食べていたのが2007年には直径30センチの皿で食べていることになるとか。無茶苦茶や!
やっぱり金持ちになって、(特に肉類の)食事量が増加したことがデブ化の直接の原因になったわけです。

5) 喫煙制限法
この法律が実施されてはや1年が立ちました。この間、喫煙禁止の場所で喫煙して捕まったとか、学校から100メートル以内の場所で煙草を売ってはいけないのを無視したとかで罰金刑を課された例が全国で487件ありました。
それより重要な点ですが、喫煙者のうち29%は吸う本数が減った、6%は煙草をやめたとなっています。


(スポーツ)
1) 最近、サッカーの話題しか出ませんが、その理由の一つとしてテニスが不調で、チリでトップのゴンサレスはATP大会に参加してもいつも1回戦でやられ、またのご参加をお待ちしていますと言われるばかり。何しろ3回続けて初戦敗退です。それでもまだ世界6位をキープしていますが、先は暗い。

2) サッカーは、もちろん、新しくチリのナショナルチームの監督になったビエルサの動き。とにかく調べ魔らしく各選手の些細なニュースも集めて分析しているらしい。来週の月曜日、9月の欧州遠征のメンバーを発表するとか。この遠征で勝って帰れば彼の名声はいやがうえにも盛り上がるのでしょう。
もっとも彼の指導方法は従来のチリ人のやりかたと全く違うとする報道に対し、「そうではない、例えば現在のチリ大学チームの監督をしているアルツーロ・サラは情報を調べ上げ、それを分析することでチームのレベルアップを図っているが、それはビエルサと同じやりかただ」と、チリ人でスペインのチームの監督をしているペリグリーニはコメントしています。


以上