チリの風  その230 07年7月2日―8日

 チリの風  その230 07年7月2日―8日

土曜日、日本人会の催し物でビンゴうどんがありました。私はうどん作りのお手伝いで午前中に会場に入りましたが、うどんを作る側の年齢が高齢化し、若手の参入がなければ数年後が心配されます。
その晩11時過ぎに帰宅、翌朝はマラソン練習です。今回は久しぶりに水野・リカルド・私の3人グループ走でした。霧雨が降る中、後半はかなり本気で走りました。3人の目標は9月末の30Kレースです。まぁいつも言うようにできるうちが華ですからね。精進、精進。
その夜、息子のサッカーの試合を見に行きましたが、サン・カルロスのサッカー場小雪でした。もちろん選手は半そで半ズボンでプレーですが・・・。


(政治)
1) 野党RNの大統領候補ピニェラに巨額の罰金
彼が昨年ランチリ航空の株を買ったとき、インサイダー取引をしたとして金融証券監督局から3億6千万ペソの罰金がかかりました。これに対し数字を挙げるのが得意のピニェラは同じような取引が過去3年で736件報告されており、罰則されたのは私だけ。いかにも不思議だが、私はこれに逆らわず罰金を払うと記者会見。
これに対し野党UDIの党首がおかしい罰則には素直に従わず裁判に持ち込むべきと彼を批判しています?
もちろん彼は自分の資産からすれば7千万円くらいの損失は痛くもないし、これで政治的に政府に対し優位に立てると判断したのでしょう。この罰金を言い渡した監督局のトップはDC系の人間で、彼はアルベアル党首の推薦でこの職についています。
その局長はピニェラの上げた736件は多すぎるが、多数の疑惑取引があることを認め、過去3年半に遡って調査を進めるとコメントしています。つまり政府関係者の名前が何人か出てくるのでしょうね、必然的に。
さて最近ずっと話題になっている元国鉄総裁の不正事件で、その元総裁は不動産取引会社を設立しており、その株主に与党側の国会議員が多数顔を出している。そのうちの一人でDCの女性党首アルベアルはこんな問題がマスコミで騒がれるのは政治的追求以外の何もでもない。従い私はこの件に関し一切のコメントをしないとしています。ピニェラの件とどう違うのかな?よく彼女の名前が出てきますね。

2) 先週も報告したDC党員サルディバルの造反問題で同議員は反省して頭を下げるどころか逆に党を批判するトーンを高め緊張拡大。彼が本当に党内に影響力を持つなら、これは同党が二分する危機的状況を招くはず。そしてそれが与党連合を二分させ、DCの一部がRNと連合する政変に発展するだろう。この先が楽しみ。

3) ペルー問題
その1)ペルーとの国境(海岸線)問題
ペルーの外相は1929年に結ばれた条約をペルーは遵守しているが、チリはそれを1998年に一方的に変えていると発言。チリで発行された1998年以前の地図とそれ以降のものを提出したいとコメント。
それに対してチリの新聞にペルー外務省発行の地図で現在チリが主張しているとおりの線引きになっているものが掲載され、この問題は一筋縄では行きませんね。
その2)フジモリ問題
日本の新大使がバチェレットに信任状を提出。そのときフジモリ問題も話し合われたと新聞に報道されたが、チリ側は日本の考え方を尊重する方針らしい。どうなるのかな?


(経済)
1) 物価上昇率(IPC)
  いや怖い。6月の物価上昇率は1991年以来、6月としては過去16年間で最高の0.9%を記録し、1―6月合計も2.7%になりこれも過去16年間のワースト。食料品の値上げが主な原因でまだこの傾向は続きそうとか。
  ガソリンの値段の上昇もひどいですね。最近の4ヶ月で115ペソも上がり、チリのガソリン代は世界でトップクラスの値段になってしまいました。
  97オクタンで約680ペソ(120円ほど)です。

2) 経済の好調は相変わらず数字で示されます
  今年の経済成長率は5.8%と上方修正されました。
  これほどの黒字拡大が見込まれれば一般の税金を軽減できるのではないかという意見が出てきます。チリの税収は収入・利益にかかる税金が44%、一般消費税が43%とこの二つで国庫収入の大半を占めています
  これは銅の価格が予想以上に高いことからくる言わば神風ですが、なにしろ税収に大きな割合を占める民間鉱山会社からの税金は10年前の(1997年)30倍とか。儲かって仕方がないわけですね。鉱山会社もチリ国も。


(一般)
1) とうとう新世界の7不思議が発表されました。残念、チリのイースター島は入っていません。しかし私の目には例えばリオのキリスト像なんかどう考えてもそれほどの値打がありません。またチチンイツアのピラミッドはエジプトのピラミッドより格下です。まぁ決まったものは仕方がないですが。

2) もうピノチェットが死んで軍事政権時の話題は消滅かと思われたかもしれませんが、今週「デブのロモ」とよばれていたオスバルド・ロモが刑務所内の病院で死去しました。69歳でした。彼はアジェンデ時代左翼グループに属し、貧困地区の地域活動家として知られましたが、軍事革命が起こると自分のポジションをそっちに替え、秘密警察DINAに所属し、左翼活動家の誘拐、拷問殺害に手を染めました。そのあとチリ軍の助けてブラジルに亡命しましたが、そこで逮捕されチリに送還され裁判にかかっていました。1995年にメキシコのテレビ局の取材でチリでの拷問の方法とかその実態、チリからブラジルへ脱出した様子を詳しく話しています。しかし拷問を毎日やっていると人が苦しむのを見るのが楽しみになっていくのでしょうね。最もこんな例はチリだけではなく世界中どこでもありますが。
彼の家族も秘密にブラジルの脱出し、いまも不正パスポートでそこに住んでいるとか?理解できないですが。

3) この間、報道された湖の水が消えた事件はまだ話題を呼んでいます
   なんでもナサもこれに興味を持って衛星でその動きを詳細にチェックしているそうですが、何と最近になって水がもとに戻っているとか。水が近所に遊びに行っていたらしい?(何?それ)

4) テレビのニュースでパレスチーナなどの中東でデモ隊がピストルを空に向けて撃つ様子が出てきますが、チリでもそんな事件がありました。
   エル・ボスケ地区は麻薬関係など犯罪グループが多く住みますが、そこで対立するグループの間で銃撃戦が起こり多数の死傷者が出ました。銃撃戦になったのですが、100発以上の銃弾が確認されています。で、その3人の死者を埋葬するために墓地にそのグループが終結したとき、グループの中でピストルを持っている人間が約20発の実弾を発砲したというもの。
この地区の組織的麻薬グループの実力は絶大でこの事件の翌日警察が実地検証に入ろうとするといきなり投石の雨に遭う始末。
警察は何をしているのでしょうか?最もチリでは警察が悪いというより、司法に問題があるとされています。というのはせっかく警察が捕まえても即日釈放されるというわけです。例えば、あるグループが銀行の倉庫に向けて穴をほり襲撃しようとした事件で、その穴がわずかにずれて銀行でなく隣りの食料品の倉庫に入ってしまった。警察はその4人組を逮捕したのですが、裁判官は食料品の倉庫に入ったが、何も盗らなかったとして釈放しました。この裁判官、アホとちゃう?
新聞の政治マンガにのりましたが、犯人が裁判官に私は一般社会の危険人物ではありません、たんに一部の市民への危険人物ですとコメントしていましたが、これを聞いた裁判官はじゃ釈放しますと言うのでしょうね。

5) たまには地下鉄の話も書きましょう。2億9千万ドルの追加予算を受けたトランサンティアゴは新交通計画の改善として地下鉄の車両を増やし、1列車に連結する車両を増加するらしい。しかし乗客があふれて駅の入り口を閉めるなんて以前は想像も出来なかったですが、現在では日常です。しかもラッシュ時では列車が駅に入ってきてもそれに乗れない乗客が沢山でていますが、そんな毎日を送るとストレスが高まるのは無理ないですね。
バスだって本数を増やし、乗客のニーズに応えると発表されましたが一向に改善されていないと新聞報道。
とにかく毎月3500万ドルの損失を計上しているので先の2億9千万ドルも年内には使い果たし、来年から自転車操業。また内輪揉めも強烈で資金を貸し出している銀行と運賃の回収に関する技術を担当する会社の間で醜い争い。その技術会社に政府は罰金を課しましたが、彼らは罰金とこれまで働いた分を相殺したものを払いたいと政府とネゴ中。いやはや。

6) 寒波が襲った2週間前、全国で8名のホームレスが凍死しましたが、その問題を軽減するため首都圏ではビクトル・ハラ体育館を彼らのための宿泊所にし、政府は宿泊と翌日の朝食を無料で提供することになりました。この特別処置は冬の終わる8月31日まで継続。


(スポーツ)
1) サッカー
  もうスポーツの問題か、チリ人の教養の問題かわかりませんが、またチリ・ナショナルチームの選手がスキャンダルを起しました。ベネスエラでアメリカ・カップに参加中の選手は、1次予選最終戦の対メキシコで引き分け、勝ち点を4に伸ばし、4チーム中の3位に入り、何だかわからないうちに最下位で予選リーグ突破を決めました。その後、リーグ戦突破のお祝いで羽目を外して飲みすぎ、ホテルの備品を壊したり、従業員にセクハラするとかの問題を起したらしい。国際大会にチリ国を代表して参加しているときにこれでは国民は怒ります。いやまたかと慣れている?しょうもない奴を監督にしてしょうもない選手が代表になっているからこんな事件が継続するのだが、これはバチェレットの責任ではないのでしょうね。
  で、準々決勝でブラジルと対戦。何と6対1で負けました。テニスとちゃうで。もうみんな開いた口がふさがりません。
  もっともカナダの20歳以下の世界選手権の方では、チリは余裕の連勝で勝ち点7で決勝リーグ進出しています。日本も同じ7点で元気なので両方の活躍を私は楽しんでいます。

2) スキー
  これはスポーツより一般の項目かもしれませんがフォーブス誌の発表でスキー場の世界のベスト10にチリのエル・コロラドが入りました。ラテン・アメリカではこことアルゼンチンのバリローチェだけです。チリのスキー場利用者は年間でチリ人50万人、外人20万人とか。


以上