チリの風 その229 07年6月25日―7月1日

チリの風 その229 07年6月25日―7月1日

首都サンティアゴの気温はこの木曜日は最低が1度、最高は23度、金曜日は最低3度、最高27度になりました。これは朝出かけるとき、寒いなぁとマフラーと手袋をつけ、昼からは暑いなぁと半そで半ズボンになるようなものです。もう少しお手柔らかに頼みます。最もこの温暖化のお陰でホームレスの人の凍死が亡くなりました。先週零下の日が続いたときは全国で8名もの凍死が記録されましたから。
しかし今週最も話題を呼んだのはバスが8台燃やされた事件です。ひどい!ちゃんとその夜のBBCのニュースに出ていましたよ。


(政治)
1) バチェレットさんはパラグアイで行われたメルコスール総会に出席し、会議の合間に各国の大統領と面談しています。
とにかく内政では失点続きの彼女が歴史に名前を残すにはボリビアとの領土問題を解決することでしょうね。ペルーのクレームは気にせずボリビアとの関係改善が図れれば彼女の名前は完全にチリ近代史に残ります。
ペルーとのフジモリ問題なんかそれに比べれば小さいものです。彼が日本の国会議員選挙に立候補する話はチリでも28日の新聞に一面トップに掲載されました。フジモリを日本に返せば、チリと日本の親善関係に好影響するだろうし、ペルーのガルシア政府にとっては元大統領を刑務所に入れることは国内に大きな反響を呼ぶことは必至で、それなら日本に戻ってもらった方がましではないかと考えられています。ただし裁判の結果、フジモリが無罪になったらどこに行こうと彼の自由ですが、今は裁判を待つ身ですから、チリ政府も腰を据えて判断してほしいものです。

2) それからレベルが低いが、先日のトランサンティアゴ追加予算の是非について国会採決があった時、与党DCのサルジバル議員が反対票を投じましたが、それに関しDCは彼を追放することも含め党内の懲罰委員会にかけました。それがなんとも不思議なことに結論を出せず、次回の選挙で彼を党の公認から外すなど、分けのわからない懲罰になる可能性が出ています。

3) 前ラゴス大統領を批難する声は日に日に高まっていますが、今週チリ大学で行われた環境問題に関する彼の講演会に反対派グループが押しかけ、彼が大統領だった時代に行われた環境破壊の例をあげながら批判しました。大統領を辞めてから大人しくしていた彼ですが、再選に向けて準備をすすめてくるとこうした伏兵が待っています。


(経済)
1) 失業率が継続して低下
  今年の3−5月の平均失業率は6.7%と98年以来の低い数字になりました。確かに経済の堅調さは実感できます。そして首都圏より、地方の方が失業率が低いのが注目されます。
こうして経済が順調なのに国が傾いて見えるのはひとえに彼女の所為でしょうね。そうバチェレットさんです。彼女の指導力がないので国のまとまりが悪くなっているのです。でも以前のように彼女が大臣なら、じゃ他の人に変えましょうと言えるのですが、今は辞任しない限り彼女を変える方法はありませんね。

2) 収入格差が減少
  2006年の数字で国民の高所得層のトップ10%と最貧困層10%の差が1990年以来最低の13倍になったと発表されました。
  最高所得グループ(チリのたった1%を占める)では各家庭で一人当たりの月収入が280万ペソとか。つまり5人家族では1400万ペソになるわけ。チリにもそんな金持ちがいるわけだ。そう言えば、私の働いている会社の会長は月給が5900万ペソとか聞いている(月給が1千万円ですね)
  その逆のケースでは最貧困層の収入の63%は政府補助らしい。
  トランサンティアゴが始まるまで地下鉄の利用者の中で低所得層は13%しか占めていなかったが、新交通計画が開始されてからは彼らの間にも利用者が増えは現在は21%とか。
(それは新路線が貧困層の多いサンティアゴ南部地区まで走り始めたからですが、しかしそんな調査をする必要があるのかな?)

3) エネルギー問題は教育問題と並んでその改善に最も緊急を要すると考え
ますが、政府はそのエネルギー問題に関して一般家庭に節電を呼びかける方針をとりました。家庭に節電を呼びかけ、節電分にご褒美をつけて各家庭に返すその方針では数%の節電にはなるかもしれないが、究極の解決にはなりません。したがい銅の価格が高くて国庫が潤っている今、アルゼンチンからの天然ガスを切ってでも新しいソースを確保し、それによって上がる電気代の大部分を政府援助するのがベストと思うがどうだろう。来年の冬に、とうとうサンティアゴの一般家庭向けのガスや電気が止まりました、なんて言うニュースを聞きたくないですからね。どうせ止めるのは西部の貧困家庭で、東部の裕福な地区は止まらないでしょうが、そういうやり方が見えるだけに無策が悲しい。

4) コデルコの成績が絶好調というのニュースは先週の風に書きましたが、それにともなって従業員の給料がうなぎのぼり。(基本給は上がらなくてもボーナスがすごい)しかしそのメリットにありつけない下請け企業の従業員がコデルコに待遇改善を訴えてデモに入り、各地のコデルコ鉱山で衝突しました。中でもエル・テニエンテ鉱山では従業員送迎のバスに火をつけ8台が全焼になりました。1台ならわかるが、8台はひどすぎる。その間、警察は何もしなかったのだろうか。道路が封鎖されていたので、鉱山の敷地に入れなかったと言うのだが・・・。緊急事態なら何でもできるはず。
この鉱山には過去数十回訪問しているのでバスが燃やされた周辺の様子はよくわかるし、おまけにその燃やされたバス会社はウチのお客さんで、ランカグアにあるその本社を毎月訪問しているだけに、やりきれない気持ちです。

5) 自動車の販売の増加
新車、中古車とも07年に入って販売が増加し、前年対比で新車が11%、中古車で14%アップらしい。新車の売上トップはトヨタのジャリス、2位がGMのコルサ、3位は日産のV16とか。日本勢の健闘が目立っている。


(一般)
1) サンティアゴの大気汚染
  毎年、この時期になると大気汚染の問題が大きな話題になり、汚染のひどい西部地区の住民が喉などの病気で苦しんでいます。今週、汚染がひどいと準非常事態宣言が出されましたが今年でもう3回目。
このように毎日市内の汚染状況が発表されると、西部地区で危険警報が出た日に、東部のラス・コンデスは正常(全く問題ない)となることも多く、海抜の高い東部地区は汚染地域から抜け出ていることが良く分かります。つまり汚染した空気は市内の海抜の低い地域に沈殿するというわけです。
  病院に患者が来ても収容する能力を超えていて放置されるケースが多く、大統領も厚生大臣も全力で患者にあたっていますとニュースでは言うものの実態はかなり厳しい様子。
  もちろん一般市民は政府の無策を批判していますが、与党内部でも今まで政府の取った方法では大気汚染問題は解決しないとする声が出ており、バチェレットにしてみれば頭の痛いところ。例えば排気ガス対策をしていないバスが市内を走っているのは周知の事実で、本気で大気汚染問題に取り組むなら直ちにそれらの抜本的な取り組みが必要になってくるはず。

2) マリファナの喫煙率でアルゼンチンがチリを抜く
  こんな競争に負けるのはうれしいことですね。国連の発表でアルゼンチンは6%を記録しラテンアメリカの1位になったらしい。チリは5.3%でした。最も世界平均が5%らしいので、まだまだ改善の必要があります。

(スポーツ)
1) 今週の話題はなんと言ってもサッカーですが、その前にテニス。
  ロンドンのウィンブルドン大会に参加していたゴンサレスは1回戦2回戦と勝ち抜きましたが、3回戦で格下の相手に惜敗。第5セットでマッチポイントまで行きながら勝ちきれず、その後ズルズルと落ちていきました。自分のふがいなさに怒ってラケットをたたきつけていましたが、チリの選手は何かたりませんね。

2) サッカー
さて二つの国際大会が同時に開催されていますが、先ずベネスエラのアメリカップ。劣勢と言われた1試合目の対エクアドル戦に何と3対2でかろうじて勝ちました。この試合、会社から戻ってすぐテレビの前に座りましたが、もう後半で、2対1で負けていました。いかんこれではと苦渋の観戦になりましたが、なんと試合の最後に2点とって逆転。もちろん私はいつものごとく、窓を開けて大声でチリのゴールを近所の皆さんにお知らせしました。翌日アパートの守衛さんから、また叫んでいましたねと言われる。
勢いに乗ったチリは2戦目、強敵ブラジルにあたったが、3対0で惨敗。まぁいつものことで驚きません。
一方の20歳以下の世界選手権はカナダのトロントで開催されていますが、チリは初戦を地元カナダと対戦し3対0で楽勝しました。力の差がはっきり表れていて、1対1で向かい合うとチリの選手はカナダの選手を置き去りにしていきます。カナダはまだレベルが低い。
さて来週、この続きはどうなっているかな?
私の予想(大人の方は1次リーグで敗退、20歳以下は1次リーグを突破)は当たるかな?


以上