チリの風 その208 07年1月22日―28日

チリの風 その208 07年1月22日―28日

サンティアゴは毎日暑い夏の日が続いています。南部の州では雨も降りますが、首都から北の地区は夏中全く雨は降りません。
そうした天候に恵まれて、美味しい果物が安く店頭に並んでいます。
今週、チリの夜空に彗星がくると聞いたので,夜の公園にいって空を見上げていましたが、見られませんでした。残念。次回は見たいもの。
さてアフリカ紀行文,本気で書いていますよ。南ア到着日から大狂乱でしたから,もう無事帰国した現在でも良くあの危機を乗り越えたものだと思い出します。乞うご期待。


(政治)
1) 新しい2州が誕生しましたが,従来の第1州の北部が分離した第15州はペルーと国境線を接しています。従来からその国境線を巡ってペルーと揉めていたのですが、お互いにあいまいな表現で自国の領土と主張することで波風を立てないようにしていました。ところが今回、その新州の境界線として従来のチリの主張を明確にしたため、ペルー側も沈黙を守ることが出来ず,これにクレームし、せっかくよくなっていた両国の関係に黄信号がともっています。

2) 国税局に赤信号。
事件の発端は政治関連でした。政治資金の不正な使用を合法化するためにありもしない幽霊会社の領収書を使用していた国会議員が見つかったのですが、それを調査する段階で、領収書の不正を調べる側の国税局の局員がその不正に関与していたことが発覚してきたもの。現在までに課長級の人間を含め5人逮捕されました。「私にすべてを任せなさい、100万円だせば領収書の不正問題は全部きれいに流してあげます」なんて言う役人がいるのでしょうね。さぁバチェレットどうする?もちろん現在発覚しているのは氷山の一角でこれからどんどん出て来るのでしょう。
ところで、政治献金の実態と言う記事がでましたが、どの党がいくら献金を受け取っていたかと言うものです。05年の上院議員団の例ですが、受領総金額のトップは右翼のUDIで22億ペソ、続いて与党のキリスト教民主党が9億ペソ,野党のRNが4億ペソ、可哀想なのは与党のその他の3党で、合計でわずか3億ペソ。別に悪事を働いた社会党やPPDの与党議員を庇う気はありませんが,これだけはっきり援助額に差が出ると同じ土俵で戦えないとなるのでしょうね。ポスターを作って,それを壁にはって・・・そういう費用は与党も野党も同じようにかかるのですからね。
で,裁判所に出頭した疑惑のPPD議員ジラルディは「私も真偽の程を知りたい,何しろ選挙中、会計についてはすべて他人に任していた」と涼しい顔でコメント。

3) チレ・デポルテの女性次官はスポーツ援助金が政治資金へ流用されたとする疑惑の困難な状況下、なんとか組織崩壊を防ぐべく尽力していましたが、学歴詐称が発覚。翌日,辞任しました。
この発覚の経緯は馬鹿らしいものでした。今年1月に発行されたある雑誌に彼女のインタビューが掲載されましたが、その中で学歴についてコメントしています。その中でつじつまの会わない所があり、彼女と面談した記者が当の大学に問い合わせて発覚したもの。今週は彼女についての特集が各新聞で取り上げられ,「彼女の多くの虚偽の申告のどこが本当か」などとおちょくられて書かれています。おまけに彼女の数度の結婚歴などがこと細かく書かれ、これで彼女は政府関係の仕事にも政治関係の役職にもつけないでしょう。
   同じように他の政府高官の名簿が見直され,何日もたたないうちに何と約半数の人間の学歴が訂正されました。大学院卒業となっていたのが大学院に入学はしたものの卒業できなかったという例が多いようです。しかし、ばれないなら学士より修士,博士の方が箔がつくと思うわけですね。
隣りの国の前大統領も同じエラーをしていましたね。

4) フレイ元大統領は殺されたと、その息子のフレイ元大統領が裁判所に訴えでましたが、政府はそれを支持すると内部大臣が表明しました。事件究明に向け進展が見込まれます。もちろん軍部の黒い機関が,先年亡くなった元帥の指示を受けて毒殺したと言うことになるのでしょうが、何故軍部が彼を毒殺する必要があったか知りたいですね。

5) 大学入試制度を監視する制度を国会で可決。
これは今月発表になった大学入試の結果、以前にもまして、私立高校生の成績が公立学校の生徒のそれを上回ったことになりました。このため,現行の入試制度が正しい方法で実施されているのか検査する機関がないのはおかしいと国会が判断したもの。


(経済)
1) さぁ07年はどんな年になるのか、気になりますが、政府の機関に届出のあった投資計画によると07年は前年対比7%の投資が行われ今年も活発な動きのあることを示しています。最も巨額の投資はマイン関連でエスペランサ鉱山に7億ドルが予定されています、

2) 経済が好調だと、当然失業率は下がりますが、首都サンティアゴの失業率は06年末で9.1%を記録,これは98年以来最低の記録です。
また家庭の実態では、失業者のいない家庭86%, 失業者と就業者のいる家庭12%、全員失業の厳しい家庭が2%とか。

3) 06年のチリ経済が好調だった例として、家屋の売れ行きが過去最高を記録し8年前の2倍になったとか、銀行の利益が過去最高を記録したとかがあります。その一番利益を出した銀行はサンタンデールサンティアゴ銀行で利益は5億4千万ドルとかで、銀行業界にとって07年は更に輪を書いて素晴らしい年になると予想されています。


(一般)
1) 小さな巨人と呼ばれる7メートルもあるフランス製の操り人形がサンティアゴに登場。10万人の市民を興奮させました。操り人形ですが,ちゃんと昼寝をするといびきをして口をもぐもぐさせるなど芸が細かい。
これを見ようと家族連れが首都サンティアゴの道路や大統領官邸前の広場を埋め尽くしました・

2) トランサンティアゴ計画実施まであと2週間と迫りました。やっと私のアパートに地図のついた説明書が届けられました。で、私のアパートから町の中心に行くバスの番号とか走るルートがわかりました。ただバスとバスの乗り継ぎ,バスと地下鉄の乗り継ぎの料金の払い方(一方を払うともう一方は値段が安くなる)がまだ良く分かりません。
受け取った説明書にはそれが書いてないのですが,多分その説明書を作ったときまだ乗り継ぎ運賃の詳細が固まってなかったようです???
それから大半のバスの運転手が、計画実施後自分がどのルートを走るのか分からないと回答しているのが注目されます。
さらに、せっかく出来た新しいバス停留所の破壊、落書きがひどく、補修費が必要になっています。残念ですが、悲しいチリの実態です。
   バチェレット大統領はこの新制度は2月10日から実施する。一日もおくれることはないと明言していますが・・・。

3) バルパライソに何と4隻の豪華客船が同時に入港しました。それらの乗客は合計300台のバスで近郊の観光に繰り出しました。それらの一隻の船内劇場は座席が何と1200あるというのですから驚きです。しかしこんな豪華船で世界中をゆっくり回る人もいるのですね。
   今年4月までに10隻が入港し,合計8万2千人の乗客が上陸するとか。

4) ビーニャの高級マンションで、マスコットとして飼われている動物は集合住宅ではふさわしくないとする訴えを裁判所が認定したため,このアパートに住んでいる30家族は動物を手放すか,自分たちも一緒に出て行くかの選択を迫られています。
(集合住宅の場合はそれぞれの建物で違った合意書を作成できるのでこの判決がチリのすべてのアパートに適応されるわけではありません)

5) 電話
   とうとうチリでは電話と言えば携帯を指すようになりました。06年の通話本数,通話時間とも携帯が常設電話を超えました。


(スポーツ)
1) この日曜日(28日)ほどチリ人がスポーツに興奮した日は近年にありません。そしてその結果は?
テニスの4大大会豪州オープンでチリのゴンサレスは決勝に進出し世界1位のスイスのフェデレルと対戦しました。この日まで世界2位のナダンにも快勝しており期待はいやがうえにも盛り上がる。
しかし過去9度対戦して一度も勝てなかったゴンサレスはこの日も3セット中、一セットも取れず、惨敗しました。世界1の座はまだまだ遠い。

2) それだけではありません、その日の午後、パラグアイで開催中の20歳以下の南米大会でチリ代表は南米2位をかけてパラグアイと対戦。この試合,チリが勝って、2位のウルグアイがアルゼンチンに負けるか引き分けるとチリは南米2位に食い込み,北京の五輪とカナダでの世界大会の両方に出場する権利を得ます。
テレビの前に座って興奮する私。先ず先制の1点をチリが。なっ、決まってるやん。決勝リーグに入って負け無しのチリや、アルゼンチン、ブラジルにも引き分けてるんやからな、最下位近いパラグアイに勝つのは当然や。当然そのゴールが入ったときは窓を大きく開けて,近所の皆さんにチリのゴールをお知らせしました。
しかし後半に入り、審判がありもしない(と私には見えた)PKを取ると風向きが変わり,何と3対2で惜敗。オリンピックの夢は消えました。
テニスとサッカーで世界の頂点に近づくと言う夢はこうして両方とも逃げていってしまいました。
それから同じくサッカーの話ですが,昨年末,スペインに渡ったゴンサレスが属するビジャレアルはリーグ戦で歴史上初めてレアル・マドリッドに1対0で勝ちました。そのゴールを演出したのがゴンサレスで同チームのファンは大喜び。まぁ少しくらいよい話がなければ。

以上