チリの風  その206  06年12月25日―30日

チリの風  その206  06年12月25日―30日

チリではいつもは大晦日に全国各地で大花火大会がありますが,私の住むラス・コンデス区ではクリスマスの夜にもそれを行いました。アパートのベランダのイスに座って空を眺めていました。あー1年が過ぎていくのだと感慨深く。
と言いながらも連日33度,34度の暑さでは身体はぐったりです。
さて12月31日の早朝にアフリカに向けて出発するので今年のチリの風は12月30日が最後の日になります。しかし早いものですね。この1年。多分来年も再来年もそんな風にあっとすぎさって行くのでしょうが。
しかし健康に恵まれている私でも老齢化を感じるのですから,日ごろ健康に留意していない人は年末年始の忙しい時期を楽しく過すのは至難の技ではないでしょうか。もっとも病気や怪我の人の苦しみを思うと贅沢はいえません。私の事故の件については下記します。
皆さん元気でよいお年を迎えください。


(政治)
1)例の件がどうなるのか,どきどきしながら毎日のニュースを見ていますが,事実は小説よりも奇なりと言うごとく、チリ政界の動きは全く予断を許しません。先週,お知らせした与党内の内部告発は今週になって更に亀裂を大きくし次のように進展しています。
A)内部告発の一人PPDの元党首で同党の創始者の一人シャウウスンが除名処分になる。これは正式な裁判にしてでも白黒をつけるという党にとって最高の防御手段。最高と言うのはもちろん勝った場合で負けた場合は逆に党の崩壊を招く最悪の手段になる。つまり思い切って勝負に出たわけ。
   除名された本人はイラクで絞首刑になったフセインのほうが私よりまだ弁明の機会を与えられたとコメントしている。
B)これで他の反逆分子がシュントするかと思われたが,前回半分ほどの力で反逆したフローレス議員とその仲間が,逆にシャウスンを復帰させなければ自分たちも脱党すると逆襲。さらに元公共事業省大臣のエチェベリーがこれに追随して脱党宣言。つまりPPDでは選挙費用の不正支出が発覚している議員が措置を受けず、不正を告発した人間が除名になると言う不可解な事態になっている。不正は裁判で有罪になるまでは不正でないが,内部告発は許さないと言う見事な図式を国民の前にさらしたわけ。
一方,もう一つの問題党PS(社会党)は同じ趣旨の発言をしたマルテル元党首を完全凍結(噂にも出さない無視)し沈黙を守っています。
しかしこんな無茶が通るほどチリ国民はアホとちゃうで。
とにかく公共事業省の不正、官僚の不正上乗せ給与、国家機密費の流用,スポーツ振興費用の流用、失業対策費用の流用・・・いくつたまれば政権転覆になるのかな?
C)バチェレットはこれらに関し,党内の問題で政府が口を出す事項ではないと賢く沈黙を続けています。
D)チリ・カトリックの最高峰になるサンティアゴ大司教が鋭く政府の批判し、常に政権の交代をになえる選択肢を持つことはチリにとって有効だとコメント。フーム。

2)テレビの番組で今年のチリの最大ニュースは何かという番組で1位はペンギン騒ぎ(高校生の叛乱),2位が現在大騒ぎの政党・議員の汚職問題,3位にピノチェットの死去となりました。バチェレット政権誕生は大ニュースにならないのかな?

3)近隣諸国の同行
大混乱の前触れが続くボリビアですが、在チリの新公使が発表になりました。そのフィノット氏はとにかくアリカ北部にボリビア専用回路を認定するのが両国間の問題解決のための唯一の方法と力説。
一方のペルーは好調が続き、06年は1995年以来で最高の経済の伸びを記録とか。インフレも2.4%と低く、一人当たりのGNPは3200ドルまで上昇しています。


(経済)
1)チリの株式市場は好調が続き,03年から4年連続で記録を破っています。03年時に比較して何と170%の利益が計上されている由。
2)銅の今年度平均価格はポンドあたり3.05ドルと新記録。ほとんど05年の2倍の価格。
3)今年後半になって失業率の低下も顕著です。
4)ドル価格は弱含みで昨年末の512ペソが今年の末は532ペソでした。ペソが強いと輸入業者には好都合ですが,輸出業者の鳴き声が聞こえそう。
5)今年は銀行業の当たり年で顧客数,営業収益、貸し付け金額のすべてで新記録とか。彼らがそんなに喜べるのは貸し付け条件が良くなったので顧客が増えたのか,誰にでも貸しているのかのどちらかでしょう?


(一般)
1)バルパライソで今年で第6回目になる文化カーニバルが開催されています。もっともカーニバルといってもブラジルのそれのように国中,街中が気の狂ったように踊りまくると言うのではなく、文化カーニバルと言うように何日かに渡って音楽や演劇のショーが開かれそれが無料で楽しめると言うものです。今年はパナマから音楽隊が招かれ,同国の旅行相も來智。で,なんとバチェレット大統領が彼らのバンドの音楽に合わせて踊っていましたが,体重は確かに超過ですが,なかなかリズムに乗って上手に踊っていました。(注 最近バチェレットは確かにダイエット効果ででています。顔なんかややほっそりしてきました) 
晦日バルパライソ,ビーニャあたりの海岸で花火大会が行われます。何でも100万人近い人出が見込まれていますが1週間前の月曜日から花火の良く見える海岸沿いの高台に人々が場所取り合戦を始めました。二日前にはもうあいた所はないくらいの混みようです。

2)鯨ウォッチング
アルゼンチンが鯨見物では有名ですが,最近チリの北部(3・4州)で鯨ウォッチングが知られるようになってきました。3州と4州の州境あたりに現在約50頭の鯨が生息しています。専門家の意見では推定年齢16歳の鯨もいるとかで、2004年ごろから所在が確認され始め、既に同じ場所に戻ってきている鯨も確認されています。

3)ことしの考古学10大発見と言うレポートの中で10位にブラジルで英国のスト−ンヘンジに似た石のサークルが発見されたと言うのがありました。私は以前からブラジルには未知の文明が眠っていると考えていましたので、これについてもっと詳しくしりたいです。

4)労働災害について
ある役職者がランカグアで働いていた所,急に眩暈がして一瞬意識を失う。同行のセールスマンは驚いて本社に連絡し、その指示の通り、同市の労災病院に連れて行く。心臓発作の疑いがあるというので,その病院は心臓の専門医のいるほかの病院にその患者を送り込む。各種の検査の結果,この病院で,丸一日は安静にするよう患者に指示。ところが患者がサンティアゴに戻ることを主張したので医師を含む医療チームを含む救急者でサンティアゴの病院に。そこでも各種の検査を受け,翌日の夕方退院の許可が出る。しかしすごいですね、労働者がこんなに優遇されるなんて。
実はこの患者は私でした。
HELPという会社の救急車に乗ったら、すぐに出発しないのでなぜか問い合わせると、一応病院から検査結果は聞いているが,自分たちも検査しないと安心して車を出せないと言うものでした。途中で死なれては責任問題になるからでしょう。まぁ私の場合は高温からのめまいだったかもしれませんが、心臓や脳波には異常がなく,スポーツも継続できることができます。
それにしてもおかしかったのは心臓発作の可能性を持って入院した私は部屋の中も歩くことが許されず,ただベッドの中で寝ているよう指示されました。その患者を,翌日、歩行マシーンのところに連れて行き、準備運動もせずに機械の上を、いきなり歩き始めされました。段段速度を上げ、20分間汗びっしょりになって歩く・走るをしましたが、心臓発作の患者がこれで死んだらどうするのかと思いました。
翌29日会社に行ったら、心臓麻痺で死にそうとの噂が流れており、関係会社からも問い合わせが沢山入りました。まだ死にません。
で、31日のアフリカの旅は異常な始まりになります。


(スポーツ)
1)サッカー  なんとチリのナショナル・チームがスペインのアラゴン州代表と対戦し0対1で負けました。しかし一国を代表するチームが無様な試合内容の上に敗戦するなんて全く言い訳の出来ない出来事。
    それでもコロコロからスペインのビジャレアルに移籍したマチゴールことフェルナンデスは地元のファンの歓声を受けながら練習に入りました。来年早々のデビューが見込まれます。彼は今年の南米のベストプレーヤ−に選定されました。チリでこの賞を受けるのは3人目とか。

2)ローラースケートホッケー
    今年ユース世界選手権優勝に輝いたチリ・チームがスペインを訪問し,バルセロナ地区代表と対戦し,惨めに負けました。世界1位と言うのも地元のひいきだったのかな?なんだかサッカーとホッケーが同じ結果と言うのが不愉快。


良いお年を