チリの風 その187 06年8月14日-20日

チリの風 その187 06年8月14日-20日

急に気温が上がって一気に夏の様子。春を飛ばしてしまって夏!日曜日なんか28度を記録。で、その日のマラソン練習も今までの冬支度から夏仕様のユニフォームに換えました。そして新記録を狙って16kを飛ばしたのですが残念タイ記録。あかん、その疲労で午後は動けませんでした。
さてその前夜、土曜日、日本人会でビンゴ・うどんの催し物がありました。私はうどん作りのお手伝いをしましたが、盛会に終わってよかったです。さてそのうどんボランタリーは5名でしたが、年齢は70歳、65,60,55,45歳でした。これでは後進を育てないといけませんね。
今週は気温が上がっただけではありません。アポキンド通りに18を祝う飾りがつけられました。チリ人にとって18(ディエシオチョと発音してください)は特別な数字で、これを聞くと9月、建国記念、春、お祭り、アサード、さらに老人はもう1年長生きできると言う「喜び」の象徴なのです。


(政治)
1) バチェレットが大統領の任期が4年は短すぎるから5年にしようと持ち出しました。彼女が実に良く仕事しているので4年で終わってしまうのはもったいないと国民の間から出てくれば素晴らしいのですが、人気に陰りのでている彼女が自分から言い出しては・・・惨めな気がします。その発言の直後に、同僚の元大統領エイルウィンが私の政権も4年でしたがちゃんと目的は果たしましたよと軽くコメント。
オバちゃん痛々しい。このアイデアが出てきたのは、まだ彼女の政権が始まったばかりと言うのに、次の選挙の候補者騒ぎが過熱してきておばちゃんの話題が消えてきたからでしょう。
たまには言いたい、がんばれ!おばちゃん
私は彼女が嫌いなわけではありません。彼女は人間的に立派な人と思います。ただ大統領職には向いてないだけです。

2) さて久しぶりにピノチェットの登場です。実は毎週のようにチョコチョコニュースには出ていたのですが、地味なものばかりなので取り上げていませんでした。さて今週はかなり派手な取り扱いです。
ご存知の通り、超長期政権のキューバカストロが健康問題から先を危ぶまれています。同じように30数年に渡ってパラグアイを牛耳っていたストロエスネルが今週ブラジルで死亡。するとラテンアメリカ3大独裁者のもう一人にスポットがあたります。ピノチェットです。

その彼のニュースの一つは、チリ陸軍長官が、万が一彼が死去することになったら政府はそれなりの葬儀を国を挙げて実行してもらいたいと打ち上げたのに対し、政府は冷ややかなもしくは拒否した態度を示しました。さらに彼の莫大な財産の基礎になったのが軍事政権時の不時の災害に備えて持っていた予備金の流用だった疑いが強まり、審議が始まります。もっとも同じような疑惑、裁判沙汰で今まで一度も結審したことがなく、(今年の2月に初結審の噂があったが、延び延びになっている)、自宅で悠々としている彼には痛くも痒くもないでしょう。

まだありますよ。元大統領のフレイは(最近もニュースにでているフレイはその息子で、今話題になっているのは父親の方)病死したことになっていますが、その死因が疑わしいとかねてから噂されていました。死後20年以上もたってからその死に関わった医者が死因に疑問がある(死因は彼の持病ならびにそれに関連した病状からのものではなかった)とし、第3者の関与を示唆しました。そしてそこにピノチェットが登場し、彼の指示で秘密警察が毒を盛ったのではないかと言うわけ。さてどこまで究明されるか。

3) 久しぶりにボリビアの話題。少し前(5月1日)に天然ガスの国営化を発表し世界の注目を集めたボリビアですが、さすがにレベルが低いと言うか、先進国はただものではないと言うか、ガスを国営化した段階ではボリビア国家収入の順調な伸びとそれをどう国政に反映するかが期待されましたが、数ヶ月たった段階で、国家収入増がほとんど無いことが確認されました。実力のない新オーナーが前オーナーが今までどうして莫大な収益を上げていたのかつかめないと言うことでしょうか?前オーナーの隠しているのを見つけられない子供の宝捜しみたいな気もしますが。新聞には厳しく、効果的な生産も出来ないし、製品(ガス)の販売先も見つけられないとなっています。しかしそれほどボリビア政府って商売を知らないのでしょうか?


(経済)
1) チリの諸外国との経済関係についての識者のコメントが新聞に出ていましたが、それによるとメルコ―スール離れとCANへの接近は大多数が疑問視している。中国との自由貿易協定が締結に向けて順調に進んでいるのを歓迎する見方が多いが、日本とのそれはほとんど進展がないと厳しい評価。もっともそれはチリ側の問題と言うより日本側の問題といえなくも無いだろうが。

2) エスコンディーダ鉱山の話題
   労働組合と本社の話し合いが進まず、会社側は組合員以外の労働者を使って最低限の生産活動を行ってきましたが、これも阻止せんと組合側が道路を封鎖し、完全にマインをブロック。これに警察が介入してもめる騒ぎになりました。
   それまでこれは私企業の問題と口をはさまなかった政府が何とか穏便にと両者に要請。会談が再会、会社側は乙波条件を上げ、歩み寄っています。さてどうなるか。

3) チリは世界で7番目の長時間労働の国と発表されました。へーと言う気がしますが、日本は10位に入っていません。そうか日本の長時間労働はもう過去のものか?1位は韓国(なるほど)、しかし2位はなんとメキシコ(嘘!ホント?)3位は香港とか。チリも7位なら世界レベルなのですね。チリでは良く働くことを中国人のように働くと言いますが・・・・

4) 少し前にセルロース工場から出た工場廃水で首黒白鳥が大量に死んだ事件がありましたが、その工場はルートを替えて川を使わず配水管を使って海に流すことにしました。それに反対する地元の漁師と海軍の巡視艇が衝突し、軍隊側が発砲する騒ぎになっています。しかし生活がかかっているだけに漁師の方もおとなしくはしていません。


(一般)
1) ラテンアメリカではCDやDVDの海賊版が出回るのは通常のことですが、今週問題視されたのは、それ以上のレベル。さてある官庁で、秘書が海賊版のDVDをメールで役所の近辺者に乙波していました。それが国会議員の手に入り、ただちに捜査開始。なんとその官庁内で正規DVDを基に海賊版を作成していたらしい。関係者全員を首にしてほしいですね。

2) モネダ宮殿の前にある文化センターに行ってみましたが、ニカノール・パラと言う芸術家の作品の展示です。入ってすぐのところにチリの歴代大統領の人形が全員、絞首刑になって吊り下げられていました。これがどういう意味なのか私にはよく理解できませんが、そういう芸術を許すチリ政府はなかなかのものだと思いました。頭の古い私なら、芸術作品とは言え、その展示を許可しないでしょうから。そしてその前の壁には世界のTシャツと書いてあってナチス共産党のマークの入った2枚のシャツが大きく張り出されていました。芸術の言うのも理解するのは困難なものですね。

3) ピスコと言えば、南米では良く知られた酒です。ペルーのピスコ地方で作りはじめられたので、その名前がつきましたが、チリでは第4州を中心にたくさん作られ、その製品名で世界各地に輸出されています。まぁビールとかウィスキーというのと同じ感覚です。それをペルーはチリ産の酒にピスコと言う名称を使わさせないよう諸外国に要請していましたが、今回結論が出てチリ側の勝利に終わりました。ペルー側ではトレド大統領がだらしないからこんなことになったとカンカンに怒っているらしい。ごめんね。

4) トランサンティアゴ新交通計画は今までさんざんな出発ですが、今週はそれに輪をかけて、悲惨な事件。何者かがバスに乗り込み油をかけて下車、それに火をつけたもの。もちろんバスは全焼。その可哀想なバス会社と私は来週、商談が入っていますが・・・
バスに火をつけたグループは政治的パンフェレットを残しています。
それとは別のバス会社にテストタイヤの検品にいって聞いた話ですが、バスの車体に落書きする、ガラスに傷をつけるの他に、とうとう連結部の覆いをナイフで切りつける事件が発生。その損傷修理費用が馬鹿にならないらしい。それらは最終的にはバス代の値上げにつながり、自分たちの生活に影響するのに・・・分からないのかな?
地下鉄はこの種の損傷が少ないのですが、犯罪者もメトロは尊重しているのかな?

5) 学校の先生がストを予定していますが、第1段は自分たちだけで、第2段は高校生を巻き込んでとのこと。良く分かりませんが、また社会問題になるでしょうね。大人の喧嘩に子供を巻き込むなって。
チリ全国労働組合は総決起大会を開き9月は闘争の月にするとはりきっています。国鉄のストが今週から始まりました。


(スポーツ)
1)サッカー
 私はチリの国際試合のときはテレビの前に神妙に座り、チリがゴールを上げると窓ガラスをあけて近所の皆様にチリのゴールを高々とお知らせるのが習慣でした。もちろん「うるさい黙れ中国人」と言われる可能性もあるのですが。
   しかし今週の水曜日に行われた対コロンビア戦では、チリのゴールに反応せず、冷ややかにテレビの前に座ったままでした。この前の欧州遠征であれほど気合の入った試合をしたチリイレブンが本拠地サンティアゴで全くめぼしい収穫もなく2対1で敗戦。
   おまけにチームの中心メンバーが試合の前にもディスコで踊っているとかテレビの芸能番組に出るとかプロとして集中にかけるとの批判が続出、これは一部の選手の問題なのかチリ社会の特性なのかと話題が広がっています。

2)テニス
   で、もうサッカーの話は止めてテニスの話をしようというチリ人が増えています。例のリオスはシニア―の世界ツァーで無敗を続け、当然世界1のランクになっています。
   一般のATPでもゴンサレスアメリカの大会で準決勝まで勝ち進み、とうとう世界ランキングで10位まで上がってきました。


以上