チリの風 その180 06年6月12日-18日

チリの風 その180 06年6月12日-18日

冬らしく寒い日が続いています。と言いながら太陽が出ると、日中20度くらいまで気温が上がって暖房が全く必要でないくらいになるのですが。
さてWカップの話。12日の豪州戦のサッカーは悔しい結果でした。日本人有志が集まって応援すべくあるパブに集合しましたが、そのパブのテレビでは試合の中継が見られず、がっかりして家に帰ったら、なんと試合に負けてしまい、みんなで慰めあう代わりにこっそり泣きました。もちろん翌日会社で馬鹿にされること・・・いつも他の社員にチリはWカップに参加していない、しかし日本はしていると威張っているからです。
そして18日のクロアチア戦も見ていて悲しいほどの酷い内容で,日本はWカップに参加は出来ても勝ち上がれないのははっきりしていました。


(政治)
1)バチェレット政権の最初の百日がやってきますが、世間の目は厳しいです。世論調査では政権支持率が5月の67%から6月は56%と大幅ダウン。もちろんこれは先日の高校生ストをうまく対処できなかったことからくるものでしょう。世論はバチェレットは信用できるが、大臣はかなり入れ替える必要があると考えているとか。
文部大臣だけじゃないですね,国民が疑問視しているのは。

2)しかし野党側も惨めです。チリの国会議員選挙は単純に得票多いほうが勝つ仕組みではありません。これは軍事政権が考えた仕組みで二人が当選する選挙区では、ほとんど両方が一人ずつ選出されます。野党側か与党側が二人とも取るには得票合計が相手側の二倍になる必要があります。こうしたインチキくさい仕組みをやめて通常のやりかたにしようと先の選挙の時には野党も与党も言っていたのに,今回与党がそれを提出すると野党は、これは自分にとって不利になるから受けられませんと拒否。
恥ずかしい野党の対応に開いた口がふさがりません。

3)検察医機関が発表した軍事政権時に行方不明になっていた人間の死体の身元が間違っていたというのが、この4月に大問題になりました。それから検察医機関の実態が調べられ始め、それをTVNの特別番組で発表されました。なんと医師が書いた検死書を後で訂正するよう圧力がかかった実態があったらしい。これで行くと例えば,殺人の判定を自殺とか事故死にすれば、それで犯人は追及される必要が無くなります!!!
この醜聞がどこまで広がるか分かりませんが,既にダイレクタ―の一人が辞任,このほか検察医の仕事をサスペンドされた医師が出ています。

4)与党議員団のボリビアのラ・パス訪問は先週の風で書きましたが、これに関し隣国との友好を深める正しい訪問だったとする見解と,バチェレットに統率力が無いことを暴露した,つまり与党の議員団はチリ国内でボリビア問題をどうするか議論せずに向こうで話し合っているとする見解に分かれました。
もう一方の隣国ペルーですが,次期大統領のガルシアはバチェレットの招待を受け来週チリを訪問したいと発表しています。

5)南米各国の大統領の給料が新聞に掲載されましたが,なんと一番高いのはペルーのトレドで8450ドル,一番安いのはベネスエラのチャべスで1250ドルでした。チリは高い方で4200ドル。しかし誰もこの数字を信用しないでしょうね。バチェレットが毎日服装を変えてテレビに映るためにはこの給料では、服装代だけで給料が消えるはず。それとも住宅費用などの生活費用、お手伝いさんの給料やら、衣服の費用も全部国庫負担で,給料と言うのはこづかいのことなのでしょうか。


(経済)
1)ガソリン代の高騰問題
   これはバチェレットを襲う次の難題です。このままガソリン価格の高騰が続けば(12日の月曜日に大幅アップ)1リットルで700ペソ(約120円)になりそうです。
バス代の値上げで(今週から370ペソに20ペソ値上げ)一般市民に影響しているほか、トラック組合が実力行使を持ち出してきています。運送費が上がらず、経費が上がればトラック業界は軒並み倒産の危機に陥るのは自明で、これを政府介入で問題軽減してほしいというもの。さて政府の対応は?
   しかし新聞の論調に掲載されていましたが、最近,国会で消費税の1%アップ(正しくは、下げると約束していたものを下げない)で6億ドルほどの国庫収入が確保されるのなら石油税を37%さげ(つまり1リットルあたり90ペソダウン)でも国庫に影響は無いとしている。
   とにかくガソリン,ディーゼルの価格アップは同時に税金アップだが、予定された以上の税金は取る必要が無いと考えれば石油税を下げるのはここで政府が取りうる政策の一つと思うのですが・・・
   ガソリン価格の中に含まれる税金は石油特別税と消費税でその合計は現在ほぼ40%です。これで1年間に国庫収入になるのは15億ペソとか。

2)世界経済市況の低迷
   5月10日から6月14日までの世界的な商品市況の大幅落下の中でチリでも10数%下落しています。この風がチリにどう逆風になって襲ってくるのか要注意です。

3)エネルギー源問題
   アルゼンチンからの天然ガスは既に契約料の半数はカットされていますが、これが最悪全量停止も考えられ、その時の対応が問題になっています。
   この話題は過去から継続して問題になっているわけですが,特にチリ北部の鉱山向け電力では供給先の2社が対立しており、問題の軽減,解決のためには他のエネルギー源の調達が欠かせません。それが何に決まっても経費アップから電気代アップになるのは避けられません。
   アルゼンチンはボリビアからガスを輸入しながら,チリに輸出するのはどう考えても無理でしょう。しかしアルゼンチンからの天然ガス導入を決定したときのばら色の話はどこに消えたのか不思議です。


(一般)
1)チリの交通事故は世界トップクラスの酷さ
   こういう数字の世界トップは困りますね。チリでは1万人あたり12人が毎年交通事故で死んでいます。もっとひどいのはコロンビアで20人。日本はずっと低い1,2人で非常に良い数字になっています。つまり日本の人口はチリの約10倍なのに交通事故の死亡者の数は同じと言うことです。
   チリの交通事故死で一番多いのは歩行者が轢かれる事故で,次いで自動車間の衝突事故です。国会でもこの問題に取り込んでおり,早急に住宅地での速度制限を厳しくする、対面道路に分離帯を設置するなど法制化が急がれます。

2)ボリビア政府への死体返還要求
   先週,ボリビアを訪問したチリの国会議員側からボリビア政府にチリ人の死体返還要求がでました。これは例のチェ・ゲバラ(アルゼンチン人ですが、カストロと組んでキューバ革命を成功させ,それを南米でも実現させるべくボリビアに入ったものの,ボリビア政府に逮捕され処刑された)と組んでゲリラ活動を行った人間の中に、何人かのチリ人がいたわけです。彼らもゲバラと同時期に処刑されています。
   しかしモラレス大統領はチェ・ゲバラの遺業を大事にしたとさえ言い出しています。

ところで、彼は2年後には公務員は全員スペイン語以外の現地語を一つは話せることを採用の条件にしたいとしている。面白い
(現地語とはケチュアアイマラグアラニ語です)


(スポーツ)
1)スキー
   いよいよスキーシーズンですね。もう1メートル以上の積雪があるそうです。サンティアゴ近郊では次の三つのスキー場があります。首都の東側にあるファレジョネス地区、ここが一番近いスキー場で、このパルバと呼ばれるスキー場は20箇所のレーンをもっており、リフト代は週末で23500ペソとか、高いな。そこまでの道を整備したものにするため近年中に高速道路のように通行料を払わされる仕組みになりそう。
南地区ではカホン・デ・マイポ地区にスキー場がありますが、サンティアゴから約70KMです。その他アルゼンチンの向かうルートにポルチージョというスキー場があり距離は160kmと遠いですが、スキーコンディションも最高だしリフト待ちの時間がほとんど無い最高のスキー環境です。
私はそれら全部のスキー場で滑ったことがありますが,それは昔の話で,今は山の寒さにはかないません。

2)サッカー
  国内リーグのプレーオフが進み準決勝は次の4チームによって争われます。
コロコロ対コンセプシオン大学、チリ大学対ワチパトです。


以上