チリの風 その166 06年3月6日―12日

チリの風 その166 06年3月6日―12日

素晴らしい天気に恵まれ,大統領の就任式が行われました。まぁ日本なら秋晴れの下とか日本晴れの今日というところですが、ここなら「くっきりとアンデス山脈が映えた快晴の土曜日」でしょうか。


(政治)
1)滞りなく新旧大統領の交代が行われました。あまりにも正常だったので、実況を見ていると言うよりすでに出来た番組を見ているみたいだった。ラゴスは素晴らしい, バチェレットは素晴らしいのコメントばかりで、見ていて面白くありません。(私がへそ曲がりだからでしょう)
そうは言っても国民の熱狂振りを見ているとその二人の人気の高さは実感できました。
さて数多くの招待者の中で、一人スポットライトを浴びたのはボリビアのモラレスで、もしかするとチリ・ボリビア関係に劇的変化が起こるかもしれません。彼はバチェレットにチャランゴをプレゼントしました。これはラゴスU2チャランゴをプレゼントしたお返しですが、彼がやると嫌がらせというより子供の幼稚な仕返しという雰囲気で憎めません。さて彼を歓迎する大会で、マプチェの人間を中心にチリ人がボリビアに海をと合唱しモラレスは感激しました。
アルゼンチンは全く信用できないというのはこの数年はっきりしているのでエネルギー源としての天然ガスや電力を何としてでもほしいチリはここでウルトラCを出し、ボリビアと組むかもしれない。
その他の近隣諸国(ペルー、アルゼンチン、ブラジル)の大統領は単に顔見世のみ。期待の?チャベスも大した大口は叩かず、アメリカのライスは終止無言でした。チェベスは「ライスは香水の匂いをぷんぷんさせて私の傍に着たので約束どおり(挨拶の)キスをしようとしたらすっといなくなったよ」 ライスも嫌がったのでしょう。
日本からは自民党の中川でしたが、テレビのニュースに写らず新聞にも報道なし。自由貿易協定をにらんで小泉でもこれば良かったのに。
ところでバチェレットがパレードを終えモネダ宮殿に歩くのを見ていて思ったのですが、何か歩き方がぎこちない。選挙戦の途中で、彼女のことを大蔵大臣が「私のおでぶちゃん」と呼んで物議をかもしましたが、もうそれは豊満というレベルを超えているようで、4年間の激務をこなせるか心配。私のようの過激に痩せているのも見苦しいが, 彼女がこの前の夏休み、湖に面した別荘で必要としたのは瞑想ではなく身体的トレーニングだったようです。6年前彼女が政界にデビューしたときはそれほどでもありませんでしたから。
ところでラゴスが大統領になった時点でのチリと現段階の比較をした表が新聞に掲載されたので書いてみます。すごい進歩ですね。

      Lagos     Bachelet
      2000     2006
人口     1500万人    1630万人
平均寿命   75.2歳     77.9歳
経済成長率  -1.10%     6.30%
失業率     9.70%     7.80%
平均所得 年 4450ドル    7000ドル
輸出(ドル)  158億     395億
輸入(ドル)  135億     303億
最低賃金  $90.500   $127.500
インフレ   3.40%     3.10%


2)おめでたいニュースの後ろに、二つ裁判事件があります。一つは公共事業省の不正給与支払い問題で、元会計課長コルテスが5年の刑を受けました。刑に関してはまだ最終確認が必要です。彼は、ラゴスは不正支払いを知っていたと主張、野党側は裁判官に対し、ラゴスに書面で事件を問い合わせるのではなく,出頭させて訊問するよう要求しています。
そのコルテスは1999年ラゴスの大統領選挙キャンペーンに参画した中心メンバーです。つまりラゴスの腹心とでもいえる人間・・・。
もうひとつはチリ陸軍関係で、クロアシアに武器の不正輸出をした事件に関連して,軍人が暗殺されました。その犯人として同じ陸軍の秘密部隊の人間(実行犯)が逮捕され,その指示を出した高官を捜査中。不正を知った人間がそれを追求しようとしたのでその口をふさいだのでしょうが、チリ陸軍も体質がピノチェット時代と全然変わらないのが悲しいところ
陸軍長官のチェイレは今週,その職を辞し退職しましたが,私の目には彼は歴代長官の中で目立って先を見る目が合った人間と思っているので、彼がこの事件をその手で処分できなかったのが残念。

3)しかし政界というのは面白い。ちょっと前まで野党は与党と互角に勝負をしていたのに、今では野党は瓦解寸前。野党間同士の争いや与党第一党UDIの内部抗争で、全く与党と戦う力なし。これはバチェレットにとっては追い風,さらに銅価が高値安定で神風,サァ4年間どうなるか?


(経済)
1)雑誌フォービスの世界資産家ランキングにチリからマッテとアンジェリーニが登場しています。それぞれ158位と181位でした。どちらも40億ドルほど持っているそうです。まぁ気の遠くなるような数字ですね。

2)来週の月曜日からガソリンの価格が38ペソ(8円)上がると報道されました。一時下がっていた原油価格が再度ジリジリと上がり始め、注意警報。アメリカの作戦でしょうね。イランとかにからんで。

3)固定資産税
  まだ問題は尾を引いています。年金生活者で入ってくるお金が決まっている家族が、支払う税金が急に増加すれば生活破綻は免れません。新聞に全国で8%の家屋が85%の税金を収めていると発表されました。この上位8%に評価されている物件は評価額が3000万ペソ(600万円)以上のものです。

4)チリのペソは対米ドルで昨年8%(45ペソ)切りあがりました。この傾向は今年に入っても続き 現在までのところ,対米ドルで世界で一番切り上がった通貨になっています。4,3%(22ペソ)とか。
こんなに長い間ペソが切りあがっていくなんて誰も思えなかったでしょうね。チリペソは強い。


(一般)
1)こんな犯罪はどうでしょう。テレビのニュースに出ていました。
ある女性が家を貸しますと広告した所,一人の男がその人を訪れ,自分は銀行に勤務している。その家を見せてほしいと言いました。女性は彼を信用し、時間がなかったので家のカギを彼に渡しました。三日立っても彼がカギを返しに来ないので持ち家にいってみると、何と彼は家族といっしょにその家に住んでいました。大家の女性は怒って、人を連れてきて,家の中に入っていた家財道具を全部道路に放棄しました。それを不法として、不正に中に入っていた側の人間が警察に訴えると・・・
結論です。「裁判所の判決が出るまで大家は他人の家財道具に触れることは出来ない」でした。しかしこれって日本でも起こりうるのかな?

2)犯罪の続き。こっちは犯罪らしい犯罪。首都サンティアゴの中心ビルで
弁護士事務所に泥棒が入って、それを隣りの事務所に人間が気づいて警察に通報。弁護士などが人質になって警察対犯人の銃撃戦。ちょうど夜のニュースの時間で実況中継になりました。5時間後、犯人は逮捕されましたが,弁護士が撃たれ重傷。ただしその弁護士は自分は警察の弾にやられた, 犯人のピストルではないとコメントしています。

3)夏時間が終わってチリの通常時間が開始されました。これで朝は1時間早く太陽が出てくるが、夜は1時間早く日が沈みます。もう夕方のトレーニングはこれまでのようには出来ません。

4)今週は女性の日がありました。世界的に女性の日があるのか知りませんが、その日ちゃんと社内報で女性を祝福しましょうとメールがまわって驚きました。そんなことする必要あるの?
しかしチリは大統領が女性、与党第1党のDCも次の党内選挙でアルベアールが党首になりそうで、まるで女性の天下ですね。大臣も半数女性、これで民間企業の社長も半数女性になったら面白いですね?
新聞の時事マンガに、「今日の女性の日は楽しかったな,でもこれから364日男性の日が続くのかって」もちろん女性が言っているわけです。

5)サンティアゴを代表する建物だったディエゴ・ポルタレスが火事で全焼したのは5日の日曜日でしたが,その火災の原因がメンテナンス不足のための漏電だったというのは悲しいニュースですね。ここで軍事政権時代も民政化してからも数々の重要政治行事が行われたのですが。

6)チリと関係ないけど・・・
ペルーで世界3番目の高い滝が発見されたらしい。しかし未だにこういうニュースが出るのは楽しいですね。アマゾン地区のゴクタで771m。
もちろん1番目はベネスエラのエンジェルの滝972mです。
(幅ではありません高さです、幅なら私は世界3大の滝は全部訪問しています)
ついでに日本の新聞にも出ていますが,チリの新聞にもフジモリ結婚と書かれていました。本当かな?おめでとうというべきなのでしょうね。


(スポーツ)
1)チリ人が監督をしているスペインのサッカーチーム・ビジャレアルが欧州チャンピオン・リーグ戦で勝ち進み,とうとうベスト8まで来ました。彼が来るまで弱小チームだったビジャレアルがここまで来るなんて・・・すごい。次はベスト4をかける戦い。相手はイタリアのミランかオランダのアヤックス
さてチリ・ナショナルチームの欧州遠征の話が進んでいますが、アイルランド,スエーデンそしてアイボリー・コーストとの対戦が予定されています。一つくらい勝てるかな?

2)テニス
デービスカップの対アメリカ戦の前にチリの選手はマスターシリーズのインディアン・ウェールス大会に参加。注目の新人カップデヴィジェは残念ながら1回戦敗退。しかし彼は今年になって極めて好調で昨年同期35000ドルの収入が135000ドルと4倍にもなっている由。もうトップ100入りも近い。彼にマスとゴンサレスがチリ・チームを結成します


以上