チリの風 その164  06年2 20日―26日

チリの風 その164  06年2 20日―26日


暑い日が続きうんざりです。最高気温はまだ30度を越えています。と言いながらマラソン練習に熱がこもり、今週は約60K走りこみました。
さてビーニャの歌謡祭が始まりましたが、これが終わるとチリでは秋の開始なんですが。
(確かに26日の日曜日は気温がずっと下がり,何と小雨まで降りました)
しかしあのイスラム社会と比較するとラテンの社会は理解できます。エジプトの印象は強烈でした。その旅の様子を気合を入れて書いています。早く読みたいという声が世界各地から届いています(これは嘘です。2カ国からだけです)


(政治)
1)バチェレが表舞台に出てきました。各省の次官とか官僚の発表を準備中。3月11日の就任式の式次第も入念に打会わせ中。
面白いのはボリビアの新大統領モラレスが出席の為にチリ入りしますが、それを利用しいくつかの政治グループが国立競技場で彼の歓迎大集会を企画中。
さらに何とベネスエラのチャベスを歓迎する集会も計画中とかで混乱は避けられません。現チリ政府としてはなるべくこういう政治集会は止めてほしいのですが。
アメリカ代表としてライスがチリ入りするらしい。そこでチャベスと対決でしょうか。アメリカがベネスエラの航空機乗り入れを制限したら、ベネスエラもアメリカの航空会社のベネスエラ乗り入れを制限。緊張が高まっています。
それから政治の話題ではありませんが、彼女が住む家もニュースになりました。日本人会館の近くの大きな家を借りることになったらしい。今までの家では安全の確保、大統領の面子が保えないことから引っ越しになったわけ。

2)ペルーのフジモリが隠していた最後の手段、拘留場所を刑務官学校から私宅に変更する請求を出しました。しかしそれは否決されました。ラス・コンデスの一軒家にでも入るのなら拘留中でも避暑中のように考えられますからね。
それから日本から石原慎太郎がフジモリ援助の書状をチリ側に提出したとか。


(経済)
1)日本との自由貿易協定の交渉が23,24日の二日にわたって東京で行われ交渉は順調に進んでいると報道されました。日本が輸入している銅の半分はチリから、チリが輸出している豚肉の60%、サーモンの40%は日本向けとかで、世界2位の経済大国日本はチリにとって最重要貿易国の一つです。

2)2005年のチリの燃料源は原油が61%、天燃ガスが8%、その他の石油系が31%でした。輸入量はやや増加した程度でそれほど急増はしてはいません。さてチリの原油の輸入先は今までは先ずアルゼンチンでしたが、2005年はアフリカがその地位を奪いました。アフリカとはアンゴラ、ナイジェリア、コンゴです。
それから、アルゼンチンからの天然ガスの供給が削減されはじめました。昨年も冬に入り削減の度合いが進む毎に騒ぎが大きくなりましたが、今年度は年初から削減開始。一般家庭用は今のところ削減外ですが、小規模工場向けが削減、災難ですね。こんなことなら天然ガスをエネルギー源にしなければ良かったと小規模工場のオーナーは思っているでしょうね。
エネルギー関連です。チリの水力発電はスペインの会社が独占的な勢力を持っていますが,ドイツの会社がアイセン地区での水力発電に関連して、それに割って入ろうとしています。欧州勢の争いはチリだけでなく南米各地で同様らしい。

3)ドルは継続して低い水準を保ち1ドル520ペソを割っています。輸出業者の泣き声が聞こえそうです。
もっともチリの最大輸出品目は銅で、それは市場最高の価格ですから、ドル安も全く痛くも痒くもないでしょう。コデルコなんか中国のミンメタル社とこの先15年間で83万トンの契約を締結、総額55億ドルとか。しかしこうした契約が銅の高値維持をさせているのでしょう。素人から見てどうして銅の価格がこんなに高い水準で長い間推移するのか理解できません。で、中国のバブルがはじけてもうこれ以上銅はいらないと言い出し、コデルコとの契約を破棄もしくは変更を図るとなると世界的な銅価の急落なんてことになるのかな?

4)先週お知らせしたカナダの鉱山会社が申請中の金鉱山の開発は新段階を迎えました。それは同社が問題となっている氷河の破壊を2017年まで行わないと発表したからです。これは氷河で覆われている地区での開発を後にして、それ以外の地区から採鉱を開始する由。同地区の住民は同鉱山の援護派と反対派に分かれて大変だそうです。
金価格も銅と同じく高値安定ですから、同社は是が非でもこの金山の開発を始めたいところ。したがってチリ政府の指示はなんでも受けますというところだろう。

5)チリの各都市の物価比較が発表になりました。公的機関の発表ですが、本当かなと思わされるほど各都市間の値段の差は大きいです。例えば1kのパンですが、安いのはリナレスで492ペソ(90円),高いのはアントファガスタで719ペソ(140円)その差は60%。まぁ日本と比較すれば食料品ならどのアイテムも数分の1の価格でしょうが。今日メロンを買いましたが1個40円でした。400円ではありません!


一般)
1)チリは大同不和の精神が非常に高いので、この前の選挙の時でも全メディが1日中同じテーマで放送していましたが、今週はビーニャの歌謡祭が夜のニュースのメインで,連日アホな解説者を交え、昨日はどうだった、今日は誰が出るとはしゃいでいます。私は音楽好きですが、その雰囲気になじめず、毎晩画面にかじりつくことはしません。
中には毎晩フェスチバルが終わる3時4時までテレビを見ている人もいるのですが。
まぁ似たような話題ですが、アイルランドのロックグループU2が來チ。26日に国立競技場で満員の8万人を集めたコンサートを行いました。これに先立ち政府官邸モネーダ宮殿でラゴス大統領は彼らに勲章の授与式。パブロ・ネルーダ章とか。しかしロックグループもすごいものですね。大統領もコンサートに参加とか。

2)しかし最近の話題でこれほど恥ずかしい事件はありません。夜のニュースに自動車事故で入院の女性がでました。それからその車が写り、前面のガラスが大きな石で割られ、顔を負傷した様子。警察の調べで歩道橋から石を投げたのではないかとの発表。またか、チリではこの種の愉快犯が多い。他の国ではないでしょうね、そんなことをしてもしょうがない。で、歩道橋から石を投げられないように上に覆いを掛けたりしています。にもかかわらず、また同種の事故か・・・そう思わされました。

所が違ったのです。その車は首都サンチャゴに戻る前に第5州で事故を起こし、それを隠すのに新しく事故を作りだしたようなのです。保険金詐欺かもしれません。しかし抜けぬけとニュースに出て高速道路を管理する会社を批判し被害者を装う。この他にも彼女は小切手の不払いで訴えられています。そういう彼女はしばらく刑務所に入ってほしいものです。

3)上記もチリを代表する出来ごとですが、もう一つこれも悲しいけれどチリらしいです。それはサンチャゴの南部にあるペニャロレンで貧民が空地を不法に占拠し勝手に住居を建設し生活を始めました。それも数件ではなく何百人の集団となって。こうなると不法グループにパワーが出て、政府の無策でこうなるのだと大声で叫び、彼らを排除しようとする警察と対決。テレビカメラの前でおばさんが泣き喚くわけです、如何に自分たちが苛められているかと訴えながら。しかたがありません、政府も簡易住宅を建設し、彼らに安い金額でそれを斡旋することになります。それが実って、彼らが建てた不法住宅の撤去作業が始まりました。で、笑ってしまうのは、その更地に再び他のグループが不法住宅を建てないように見張りが必要というニュースです。あつかましい人間は世界中どこでもいますからね。チリだけではないかもしれませんが。

4)サンティアゴは(冬季に比較すると)夏場は空気が綺麗と言われるのですが今年はそうでもないようで、空は澱んでいます。で、来週からまた車の走行制限が始まることになります。ナンバープレートの最後の数字を2つずつ選びその日一日中走行禁止にします。例えば2と5は月曜日が禁止日とか。ところがこの通常走行制限を受けるのは古い自動車で排気ガス対策をしていないものだけです。現在首都圏の16%の自動車がこの古いタイプといわれ、毎日その20%に影響するのですから全体ではわずか3%。まぁ気は心という訳です。もっと汚染が進むと非常事態として排気ガス対策車も含めた走行規制が実施されます。そんな事がなければ良いのですが。

5)さて夏のバケーションが終わり、郊外に遊びに出ていた家族が首都圏に戻ってきました。日曜日にはなんと16万台の車が首都に入ったとかで大変な混雑でした。帰宅を少し早めるとこの混乱から抜けられるのですが,チリ人の習癖「何でも最後の日(時間)まで行動を起こさない」のためいつも最後の日曜日の夕方から深夜まで大混雑です。

そして学校もそろそろ始まります。今週から新学年が開始したところもあるようです。

6)イキケの内部で山に書かれた絵が発見されました。有名なナスカの地上図画のようなものです。セロ・コロラド鉱山で土砂捨て場を新設しているときに発見したらしい。その鉱山には私も過去10回以上訪問しているので、そうか、そのころ周りをキョロキョロしていれば私が発見していたかも知れなかったのか。

新しく発見された図絵は173にも及ぶらしい。これが描かれたのは紀元前1000年頃といわれ、海岸地方と山岳地方の民族が物品の交換を行った場所に描かれたと推定されている。

7)先週、中国雑貨店が急増とお知らせしましたが、それらの店に検査官が入って調べたら、観光ヴィザで入って働いている中国人不法就労者が12名見つかりました。その時、同じく不法労働者でペルーから来ている労働者もつかまりました。そう言えば、今から20−30年前、日本人旅行者の間でアメリカのレストランで働いて金を稼ぎ、それで中南米を旅行するというのがはやったのを思い出します。このような検査官が日本レストランに入るといつも何名か日本人が摘発されていました・・・


(スポーツ)
1)サッカー
例のリベルタドール・カップですが、今週はチリ代表としてウニオン・エスパニョ-ラとカトリカ大学が出場。ウニオンのほうはサンティアゴでの試合にもかかわらず軽くアルゼンチン・チームに2対0で捻られる。一方のチリチャンピオンのカトリカはブラジルに乗り込んで昨年のブラジルチャンピオン・コリンチャンスに2対2と堂々の引き分け。面子を保ちました。
国内リーグ戦はチリ大学とアウダックス・イタリアーノが無敗でトップの座を分けています。

2)テニス
スロバキアに勝ったチリのデービス・カップでの次の戦いはアメリカ戦ですが、場所はカリフォルニアに決定になりました。何でもあのアガシをメンバーにすると伝えられていますが、盛り上がるでしょうね。
そのチリ代表メンバーの一人マスはブラジルのATPトーナメントで優勝、勝利回数を6にしました。


以上