チリの風 その131  05年6月27日―7月3日

この週の始めチリの南部コンセプシオンを中心に雨による大きな被害が出ました。で、その支店に連絡をとったら、首都で考えられる以上の大被害といわれました。機械の部品が事務所の中でプカプカ浮かんでいるなんて。もちろん電話も携帯以外不通で、PCも機能していませんでした。被災者は死者5名のほか2万人以上といわれています。もちろんサンティアゴも一部の地区でいつものように水害騒ぎが起きました。最もこの雨のお陰でダムには水が一杯で水力発電に十分な量とか、よかった。


(政治)
1)気候の異変が政治にも連動し、例のコデルコ(国営銅公社)問題は混乱の極み。先週私が予測した通り、分けのわからないコンサルタント契約が山のように出てきて大騒ぎ。
それらの情報は同社から盗まれたものとしてコデルコは裁判所に訴えでました。同問題を徹底的に追求している野党のマテイ女性議員は、これで私が有罪というなら、よろこんで懲役刑に服しますとにっこり。コデルコ総裁と仲の良くない与党DCの元大臣フォックレイはこれはコデルコから情報を盗みそれで自分の商売を有利にする類のものではないから刑法に触れるとは思えないと、逆に野党側の支持を表明。
矢面に立たされているラゴス大統領は、私の政権はチリの貧困層の援助に精魂を傾けた。それは国民の知るところだと問題をすりかえようとしたが、尚も止まないしつこい責任追求に、私の政権にモラルがないという野党の諸君は軍事政権時代、人権問題を無視し、また公営企業の民有化として国家財産を盗んでいったことを忘れていると逆襲。しかしそれは野党側から、もうそれは15年も前のことですがと軽くかわされる。
しかしその多数の分けのわからないコンサルタント契約(多額の金がそれによって支払われている)は現在のコデルコ社長ビジャルスになってからその前の3倍に増えているのは事実らしい。彼は辞任を要求されているが何で?と冷たいもの。彼はコデルコの好成績は私の実績としているが単に銅の市場価格が上がっただけなのか検討しないで表面でものを言っても世間は納得しないだろう。
コデルコ・ダイレクターが緊急ボードミーティングを開催し、その結果を新聞に意見広告として掲載した。
それによると同社は世界一の銅の輸出会社であり、チリでトップの会社でもある。同社がチリの国庫に収める税金はチリでトップであり、国民の会社としての責任をすべて果たしている。
また同社は社内、社外の監査機関を利用してすべての契約や商行為が適正かつ正常に行われていることを証明しており、透明さでは他の民間企業をしのぐものである。したがいこの案件で窮地に立っている幣社社長ビジャルスの全面的な支持をここに表明したいとなっている。
昨今問題になっている契約の不明朗さについては全く触れていない???
私はこの会社と20数年連絡をとっていますが、ある日、商売関係で電話をしたとき購買部の課長にこの件について聞いてみると、私の段階ではこの事件いついての影響は全く無い。もっと上層部の問題だろうって。言えてる。
ところでNASAが彗星激突実験をアメリカの独立記念日(7月4日)に行いますが、その彗星にぶつける物質は銅で、それはコデルコが寄付した1トンの銅塊。これを彗星にぶつけてどんな反応が起こるか見るらしいが、がんばれチリの銅、しっかりぶつかって華と散れ!


(経済)
1)経済の好調の印としてこんなのはどうでしょう。失業率の低下と車の売上の上昇なんかは。
失業率は今年3月―5月の失業率は8,3%で昨年より1%以上も低く、新規雇用者数は過去12ヶ月で24万人となり、これは1993年以来の高い水準。
それから車の4月の売上は前年対比何と42%アップ。これは常識では考えられない数字ですね。
しかしこれらはダイレクトに借金になっており、過去1年間で銀行に借入金を持つ人間の数は14万人アップと言われ、(今年は410万人)またその個人あたりの借り入れ金額も1年間で大幅アップして4170万ペソに(約800万円)。個人所得が日本の約10分の1の国ですから、この数字は返済不能?のほど大きく思えますが・・・(よけいなお世話と言われそうですが)
最もチリへの外国投資は05年1−4月の数字で対前年73%減少と散々です。わずかに鉱山関係(例の金山関係とか)は通常でそれ以外は軒並み衰退しています。
2)チリの輸出といえば、まぁ銅、この値段が急上昇は報告済み。他の品目は銅ほどの上昇はありませんが、それでも軒並みプライスアップがチリにとって好影響。例えばワインは3%、サーモンは価格で7%、量で対前年5%アップ、魚粉も価格で7%アップ、果物もまずまずとか。
3)私はチリの大手建設機械商社に働いていますが、ある日、本社社屋の前の広場にチリの国旗に並んで中国国旗が立てられました。これまで欧米のブランドと並んで日本商品を多く扱ってきたのですが、中国国旗とは。社長に日本から中国へ視線を変更ですかと聞いてみると、友だちを多くもちたいだけとの回答。しかし10年程前、韓国商品がなだれ込んできたとき、日本命運もこれまで、これ韓国の時代だといった人がいましたが、当たりませんでした。今回もそうなるでしょう。まぁ個人でも会社でも国でもこつこつ努力する以外に生き残る方法はありません。ねっ。


(一般)
1)年少者への性的いたづらで有罪となったラバンデロ議員が、5年の刑を受けながら保護観察処分になったことは各界に波紋を投げかけています。
判決を出した女性裁判官によるとチリの刑務所は彼の更正施設として適当でないとしていますが、じゃ誰がチリの刑務所に入るのかと手厳しい反論。
2)砂漠化阻止運動
砂漠化が進む原因として水不足、火事、原生林の伐採、動物による(草などの)過食が言われますが、チリの場合、ペルー国境に近い北部から南極に近い最南端部まですべての地区で砂漠化の恐れがあります。離島のイースター島もそうです。これに対してコナフ(森林保護局)は対策地と対抗策を発表。何とかなるかな?
3)クスコの落書き青年がチリに帰国
昨年12月から牢屋に入っていたクスコでインカの壁に落書きをした二人組みが約6ヶ月立ってやっとチリに帰国できました。完全にペルーの国策で見せしめになっていた二人ですが、もう二度とペルーには行かないでしょうね。
同じくリマで食品工場を立てて環境汚染に問われているチリの大手ルケッチ(ルクシック・グループの会社)は同地区にアメリカ系の会社が操業しており何ら問題ないのに何故チリの企業が訴訟騒ぎになるのか理解できないとしていますが、今回ペルー側はルクシックの経営責任者の個人財産を責任賠償として差し押さえたいと発表。要求額は1億5千万ドルですが、私にはその額は気が狂っているとしか思えません?(失礼)
少し前のラン・ペルー航空事件といい、ほんとうにペルーの対チリ感情は理不尽なほど厳しいものがあります。


(スポーツ)
1)テニス
イギリスのウインブルドン大会はスイスのフェデレルの優勝で幕を下ろしましたが、チリのゴンサレスは3回戦も勝ち抜き準々決勝まで進出。そこでこのフェデレルと対戦。惜しくも、実際惜しかったです。負けた最後のセットはタイブレークですから。彼の世界トップ10を目指す戦いは続きます。

2)サッカー
サモラーノの写真が土曜日の新聞の1面を飾りました。何かと思って見ると彼の奥さんが身ごもったとか。やっぱり彼の人気はすごいことが分かります。その程度のことで新聞一面ですからね。彼の所属していたコロコロが組織を変え株式会社になりまししたが、私は彼がそこの宣伝部長とかになったのかと思いました。
もう一人のチリを代表するサッカー選手のサラスはアルゼンチンのリバプレーでプレー中ですがリベルタドール杯の準決勝でブラジルのサオパオロと対戦。彼は1点決めましたが、試合は敗れ決勝進出できず。彼の去就が注目されていますが、そのままアルゼンチンに残るか、チリに戻って古巣のチリ大学に入るかのどちらかでしょう。
チリのサッカーリーグの決勝戦、ウニオンとコキンボの第1戦はサンティアゴで行われ、ウニオン・エスパニョ-ラが勝ちました。次はコキンボの本拠地で、さぁどうなるかな?


以上