気候の挨拶から、もう寒くなってきてサンティアゴの今週の最低気温は1度でした。これは今年の最低気温。嫁さんは以前から冬の支度で毎晩寝ていますが、私は身体を鍛えると称して、未だに毛布1枚に薄いベッドカバーという夏仕様で寝ていました。そこに最低1度の厳しさが襲いかかってきたので、その晩べッドの中で小さくなってしまいました。もちろん、彼女に軽く笑われて。翌日から毛布を一枚増やしました。
(政治)
1)米州機構の中央事務所はアメリカのワシントンに設けられています。やっと今週の投票で、次回議長職にチリの内務大臣インスルサが選ばれました。
反対票はペルーとボリビアでした。チリが目立った場所に出ようとすると必ず足をひっぱる両国です。メキシコは白紙投票でしたが、アメリカが急に裏切って、支援国を自国からチリに乗り換えたのを受け入れられないと言う意思表示です。
その3カ国は強烈な反チリの演説を議会で行いました。しかしメキシコが、ボリビアを支援してボリビアの海を取り返したいと表明したのには驚かされました。
そこからまた先があります。議長になったインスルサがキューバに民主主義を回復させたいと発言、これにカストロが厳しく噛み付いて、インスルサはアメリカの愛玩犬かとしました。
そうですね、これで思い出すのは2週間前の与党側大統領候補選定のための討論会でキューバの民主主義についてチリはコメントするのに中国の民主運動についてはまったく沈黙を守るのはおかしいと問い詰められたとき、事実関係を調査しますとしか答えなかった候補者は明らかにダブル・スタンダードです。カストロが正しいのか?
イギリスの首相が3選を果たしたが、彼もアメリカべったりの姿勢をよく国民に見限られなかったものだが、まぁ日本も同じ仲間。アメリカべったりの構造が自国の発展に寄与すると考えるイギリス、日本、チリのやりかたはいずれチリでも問題になるのに違いない。
2)ペルー問題
最近ペルー政府が10年前のエクアドルとの国境紛争時、チリがエクアドルに武器を輸出したとして、政府間の問題にしていますが、何と今週チリ側が、確かに紛争中に武器をエクアドルに渡したと確認しました。
これはペルーを刺激するでしょうね。しかしもちろんペルーのトレド大統領に力量が無いと見込んでの作戦でしょうが、他国も刺激するし・・・
チリ政府は、これは既に時のフジモリ大統領に正式連絡済みで懸案事項ではないとしています。面白いのは元大統領で次回の大統領選挙に出馬予定のガルシアがこの問題でチリとの国交を中断させているトレドは間違っていると発言しています。
それにしてもリマ市内で近代的な百貨店、スーパーマーケットはほとんどチリ資本ですが、ペルー国民はサービスが良いからと、チリでもどこの外国資本でもかまわないと毎日買い物を楽しんでいるらしい。
3)昨年、第7州のロンコミジャと言う橋が落ちたというニュースを書きましたが、今週はまたそれが問題の発火点に。
というのは野党の議員が、この橋の落ちたのはそこを超過過重の車両が通ったからで、そのトラックの会社に政府関係者(2人の大臣)がいると発表。名前を出されたうちの一人、教育大臣が事実無根として逆に彼らを法廷に訴え出ました。野党議員は、その運送会社のHPに現在も彼の名前が掲載されているのだから、訴えるのなら私たちではなくその会社でないのかと冷たい姿勢。
私はタイヤ関連の仕事をしていますから、この橋が落ちた直後から政府関係者が幹部となっている会社のトラックが道路交通法を無視して橋の運行を続けたことを聞いていました。もちろん警察も巻き込んででしょうね。
橋の強度はそれを使用する車両の重量によって設計されるのは当然で、それを超えた車両が継続的に使用すれば疲労が起こるのは避けきれず、これは明らかに事故ではなく人災と思っていました。さて結論はどうなるのかな?
(経済)
1)インフレーション
4月のインフレはガソリン価格の高騰の影響を受けて0.9%アップとなった。これは過去2年でもっとも悪い数字。過去12ヶ月の累計で2.9%。また経済成長率は4月が5%、1−4月合計で5.6%となっている。
2)モリブデン
しかし銅に伴って産出するモリブデンに人気が出てきて、価格はうなぎのぼり。(2000年に1ポンドあたり2.5ドルだったのがなんと05年は34ドルになっている)したがって輸出重量は増加しなくても輸出金額としては急増で、チリからの主要輸出産品の第2位を占める勢い。サーモンもワインもセルロースも抜いてしまう勢い。
鉄の生産時に必要なこの金属は中国、インドでの需要が急成長らしい。
2)新鉱山開発と環境汚染
カナダの鉱山会社が新規マインとして計画中のパスクア・ラマが環境保護団体から厳しいクレームを受けています。チリ国内より、外国での反対運動が激しいようです。
この鉱山開発にはまず同地区の氷河を全部取り去る必要がありますが、それはウアスコ谷のすべての動植物の生存の危機になるとされています。
しかし経済活動が自然破壊につながるというのは世界中で避けられない問題で、遅かれ早かれ人類の自滅は避けきれませんね?
ところで、例のセルロース工場の操業についても。まだはっきりとした決着はついていませんが、同社は環境庁の元幹部役員を急遽雇用し、彼らとの戦いに備え始めました。昔は環境庁、今は汚染企業という分けですが、彼らはどんな気持ちで仕事をするのでしょう。
3)アルゼンチンからの天然ガス
昨年1年間の5億9千万立方メートルが供給削減されましたが、今年は5月段階でそれが6.5億立方メートルになりました。エネルギー源をアルゼンチンからの天然ガスに頼る頻度が年々高くなっているチリだけに市民生活に与える影響大です。
おまけに今年の冬は雨が少ないと予想され、水力発電に十分な水量が確保されなければ・・・・停電も含む苦しい戦いが見込まれます。ともかく電気代は今年中に30%アップは避けられないと見られています。
4)国民生産と一般市民の給料
チリの国民所得は1年で5−6千ドルになっています。つまり月5百ドルほどです。これをペソでは月25万ペソになります。しかし最近のチリの風で書いたように、チリは国民の間での所得格差がひどく、稼いでいる人と稼げない人の差は極端です。今週の新聞の投書に、国民の80%はわずか20万ぺソ(4万円)しか手取りがない。しかも給料のうち30%が変化するもので、つまり生産や売上に関連する部分、一定でない。これでは満足な市民生活が行えない。さらに経営者は本社社員を削減し、下請け雇用を促進しているが、彼らの条件は本社採用よりさらに悪いものとしています。
確かに私の働く会社でも職工さんに本社と下請けの2種類の人間がいます。
南米優等生といわれるチリでこれですから・・・
(一般)
1)元最高裁長官が自分の厚生年金は低すぎると最高裁に50%アップの要請訴訟を起こし、それがなんと認められそう?
しかし一般労働者がそんなことをすれば恐らく裁判にもならないでしょうね?違うかな?
2001年まで長官職にあった現在78歳の彼は、自分の部下の女性裁判官と2003年に結婚し、楽しい新婚生活には生活資金が必要?と訴え出たもの。
2)コデルコ(国営銅公社)と第2州環境保全委員会の戦い
コデルコは世界最大の銅生産会社で、チリ政府にとって最大の資金源ですが、第2州にチュキカマタとラドミロ・トミックという銅鉱山を持っています。チュキカマタ鉱山の近くにあった従業員住宅を約30キロ離れたカラマという町に移そうと長年計画を立てていましたが、近年それを実現させています。今回の争点はその住宅建設にあたり、周辺の自然環境に配慮をせず、埋め立てを行いまた水道資源を確保したので、周辺の自然環境に悪影響を与えたとして処罰を検討中というもの。以前のチリの風でコデルコにもそんな環境汚染問題が噂されるがマスメディアには載らないと書いたばかりでしたから、このニュースには笑ってしまいました。でも本当に問題にすべきははこんな住宅建設なんて軽いことではないはずですが。(銅精錬時の汚水垂れ流しとか排煙の空気汚染とか)
3)商用を兼ねた観光旅行
南米でもこの種の旅行が増えていますが、今週の発表では重役連中に人気のある都市として1位リオ・デ・ジャネイロ、2位にサンティアゴ、3位にサオパオロが入りました。4位はブエノス・アイレス。そうかチリも日本を含むアジアや欧米各国の重役連中に気にいられてきたわけか。
それら重役は空港からラス・コンデスにある高級ホテルに入り、翌日その近辺にある商談先の事務所を訪問し、さらに現場出張があるなら鉱山関係なら北部、サーモン関係なら南部地区を訪問するのでしょうが、良い印象を持って帰国するのは間違いありません。ランチリ航空は普通時間どおりで遅れはないし(JRと違って1分遅れはありますが、1時間遅れはない。ただし冬季の朝に見られる濃霧時を除く)地方にもホテル、レストランは充実しているから。
(スポーツ)
1)サッカー
Wカップ南米予選の次の試合でチリはボリビアと戦いますが、新監督アコスタはその前に練習国際試合をしたいとしていますが、相手国が決まりません。チリが弱いから他国がチリと練習してもしようがないと相手をしてくれないのでしょうが、情けない。
それからチーム別の南米大会、リベルタドール杯に出場中のコブレ・ロアは何と1次予選で敗退。先週、私は1次の突破は固いと予想しましたがそれが外れたわけ。一組4チームでそのうち上位2チームが2回戦に進出。コブレ・ロアは先週グループの2位でしたが、3位のコロンビアのチームが4位のアルゼンチンを敵地で破ったため、チリを勝ち点で越えてしまったというわけ。 コロンビアのチームがアルゼンチンのチームを敵地で破るなんて。しかし1時予選敗退が決まっていたとはいえアルゼンチンも自国で試合をしてこの結果は見苦しい。
2)テニス
先月、ロシアに敗れてデービスカップの世界リーグ戦から敗退したチリですが、来年の世界リーグ復帰に向け復活戦に参加します。このたび対戦相手が決まりましたが、なんとはっきり格下に思えるパキスタン。しかもホームに彼らを迎えての試合。新聞ではこれで世界リーグ戦の復帰は固いと論評。気が早すぎる?
以上