チリの風   その114   05年2月28日―3月6日

 日本人会館で講演会がありました。高橋さんという探検家の講演で内容は彼がロビンソンクルーソ島で、その話の基になった人間の住居跡を探し出したという内容。しかし日本人の活躍の場も広がっていますね。チリまで来て、ロビンソンクルーソの足跡を探るなんて。
そのころスペインとイギリスが争っていたので、ロビンソンの基になった人物は島の中で自活しながら助けの来るのを待っていたのですが、イギリスがくれば目立つ行動をして助けを求め、スペインがくれば島の中で隠れなければいけない状況だったのが面白い。中南米がほとんどスペイン語圏なのにジャマイカなんかは英語を使っているのはそれに関係しているわけですね・・・


(政治)
1)やっぱり今週はマリンさんの死去が最大のニュースでしょう。グラディス・マリンといえばチリを代表する女性です。元共産党党首として長い間ピノチェットの真正面に立ちふさがり勝負を挑んでいました。しかし良くアレだけのエネルギーが沸いてきたものだと思うくらいの人でした。共産主義は、考え方はともかく実際の政党としてはもう存在価値の薄いものですが、彼女はその最後のスターでした。
そう考えると、競争相手がどんどん死んでいくのに当のピノチェットは健在。やっぱりそれもすごいといわざるを得ません

2)警察の本拠地が全焼
チリでは警察は制服と私服組の2機構に別れ、独自に機能しています。どうしてそうなったのか、それで問題はないのか私には未だに良く理解できません。で、そのうちの一つ私服警察(インベスチガシオン)の庁舎が半焼し、銃器の弾丸検査機など最新鋭機械が全滅、膨大な資料も一部消滅とか、おまけに火災保険に入ってなかったって、まるでお笑いですね。しかしいるでしょうね、これで証拠書類がなくなって無罪になる犯罪者とか、書類が焼けずに有罪になるとか・・・。 
しかし経済が好調で税収が増えても、この建物の再構築、その前に仮の事務所での作業費用など考えると、税制の伸びのどれだけがここで無駄に消えていくのか分かりません。

3)ロンコミジャ橋事件
その橋が崩壊してずいぶん経ちましたが、未だにニュースになっています。今週は3つ関連事項があります。
最初は、次期大統領候補のラビンが、政府側が軍事政権時の要人を狙うなら、公共事業省の汚職やこの橋の崩落事件などの責任も追求すべきと発言。一般からはピントがずれていると受け止められていました。さらにこれはもとで上院議長を辞任したロレンシ-ニが裁判所に訴えでて、この橋の崩落責任者を問いたいとしています。さらに、この橋の設計施行をした業者は政府は責任を自分たちに押し付けようとしているが、設計施工に問題はなく、当初に決められた以上の重さの車の通行が橋崩壊の原因。つまり公共事業省の使用エラーと決め付けています。裁判所で訴訟が始まればきっと厳しい事実が出ることになると思います。


(経済)
1)株価の上昇
イプサ(チリ中心銘柄の平均株価)が継続上昇しまた新記録。これまでの記録を更新しました。日本もそういって株がもてはやされた時期があったのを思い出します。もっともイプサの上昇率は03年が45%と考えられないほどの高水準だったので、バブルは沈静化といえないことはありませんが・・・。未だに投資先としてはイプサが05年もトップとなっています。
もっとも株価高値のベースになっている一般経済は確かに好調で、さらに国家の基礎となる銅価格は05年中も高水位が予想されています。
心配な材料はエネルギー源ですが、来週の火曜日、アルゼンチンで両国の経済グループ(経団連)がエネルギー問題を中心に面談する予定。すでにチリの電気料金の値上げは避けられない見込みと発表されています。
もちろん何をエネルギー源にすれば良いか(安定性、経済性)検討されていますが、チリにも存在する石炭が浮かび上がっています(???)
というのは昔、私はプンタ・アレナスの石炭マインに仕事で通っていましたが、そこの石炭は外国製(コロンビア、豪州)のものにカロリーで勝てず、いつも販売に苦戦していました。という条件は今でも同じのはずで、同じ石炭で発電するなら、チリのものより外国製のほうが効率は良いはず。

2)物価上昇率
2月はマイナス0.1%を記録。過去12ヶ月の合計では2.2%となりました。物価の抑え込みは成功ですね。
ところで、国民一人当たりの肉の消費が昨年一年で77KGとなり、1990年のちょうど2倍になりました。で、デブが増えたのか?

3)ランチリ
好調の波は継続し、04年は対前年で利益は倍増(1億6千万ドル これは会社創立以来の数字)、また所有機も一気に7機増機して合計70機に。心配は原油価格の急騰です。
同じくチリの石油会社コペック・グループも04年の業績は最高で利益として7億7千万ドルを計上。チリの会社でもこんなに儲かる会社があるのですね。

4)旅行業界
チリも遅ればせながら旅行業に力を入れ始めましたが、04年はホテル建設に高い水準の投資がありました。05年も多くのイベントが準備中で15万人の外人観光客(ビジネスを含む)が見込まれ、多くのホテル建設が予定されています。


(一般)
1)パイネの火事
もう日本でもこのニュースは報道されたようですが、火が出てから2週間たってもまだ火災は鎮火されていません。とにかく時速130kというような強風が、鎮火作業を妨げています。それでもコナフは消火作業は進んでおり類焼面積の増加はそれほど見られないと発表しています。
失火の原因となった旅行者がチェコ人だったことからチェコ政府は焼失した森林の復活に対する援助を約束。すでに同政府は調査団を送り込んでいます。
私は昔、このグレイ湖周辺を歩いたことがありますが、そのあたりは被害になっていません。しかし20年前、そこがこんなに有名になるとは想像も出来ませんでした。

2)3百万人以上の生徒が新学年に
チリでは3月が新学年の始まり。12月の学年終了まで10ヶ月の勉強期間です。

3)久しぶりにボリビアのニュース
隣国ボリビアの混乱は継続中。財界はこの混乱が続けば、通常経済活動が行えないと発表。生活関連で、水道が外国資本で運営されていることに反発するグループが道路を封鎖し、ラ・パスは陸の孤島になっているらしい。もう理由は何でも良いから国を混乱させようというのかな?
それにサンタクルス州の半独立問題も尾をひき、他州にも影響、問題の深刻さはこれから。 
まぁ反チリが全面に出ていないだけ進歩があるといえるかな?


(スポーツ)
1)テニス
ロシアのモスクアで行われたデービス・カップの世界リーグ戦でチリはロシアと対戦しました。しかし前回、Wリーグへの復帰戦で日本と戦ったときもそうだったように、日本のメディアにはそのテニスのニュースがほとんど出なかったのとは対照的にチリの新聞は1面トップニュース。今回も同じでチリでは新聞、テレビが連日大報道したのに、ロシアの新聞では、スポーツ欄の中でサッカーのレアルマドリッドより小さな扱いだったとか (注 レアルマドリッドはロシアのチームではありません)
つまりチリ人は、こうして外国チームと対戦して、勝つことに関し、極めて熱烈な関心を寄せることがわかります。もちろん、そのためにはオリンピックで金メダルをとったように、それなりのレベルに来ることが肝要ですが、あまり極端な反応もちょっと・・と言う感。で、結果は敗戦でした。

2)サッカー
アルゼンチンのリバープレーでプレーするチリのサラスが先週の試合で2得点をあげ145日続いたゴールの空白日を破りました。これで調子を取り戻して次のWカップ予選のウルグアイア戦でもゴールしてもらいたいものです。


以上