チリの風  その110 05年1月31日―2月6日

やっぱり天気予報はあたって、また30度以上の暑い日が続いています。でも朝、出社するとき(私は朝6時45分に家を出ますが)ちょっと前は明かるかったのに、今ではまだ夜明け前という感じです。夏時間を採用しているので夜はまだ9時近くまで明るいですが。

それから街路樹の葉が黄色くなってきました。ほんの少し前は青々としていたのに。秋の気配が静かに近寄っています。


(政治)
1)先週、コントレーラ元DINA長官が逮捕され収監されましたが、その逮捕の際の茶番劇について、いろいろ報道されています。元長官はまず陸軍長官に連絡をとって政治的決着を迫ったが、上手くいかず、それなら逮捕は甘んじるが自宅拘留にしてほしいとネゴ。これも断られ、最後の手段で武器も持ち出して実力抵抗になったらしい。
人権問題委員会は、元長官の家宅捜査をして、人権問題に関する秘密書類の捜査、さらに拳銃の不法所持に関し調査してほしいと訴えています。
ところで、彼が陸軍長官に、おまえは裏切り者だと呼んだことに対し、軍関係者は彼の言動は軍人としてふさわしいものではないとし、切捨てにかかっているようです。

2)しかし与党内の争いも外から見ていると楽しいものがあります。橋が落ちて、公共事業省の大臣が辞任させられたというのは既に報告済みですが、そのとき、彼を声を大きくして攻め立てたのがキ民党で上院の議長だった人間(彼もその職を辞めさせられた)です。
今回、その元大臣が、元議長を裁判所に訴えでたのです。根拠のないことで誹謗中傷したとして。これをラゴス大統領が支持すると表明。
しかし橋が落ちたのは、誰も知っていることだし、その責任を省の最高責任者が取るのも世界的に通常のこと。どうしてこんなことになるのか理屈がわかりません。訴えられたロレンシーニ元上院議長は全く恐れることなくいつでも勝負を受けるとやる気十分。橋が落ちただけではない、他のことももっとあるって。
しかし辞めた大臣は次の日から国立銀行の頭取になっているのだから、大統領はこの元大臣を本当に可愛がっていますね。

3)ピノチェットノ隠し財産問題
チリ銀行のアメリカ支店が苦戦しているのは先週、お知らせした通り。アメリカ銀行局はチリ銀行アメリカ支店に対しアメリ銀行法の幾つもの条項で違反があったとして改善要求を突きつけています。私はもちろんチリ銀行のアメリカ支店が、アメリカでのやり方を知らなかったわけではなく、単に無視していたか、ピノチェット関連では、銀行ぐるみで不正を行っていた(アメリカ当局に通告しなかった)と考えています。
さてこの先どうなるか?
ピノチェット側はリッグス銀行に保有する6.5百万ドルのうち5百万ドルを国税局に税金の未納分と罰金として支払いたいと申し入れたようです。リッグス銀行がアメリカ銀行局にした申し入れと同じ手ですね。

4)ラバンデロ上院議員の少年少女性的いたづらに関して
彼は自分の持つ家宅を処分しようとしました。そうでしょうね、これから被害者にどれだけの弁償金を支払えという結果になるか分からないので、早く家屋などを処分してしまい、それを裁判所の手に入らないところに隠し、支払い要求が出たとき、そんなには払えませんとするわけだ。裁判所ではこれに対して、財産隠しを認めない方針だがどうなるか?
それから、彼を訴える訴訟が過去にもあったのに、一部の裁判所、検察関係者が、それを抑えて裁判にならないようにしていたという証拠がでてきました。これに関し最高裁判所は調査を開始。田舎のおばちゃんが上院議員を訴えても裁判所が取り上げないということでしょうね。
さてこの上院議員どこまで逃げきれるか?


(経済)
1)1月の物価上昇率はマイナス0.3%と過去6年で最低の数字。チリに物価上昇率がいらなくなる日がきそうですね。
経済好調の印として首都圏の家屋の販売が04年は27000件と過去最高を記録とか。確かに最近のマンションの建設は著しい。

2)欧州でチリ産サーモンなどに最低価格を設定、ダンピングを認めないとの方針を発表。チリは一応これを受けるが国際機関にその超過関税の不法性を訴えることにしている。
ところで昨年の欧州向けの全品目輸出は対前年なんと60%アップの79億ドルと過去最高を記録。自由貿易協定締結の恩恵をもろに受けています。大きく伸びた品目としてはサーモン、ワイン、野菜(玉葱など)果物、肉(七面鳥)ほかとなっています。
もっともサーモンの場合、主な輸出先は日本とアメリカで欧州へは全体の7%にしかならずチリのサーモン業界に与える影響はそれほど大きいものにはならないでしょうが。

3)日本との自由貿易協定はこの4月に次の交渉がもたれる予定
日本側はチリと自由貿易協定の話し合いを進めるつもりは全くなかったのに前回のAPEC小泉首相が、中国に先を越されるのはいやだとそれを指示したのが始まりらしいが、まぁ良いでしょう。


(一般)
1)先日、タルカワーノ(第八州)で偽の津波騒ぎがありました。私はアルゼンチンにいるときテレビのニュースで見ました。日本でもかなり大きく報道されたようです。もちろん日本側では、ずいぶんチリ人っておっちょこちょいなのだなと思われたでしょうね。
これをチリ人にいうと予行演習をしただけだよと澄ましたもの。
今週、アリカでツナミ対策予行演習が行われましたが、ちゃんと演習とわかっていても5千人が岡の上に避難しました。

2)似たようなことですが、サンティアゴの目抜き通りアラメダの道路工事が始まってから、歩行者が道を横切るのが困難になり、そこら中で、道を無理に横切ろうとしてはねられています。なにしろ歩行者に交通罰則金の支払い請求書がもうなんと4000枚も切られているとか。しかし自分が怪我をするまで、無謀横断が危ないってことに気付かないのでしょうか?
1月に工事が始まってから十数人がはねられ、その内4人が死亡しています。6日の日曜日、私もそのアラメダ通りでバスに乗りましたが、はねられないよう細心の注意をして歩きました。

3)チロエ島への架橋
私はチロエ島が好きで、先月行ってきました。3年連続ですよ。今は本土と島をフェリーボートで渡りますが、ここに橋をかけることになって、そのテンダーが先週締め切られました。ところがたった1社しか応札しないことで問題になっています。他の会社は興味がないのか、業者の間で話がついていて、その会社がこの建設を請け負うことになれば下請けとして他の業者を使い、全員がもうかる仕組みなのか。確かに新聞の投書によると当初見積もりの2倍近い金額で応札されているとか。

4)クスコで落書きしたチリ人二人逮捕
そのうちの一人が落書きしたことになっていますが、彼らが泊まっていた安ホテルの前の壁にも同じ落書きが残っており、二人のうちの一人が書いたことになってきました。つまり一人はいつでもどこでも壁に絵を書き付ける性癖があるわけです。これで裁判の見通しがさらに悪くなったのではないかな?

5)サマーバケーション
この週末20万台の車が首都サンティアゴから休暇のために出て行きました。第5州のホテルは首都圏の客とアルゼンチンからの観光客を中心に90%以上の予約が入っているとかで、1月の決算は上々だったらしい。
先月、チリに入国した外人観光客もアメリカ、欧州客を中心に全体で前年対比10%の上昇で、観光産業も好調。
で、豪華ホテル建設の話がでています。前にも書きましたが、現在までに建設されているのはサンペドロ・デ・アタカマとトレ・デ・パイネですが、いずれも1泊500ドル以上です。今回建設が発表されたのはイースター島で20室の客室で1泊600ドルが予定されています。竣工は2006年の予定。まぁ私には関係ないですね。

6)山火事
これも毎年この季節になると出てくる問題ですが、今年も5州、8州など山火事で苦戦しています。今まで6千ヘクタールが燃えてしまっています。首都圏も先日、山のほうで煙が大きく上がっているのを帰宅時に私も見ています。


(スポーツ)
1)サッカー
とうとうここまできました。20歳以下の南米大会。何とか4位を確保。今年中ごろオランダで行われる世界大会に出場します。
バックは今一だけどフォワードの点を取る力は光っているし、今までのチリのように強豪に物怖じしない姿勢が気持ちよい。とにかくブラジルやアルゼンチン相手に勝ちに行くのは素晴らしい(今までのナショナルチームは引き分けになれば最高と、まずは自陣に引き篭ってという姿勢だった)
日本もアジア代表になっているので、もしかして本大会で同じグループに入ったりして。

2)テニス
ビーニャで行われているATP大会でチリ代表としてゴンサレスが活躍(彼が現在のチリ#1)決勝まで進みました。


ウシュアイアのレポートを書いています。現在、原稿用紙で50枚くらい、なんとか100枚は書きたいもの。
でもマラソンシーズンが迫ってきて、練習に追われています。大丈夫かな?


以上