チリの風 その98  04年11月7日―13日

天気がねー、あまりぱっとしません。とくに週末、金曜日の朝から雨が降り出し、通常この時期、雨はほとんど降らないサンティアゴですが、そのまま土曜日も雨。外出予定だった人たちをがっかりさせました。日本人学校のサッカー教室も中止。でもやっぱり気温が高いので、雪が積もって白くなったのは山の頂上近くだけでした。

11)政治
1)APECはいよいよ来週サンティアゴで開催になります。私の興味は政治経済よりその間、サンティアゴの街がどう変わるかということです。
例えば、その間道路工事が中止となって交通渋滞は減るのか、逆に規制が増えてもっと渋滞になるのか、建設中の飛行場と中心街を地下道路でつなぐ高速道路が会議に間に合うのか、さらに中心街の人出はどうかなど。
それにしても世界の中心人物がチリに集まるというのはやっぱり興味深いものですね。ブッシュと小泉がチリで会談というニュースも新聞に出ています。きっとイラク派兵問題でも話するのでしょうね。

2)人権問題
先週のチリの風で陸軍長官の発言を取り上げ、これから拷問の詳しい事実などが出てくれば、再度チリを2分して大問題になると書きましたが、その兆候が出てきました。まず陸軍の自己批判に他の部門(空軍、海軍、警察軍)は同調しませんでした。さらに陸軍のかっての秘密部隊の元長官が、わが部隊は拷問行為を行っていないとし、現在次期大統領の有力候補バチェレットを逮捕した事実も無いと言明。
これに対し、同女史は「あきれて物も言えない、私を取り調べたのはそう発言している当の本人だったのだから。」さてこの先どうなるのか。

3)大統領選挙
来年の選挙に向けて候補者選びが盛り上がってきました。野党側はもう前回の候補者ラビンで統一されていますが、与党側がもめています。
一応、世論が納得しているのは二人の女性候補者で元大臣のバチェレットとアルベアルです。社会党はバチェレットを候補者として今週確認しましたが、与党最大派閥のキリスト教民主党はアルベアル元外務大臣のほか、党首のサルディバル、元大統領のフレイが色気を示し、意見の一致を見ていません。
いずれにしても今月の地方選挙での与党圧勝の影響で、大統領選挙も与党の勝ち、どっちの女性候補がでても野党側のラビンに勝つと予想されています。


22)経済
1)貿易
経済の基礎となる貿易の伸びが顕著です。しかも貿易収支はチリに有利に推移し、輸出総額は輸入のそれを73億ドル上回り(1−10月)、この出超数字は過去最高の記録。  

2)そういった好調な景気が、一般市民の生活にどう影響をしているかと言うのが興味を惹かれますが、確かに貧民層の減少が報告されています。
1990年に15.2%記録されていた極貧クラスが去年2003年には6.2%と半減以下になっています。このクラスは生活していくのに十分な食料品が買えない(政府から生活援助金をもらっている)家族ですが、現在のお金で12万ペソ(約2万円)以下の所得の家族となっています。

3) で、ペソも強く、対ドルレートは再度600ペソを切りました。一時750ペソを超え、1ドル800ペソは間近という時期もあったのですが・・・
また最近12ヶ月の物価上昇率は1.9%と完全にコントロールされています。


33)一般
1)飛行機事故
飛行機といっても一般の航空機ではなくヘリコプターの事故ですが、先週、チリの南部でありました。軍隊のヘリが選挙の行われている様子を見ながら飛んでいたのですが、墜落。将校、乗務員など3名が死亡。なんとその事故原因が燃料の不足だったといわれています。軍隊はそれを確認していませんが。
しかし・・・。車なら、燃料が無くなれば止まるだけですが、空を飛んでいると、やっぱり。しかしパイロットのたんなるうっかりなのか、予算の関係で最小の燃料しか入れてもらえず、途中でルートの変更があったりしての燃料切れなのかもしれません。しかしパイロットは素人ではないでしょうから、落ちる前は、燃料切れを知っていて死ぬ思いだったでしょうね(?)。

2)人種差別
この話題もチリの風によく登場します。今週のは、その中でも話題として値打ちがありそうです。エクアドルから母親が出稼ぎにチリに来ました、高校生の娘を連れて。で、二人はアントファガスタに住み着きました。さてそこの高校で、娘はいじめられ、もうこれ以上我慢できないと家出をし、故郷のエクアドルに向かって旅を始めたのですが、ペルーとの国境で、保護されたというもの。
彼女はエクアドルでは珍しくない、黒人でした。チリではまだ黒人は珍しい存在です。現在、数としてはアジア人より少ないでしょう。
しかし人種差別を批判するのは簡単ですが、日本でも・・・。

3)オゾン層問題
もうすぐプール開きになる時期ですが、オゾン層が破壊されたことからくる紫外線の問題が深刻なチリでは、太陽光線から皮膚を守る特別服が紹介されています。
帽子も耳のところまで覆いのついた大きなもの、シャツもズボンも七分丈。とても水泳着には見えません。しかしそうまでしないと皮膚ガンになるといわれれば、これを着て海やプールに行く人が出てくるかもしれません。
でも実際には、そういう警告を無視して身体を真っ黒に焼いた男女がチリの浜辺でたくさん寝そべっていますが。

4)テレトン 
今年もテレトンの季節になりました。毎年12月に身体障害者の人たちを助ける施設を充実させるためのチャリティショウが開かれます。これをテレトンと呼ぶわけです。これに関連してスポンサーになった商品の宣伝もテレビで行われ、国中がテレトン一色になるわけです。それにしても、身体の不自由な人が、この国で生きていくことは非常に厳しいことは事実で、政府にそれを十分に援助できる力が無ければ民間でやらなければいけないという見本でしょう。

5)トラック強盗
トラックが強盗に襲われて荷物を持っていかれるというのはチリでは昔からある犯罪ですが、最近チリのトラックが近隣諸国で襲われるようになりました。今週はなんと5台のトラックがアルゼンチンで襲われています。その手口がアルゼンチンの警察がトラックを止め、そのあと、強盗が出てくるというので、警察がぐるになっていると噂されています。
もちろんアルゼンチン側はそれを否定していますが。
そういえば、昔、私もブエノス・アイレスに観光にいったとき、警官に強盗されそうになったことがありますから、もしかすると。
襲われたトラック会社が私のところのお客さんだったので、社長の苦い顔が目に浮かびます。

6)クリスマスツリーがショッピングセンターに飾られました。そんな季節にもうなったのですね。


44)スポーツ
1)マラソン
7日の土曜日、サンティアゴ東部マラソンが開催されました。私は張り切ってハーフマラソンに参加。前回のシニア5位を上回る3位を狙って積極的なレースを展開しましたが、17k地点で両足に痙攣予兆。
すっかりペースを崩し、下位に沈みました。記録は目標の1時間40分台には程遠い2時間1分で、ハーフを2時間以上もかかったのは過去に無かったこと。最悪でした。優勝記録は新聞の記事によると1時間8分でした。
悪い、これはチリの風のニュースとして書くのではなく、最初の挨拶の欄に書くべきだった。
チリでマラソンは人気あるスポーツとはとても言えませんから。

2)サッカー
一番の人気はもちろん、サッカー。そして来週の水曜日、Wカップ南米予選がありますが、今ひとつ盛り上がりません。主力選手が3人も怪我で出場出来ず、これでは戦意も上がらない。さてどうなるか。


以上