チリの風 その96 04年10月24日―30日

しかし新潟の地震はすごかったようですね。おまけに余震の継続もかなりのようで。チリでそんな地震がおこったら、壊滅的な状況が続き、経済の低迷くらいですまないでしょう。で、チリのテレビニュースで、新潟の地震が取りあげられるごとに、チリも地震国だけで他人事ではいれず、チリではどうなるだろうと言うコメントがつけられます。
チリから震災復興をお祈りしております。(チリで自分がその立場になったら、どうするだろうと考えていますが、泣いているだけでは前進しないし・・・)


(政治)
1)選挙
当然、今週はこの話題で持ちきりのはずですが、全く違います。88年の国中を上げて熱中したピノチェット政権継続可否の選挙以来、国政、地方選挙が何度も実施されていますが、こんなにさめた選挙はありません。
私の働いている会社のつり同好会がグループを作って金曜日の夜から地方に釣り旅行に出かけました。日曜日の夜に戻ってくるので、当然投票は出来ません。で、最寄の警察に選挙地から200k以上離れた遠隔地にいますという届出を出すらしい。チリでもっとも?まじめな会社にもかかわらずこんなことがあるのだから、選挙熱なんてありません。
今週、若干盛り上がったのは社会党女性議員の乱闘騒ぎで、何処かの学校にいって、そこの父兄と殴りあったというもの。彼女は、相手が悪い、向こうは野党系の候補を応援するために学校にきており、私に殴りかかってきたと言っていますが、ビデオを見るとどっちもしっかり応酬しています。とてもがんばれとは言えませんよね。
さて選挙の結果は最初からわかっています。ほとんど伯仲の結果になって、与党、野党とも我が方の勝利と発表するのでしょう。

2)公共事業省の不正事件に関連して起訴された人間が自殺しました。
公共事業省と他の団体(例えばチリ大学)が組んで架空の仕事をでっち上げ、そこで得た資金を職員の安い給料のかさ上げに使っていたというのですが、これでこの不正事件に関連した自殺は2人目です。自分は無罪だと書置きして自殺した由。彼は左翼系の人間でチリ大学と公共事業省の間に立って工作していた中心人物と見られていました。自殺した人物の友人だった副大統領のインスルサ大臣は裁判に時間がかかりすぎる、自殺した人間は4回も同事件で起訴されており、いったい何故かかる事態が起こるのかと憂慮すると発言し、再度、司法と行政の反目が起こりそう。

3)チリ対スペイン
スペイン資本が水、電話など基幹産業の民有化の際、チリに進出してきたことは周知の事実ですが、そのうち飲用水部門に入ったアンディナス水道会社の下水部門で、悪臭を周辺に撒き散らす事故が起こりました。
大統領はこうした事故が度重なっていることに対し、スペインのチリ大使館経由、本社に抗議させました。また修復工事が終了するまで、下水代金の徴収を差し控えるよう同社に指示しました。同社はこれで毎月200万ドルの損失が出るといわれますが、これに対し、悪臭などの問題と現実に使用している下水使用料の料金を相殺するのは間違っていると、裁判所に下水監督官庁を相手に訴えでました。さてチリ対スペイン、結果はどう出るかな?

4)チリ対マプチェ
チリ対スペインの次は、当然チリ対マプチェでしょうね。
チリの原住民、たくさんの種族がありますが、その中でチリを代表するのがマプチェ族です。
さて今週、世界人権委員会やインデイへナの権利を守る会は、チリ政府がインディへナの暴力事件に関し、テロリスト条項を適応している政策は一方的にインディへナの人権を圧迫していると発表。
その根拠としてマプチェの対チリの戦いは、チリ人の身体を傷つける行為ではなくチリ人の所有物に対する攻撃であるとし、テロリストとは全く違う範疇のものと説明しています。

5)ピノチェット
不正蓄財の疑いで取り調べられているピノチェットですが、最近そのニュースがありません。で、あーいつものように最初は華々しく報道されるが、そのうち結論が出ないまま消えていってしまう例のパターンを繰り返すのだろうと思っています。
今週は彼のかわいがっている孫が不正蓄財に関連して事情聴取されたとの報道がありました。孫といっても28歳、大学で経済学を学んでおり、銀行に入って本格的におじいちゃんの資金の増やし方を研究していたように思える。さてどうなるかな?


(経済)
1)銅生産
銅はチリを代表する輸出品目です。世界の銅生産の3分の1はチリで生産されたものです。で、この世界1の座を維持するために新規鉱山の開発が必要になるわけですが、世界1の銅鉱山エスコンディダを所有するBHP・ビリトン社は10億ドルを投入してスペンセ(Spence)鉱山の開発に着手を発表しました。すでに96年にこの鉱山は見つかっているのですが、他の鉱山の開発が先行したため今日まで残されたわけ。アントファガスタとカラマの間を通る道路を私は過去何度も走りましたが、そのあたりにこのマインのための新しい町が出来るわけですね。
鉱山に新税をかけると今年政府が発表したとき、鉱山関係者はそんなものが出来れば誰もチリに投資しないと政府を恫喝していました。それが通って、新税は適応延期になりましたが、私がチリの風で言っていた通り、チリでの投資は他の国にするそれより有利なわけで、新税に関係なくこれからもチリの鉱山投資は継続されるでしょう。

2)サーモン
サーモンと言えば、銅ほどではないにしても年間12億ドルを稼ぐ大事なチリを代表する輸出産品ですが、欧州から締め出しをくう恐れが出てきて業界は憂慮中。政府の対応を求めています。もっともチリのサーモンにとって最重要市場はアメリカ(47%)、ついで日本(37%)で、欧州はわずかに5%を占めるだけ。しかしチリのライバル、ノルウェイが仲間をつのって対チリ戦争を始めようと言う事でしょう。

3)失業率
7月―9月の失業率が発表され、全国平均で9.7%でした。これに野党は反発し、先月発表された数字(9.9%)より良くなった兆候は無いのに、これでは選挙前の景気つけではないのかと疑っています。

4)12月からサンティアゴ首都圏高速の通行料金支払いが始まります。
これに関連して・・・
私がチリに入国した1979年のころはパンアメリカン・ハイウェーとは名ばかりで、片道1車線の半分舗装が壊れたような道が続いていました。(もちろんそのころは道路の使用料はなし)
今週、私はチリの南部にタイヤ検品に車で出張しましたが、金曜日の朝をバルディビアで迎えました。サンティアゴから距離にして850kです。午前中、その地方で仕事をして午後帰着の旅につきました。時速120kでとばし、首都に夜9時ころにつきました。
途中、コーヒーを飲んだり昼食を取ったりしながらです。
チリの高速道路は120kまで認められているのですが、金はかかるけど、値打ちのあるものということがわかります。
もっともこんな仕事を続けていれば、年寄りの身体にはこたえますが。


(一般)
1)ハロウィン
しかし何故こんなつまらない行事が人気を得たのかと思うけど、この数年、ハロウィンはチリの年間行事として定着してきました。
今年も次の日曜日がそれにあたり、スーパーマーケットではそれに関連したグッズが売り出されているし、週末は怪しげな仮装をしたカップルでディスコは満員といわれます。子供は近所の家をまわってお菓子をよこせと叫びます。チリの生活と全く関係の無いくだらない習慣だ。(そういえば日本でのクリスマスもこの類かな?)

2) 能
宝生流の能が12月始めに、チリで公演されると新聞で発表されました。
能って日本人の私にも難解だから、チリ人には理解できないのではと危惧。違うかな?

3)バス代
11月15日から現行の320ペソが340ペソに値上げ。ちょっと前300ペソだったのですが。
ランチリの航空運賃も値上げされているようですが、バス代は庶民の懐に直撃しますから・・・


(スポーツ)
1)サッカー
Wカップの南米予選、次回チリはペルーと敵地で対戦しますが、そのチリ代表のメンバーが発表になりました。
注目は、前回は監督ともめたことから干されていたピサロ選手が代表に復帰しました。
しかし全く点の取れないフォワードに人がいないので、中盤に彼が戻ってもうまくシュートが出来るかな? 試合の方、どうなるやら。
期待のサラスはアルゼンチンリーグで全く活躍できず、リバープレーのファンから疑問視されているし。

2)国内リーグ関連
チリでもっとも人気のあるコロコロはすでに破産状態、ついで人気のチームはチリ大学(ウニヴェルシダド・デ・チレ略してラ・ウー)ですが、そのウーが破産寸前。従業員に給料を払わず、今週練習の後、選手がシャワーを浴びようとしたら水が出なかったらしい。水道会社が料金未払いから水を切ったらしいがいやはや。

以上