チリの風 その93 04年10月3日―9日

日本に住んでいて実際のチリを知らない人には、私のチリの風はどのように受けとられているのでしょうか?チリを知らない人に取ってチリがどんな国に写るのかと言い換えても良いのでしょうが、興味があるところです。
今月23日にチリ日本人会主催の日本祭りが開催されます。チリ人を千人も集めて、日本芸能を見てもらい、その後、食事はすき焼きです。千人も入れる広い野外会場を満席に出来るのか疑問ですが、そのためのお神輿担ぎの練習、盆踊りの稽古などをやっています。私たち素人の出番は、和太鼓などプロの出演の後です。そういえば、昔、町内会の盆踊りで、炭鉱節なんか覚えたはずなのですが・・・


(政治)
1)驚きました、突然、右翼と左翼が一致して、選挙によらず選出された議員の廃止を国会で決定しました。これは元大統領を終身議員にするとか、ピノチェットのころ、政府側が有利になるように、勝手に選任された国会議員がいるのですが、それらを廃止しようとするものです。
当然だけど、いったん国会議員になったら、誰もその特権を離したがらないでしょうから今回の改正は不思議な気がします。
それから大統領の任期を現行の6年から4年にするというのは持ち越しになった由。(現行では認めれない)再選をにらんだ任期問題がペンディングになったと言うことは、まだ両陣営とも次の選挙で勝ってから、どうすれば自分の優位が保てるか計算しきれていないのでしょう。
さらに軍隊の司令長官を政府が任命するという当たり前のことも認証されました(ピノチェットの時代は、軍隊の組織は政府にとって不可侵の領域だったわけです)
こうして徐々に民主化が進み、チリも近代化していきます。
ところで街の中は選挙一色ですが、日本と違って選挙カーがないのでうるさくはありません。首都圏知事が違法立て看板は許さないと警察を使って多数の立て看板を没収、廃棄処分にしましたが、これに対し、せっかく見やすいところに立てたものを持っていかれ、その場所に相手陣営のものが翌日、設置されるなんて不公平は止めてほしいなんて苦情がでています??

2)新外務大臣とアルゼンチンの関係
ペロン元大統領グループのやり方をチリ新外務大臣が批判したとアルゼンチン大統領が糾弾したのは先週のことですが、まだブツブツ言っているようです。しかしどう見ても隣国の内閣に干渉しているとしか思えず、これに固執している同大統領は何か過去に起こったチリとの間の確執を根に持っているのか、国内問題から目をそらすためチリとの間に問題を起こしたいのかどちらかでしょう
当の大臣はチリにいるともっと具合の悪いことになりかねないとさっさとイタリアに飛んで、ローマ法王と会見しています。
これをやってから大臣を辞めたかったとローマ法王との会見間際に辞任させられた前外務大臣(今は次期大統領の予備候補)が嘆いています。
ちょうどこの訪問にあわせて、チリで始めて女性聖人に認められたサンタ・テレサの彫像がバチカンに設置されました。ローマ法王がそれの清めの儀式を行っているのがテレビに出ました。
これと直接の関係はありませんが、ボリビアの国会は自国の天然ガスの輸出に関して国がどの段階でも干渉する権利を有することを承認しました。これではボリビアから諸外国にガス輸出を計画実行しつつある欧米企業は手を引くことになるでしょうね。世界の中で生きていくこと(グローバル化)を認めず、自国のスタンダードで対処したければ、国を閉鎖するより道はないと思います

3)APECのチリ大会の開催が近づいてきましたが、時折、それに反対するデモが見られるようになってきました。反エイペックも盛り上がってきたわけですね。サンティアゴはその日、休日になりそうです。当日、市内の交通が麻痺してしまって、市民は通常の移動が出来そうにありませんから。

4)あっ、今週はピノチェットのニュースがない?
しかし、これはどうだろう、クリコで盗難車の販売にかかわったとして裁判になっているピノチェットの長男は有罪になるだろうと見られている。これまでピノチェットの子供たちが何らかの犯罪に関与しているとのニュースは何度も報道されているが親の七光り?でいずれも無罪になってきたいる。しかし肝心のその親が苦戦していては・・・・、ここが年貢の納め時か?


(経済)
1)成長率 
8月の経済成長率が発表になりましたが、何と前年対比7.4%アップと過去6年間で最高の成長率を示し、アメリカのウォールストリートから高く評価されているらしい。98年から始まった例のアジア危機からようやく脱出しつつあるのだろうか?

2)コデルコ(チリの国営銅公社)が一部ストに入ったことから銅価格が急騰なんと1ポンドあたり145セントまで上がりました。チリにとってこれは石油価格急騰を補って余りあるものです。神風?で、ペソが強くなり、何と600ペソの壁を軽く突き破り、今週は1ドル595ペソで閉めました。

3)一人当たりの国民総生産でチリはアジア危機以前のレベルを取り戻しましたが、それと別に一人当たりの実質購買力を比較したものがIMFから発表されましたが、それによると日本は年間28278ドルで世界9位、チリは10981ドルで、南米でウルグアイ、アルゼンチンに ついて3位でした。この数字は14年前の2倍になっています。
そうか一般日本人はチリ人の約3倍の購買力があるのか、まぁなんとなくうなずけます。実際は日本とチリの差が大きいのは日本には貧困層が少なく、平均が安定しているのにもかかわらず、チリの場合は極端に貧しい層が存在するので平均を下げるわけです。

4)首都圏の拡大
もう首都圏内では拡大する余地がないと思われるほど、宅地化がすすんでいますが、最近なって首都圏に隣接する区域に宅地造成が拡大し首都圏の8%に当たる6000ヘクタールが宅地として認定されました。首都圏から20kほど離れたタラガンテなんか、田舎の雰囲気を残しているし、高速のおかげで首都圏には短時間で通勤できると人気の由。私の部下も一人ここに住んでいますが・・。


(一般)
1)いよいよ今週の土曜日から夏時間に入りました。9日の午後12時を10日の午前1時にするわけです。日の長くなってきた最近ですが、これで1時間突然昼が長くなるわけです
さぁ私にとって待ちに待ったマラソンシーズンの到来です。チリの風とは関係ないかな?

2)ナイフの刃とぎ
チリではまだ笛を吹きながら道を歩き、包丁など家庭の刃砥ぎのサービスをしている商売があります。今週の新聞にでたのですが、それが学校の前に行き、子供が刃物を手に列をして待っていると言う風刺漫画がありました。最近の子供による刺傷事件の続出を考えると笑ってしまいますね。いや笑う問題ではないか。

3)ダーウィンの森
として知られる第5州のラ・カンパナで山に登っていた中学生が転落死亡する事故が発生しました。ここは標高2000mの山を中心とした国立公園で、ダーウィンがこの森を詳しく研究したことからダーウィンの森と呼ばれている。実は来週の日曜日、先日プロビンシア山(2800m)に登頂した4人組で、この山に登りに行く予定をしているのですが、どんな山でも油断は禁物ということが分かります。


(スポーツ)
1)今週の話題はなんと言ってもWカップの南米予選。チリはキトでエクアドルと対戦します。
まぁあかんやろと私は思っていますが、(私だけではありません、半数のチリ人も勝てないだろうと見ています)試合が楽しみ。ミッドの中心だったピサロを監督批判の見せしめに召集しなかったことからチームが二分しているし、素人のテレビキャスターから先発メンバーのポジションを批判されているようでは、勝ち目がないのは当然でしょうね。
(自分のチームで、右側でプレーしている選手を突然左サイドで起用すれば選手は混乱するとか)

以上