(政治)

1)国民調査結果として政府は現在のチリ貧民層は全体の19%でこれは87年の45%、90年39%に比較するとの半分以下になっており、政府の政策の正しいことが実証されていると発表。これは南米ではウルグアイに次ぐ低い数字らしい。さてこの19%のうち4%が極貧となっている。しかしこの種の数字はいつもその判断が難しい。1979年からここに住んでいる人間として確かに貧困、極貧の家庭数は減少していると思う。しかしその富裕化の波に乗れなかった人間が、以前なら近所の仲間大多数が同じ階級だったことから、高望みをすることが無かったので、その苦しみになじみながら生活していったが、現在ではその現状に満足できず、犯罪者になっていく可能性が高くなっている。で、貧困数の減少と犯罪の増加と言う二つの相反する現象を示しています。

2)先週のトップニュースだった虚偽発言事件は、その女性が留置所に入り、彼女の側に立っていたカトリック神父、弁護士が彼女と距離をおくことを発表して一段落。
しかし既にチリの風で書いたように、彼女が野党党首を陥れる作戦を立てて実行する力は無いこと、もう1年もたつのに児童売春事件の捜査が一向に進まないことから、事件の裏にはもっと深い政治の影が見えています。
さらにこの事件を担当する裁判官がピノチェットの隠し財産の件も担当していますが、何だかおかしい。他に裁判官がいないわけではなし、一人の裁判官に大事な事件をいくつも担当させることは、急いで審議しなくても良いと最高裁から示唆しているようなものです。
チリ・カトリックの最高責任者エラスリス大司教がその野党党首の自宅を訪問し、カトリックとして今回の事件で彼と彼の家族が被った被害について同情と慰めを発表しました。もっとも彼を訴える側に立っていた神父が、根拠のない事実をでっち上げ彼を訴えていたと言う論拠には同調していません。  

3)昨年から始まった経済犯罪のもっとも大規模なのは投資会社の倒産事件ですが、それに関連してもと大臣が逮捕されています。彼はその会社に常務として勤務していましたが、自社が崩壊寸前なのをしりながら、重要客先にその金を引き上げないよう要請する電話をかけており、ヴィーニャ市役所など彼のおかげで多大の損害を被っています。その彼が今回、大使に任命されました。政府もどこかに傷があるのでしょうね。彼を救わなければいけない理由が。
野党が大使と言うのはチリを代表する顔である。しかるに彼のような(有罪にならなかったにせよ)逮捕された人間を大使に任命するなんてとこれに猛反対しましたが、結論は変わらず。しかしこの政府の神経も分かりませんね。ここまで露骨に犯罪者にフェ―バーを与えるなんて。