チリの風 その76 04年8月6日―12日

最低気温が零下の寒い日が続いています。そして一日強い雨が降りました。もちろん、山の上では雪になります。雨が降った次の日のサンティアゴの景色は、世界の首都のトップクラスのすばらしさでしょう。何回見ても感激します。私は山に近い東部地区に住んでいますが、アパートの向こうにアンデス山脈ですからね!!!本当に登山口まで車で10分です。

さてWカップ南米予選の話ですが、チリは世界チャンピオンのブラジルと6日の日曜日ホームで対戦しました。そして全く怖気ず、堂々と戦って引き分けでした。審判が何回も間違ってしまい、それがなければ勝っていたところ。翌日、当の審判が最初のブラジルの1点はオフサイドだったと認めていますから・・・


(政治)
1)私にとっては、今週のトピックスは裁判所の醜聞。例の公共事業省の汚職問題ですね。すでに担当女性裁判官が、裁判所の中で自分に圧力をかけようとする動きがあると告発。それを受けて一人の裁判官がこの事件の担当に任命され、真相究明にあたっています。一番まずい立場にいるのが最高裁判所長官で、彼は政府とどんな接触をして、その結果何を図ったのか問題視されています。
ラゴス大統領が裁判所に呼び出されるのは、この一、二ヶ月でしょう。

2)ボリビア問題
今週アメリカ機構総会がエクアドルで行われましたが、その場でボリビア外相が、ボリビアの失われた海の返還について演説。それに対抗してチリ外相も演説しましたが、翌日のチリの新聞のトップはそれではなく、上記の裁判所をめぐる話題でしたから、チリ国内でいかにボリビアの問題を評価しているかがわかります。前回の総会ではべネスエラ大統領がボリビア援護を打ち出したので盛り上がりましたが、今回はチリの根回しが効いたのか、諸外国でボリビア援護陣が形成されず、ボリビア孤立無援の戦いでは勝ち目が無かったようです。しかしボリビア天然ガスとチリの海を秤にかけるというボリビア作戦は全く効果がなかったようですね。
今週、仕事の場で聞きましたが、ペルー人が、「ボリビアは遅れている。またこの先どうしようという計画が無い。あれでは将来が無い」と手厳しく批判しているようです。友邦ペルーに馬鹿にされるようではボリビアも苦しい。
不思議なことに現在ボリビア・ペルーを結び幹線道路が封鎖されており、それを開放しようとする警察、軍隊とインデイオの戦いが続いていると報道されている。 

3)徴兵制
現在チリでは兵役は義務です。これを義務から、選択性に買えようという動きが出ています。次期大統領選挙の右翼側候補ラビンはそうそうと徴兵制を終わりにしたいと発表。一方、社会党員で現在、防衛大臣をする女性候補のバチェレットは軍隊側にたって、徴兵制維持を唱えています。なんだかどっちが右翼でどっちが左翼か分かりません???

4)極左の動き
長い間、チリの極左のニュースはありませんでしたが、ここに来てチラホラ。現在ハンスト実施中の投獄中の同士を救えと、仲間が国立銀行に爆弾を仕掛け、午前4時でけが人は出ませんでしたが、依然として爆弾騒ぎを起こせる力があることを証明。


(経済)
1)ドルの価格が急上昇
 年初1ドルは600ペソだったのですが、今週650ペソまで上昇しています。半年で約10%の切り下げ、輸入商品には厳しい風です。

2)経済上昇率
にもかかわらず、4月の上昇率は5%と発表になりました。何しろ輸出が対前年54%アップととどまることを知らない好調ですから。


(一般)
1)サンティアゴに宇宙人?
このニュースが世界中を駆け巡ったようですが、やっぱり偽者だったようです。というのはその宇宙人のピントと、その前後に写っているものとの差があり、通常に撮影したものではないことが分かりました。ガセネタですね。

2)泥棒騒動
先週の風で特筆すべき泥棒があったと書きましたが、そのうちの銀行の貸し金庫あらしは、何と一週間で犯人グループを逮捕しました。チリ警察もなかなかやるところを見せました。ところで、もっと犯人特定が簡単そうなチュキカマタ銅山の犯人についてはあまり報道されていません。トラックで銅を搬出しているのだから、犯人への道は簡単そうですが、それがされないのは政治的背景があるのか(たとえば、盗んだ銅の金が一部政治家に渡っていたとか)と思ってしまう。そんな分けないか。
チリでは万引きのことをありの泥棒と言いますが、このチュキカマタのときもこの単語が使われています。

3)雨さわぎ
サンティアゴは雨に弱い街で(つまり排水能力が低い)、ちょっと雨が降ると浸水騒ぎが起こります。で、今週も、一部の道路で、立体交差になっているところの下部が冠水し、通行不能になったところが何箇所も出ました(運の悪い車はそこに入って動けなくなっている)
でもこの雨で貯水池の水量が増え、水力発電に期待するところが大きい現在、まさに恵みの雨でした。


(スポーツ)
1)サッカー  
ブラジルと1対1で引き分けたチリは南米予選で10か国中3位を確保。これで次回のWカップの参加資格(上位4カ国)を狙える位置にいます。
まだ始まったばかりですから、偉そうなことを言うのは早いか。次回は2ヶ月あと。
余談ながら、今までのホームでの平均入場者数でチリが南米トップの6万人を記録しています。Wカップはこれでしばらくお休み。次の目標はアメリカ杯です。チリはまだ一度も勝った事の無いこの大会、今回は?

2)スキー場開き 
ウィンタースポーツの華、スキーがやっと出来ます。  
この土曜日からファレジョーネスをはじめ、サンティアゴ近郊のスキー場がいっせいに商売開始です。


以上