チリの風  その75 04年5月30日―6月5日

ゴ―――ル、私は礼儀正しく(日本語が間違っているかな?)窓をあけてご近所の皆様にチリのゴールをお知らせしました。同じアパートの人はまた中国人がうるさくしていると思ったに違いありません。これは下町地区ならどこでも通常のことですが、私の住んでいるところは若干レベルが高く、私のようにサッカーの試合のたびに大声を出す人はいません。いや、ごめん、説明不足でした。この火曜日、敵地べネスエラでWカップ予選が行われ、我がチリ・ティームは見事に勝利を飾ったのでした。

今月もう一試合が予定されていて、それは6日の日曜日、今回はサンティアゴであのブラジルを迎えての一騎打ち。南米予選10カ国でトップを走るブラジルと3位のチリの対戦ですから、盛り上がるのは間違いありません。

日本も対インド戦絶対勝ってほしいですね。


(政治)
1)公共事業省汚職関連
よかった、他にも話題があって。今週はサッカーの記事だけで埋まってしまうのかと思っていたので。
しかしチリの司法も惨めですね。昨年から1年かかって公共事業省の汚職を調べているが、なかなか確信にいけない。いや行きついたからこうなったのか???この事件を担当している女性裁判官が、裁判所の内部で、調査が進まないように自分の圧力をかける動きがあると文書で告発。
最高裁判所の長官が、私は彼女とこの件で何度も話し合っているが、それを圧力と彼女は感じているのか、それとも他にもそんなことがあるのか知りたいとコメント。しかし白々しい。彼はその女性裁判官がラゴス大統領を取調べしようとしたことについて、それを中止させようとしたと見られている。この事件で既に逮捕されている、同省の元大臣がラゴスが大臣だったころ、この不正給与システムが始まったとの告発をしており、大統領を喚問することは不可避と見られる。
しかしこれでラゴス政権は大打撃でしょうね。

2)ボリビア
ボリビアのオルロ県知事がチリを批判という記事が出た。「ボリビアとチリの間には広範囲な国境線があり、そこをボリビア密輸部隊が突破してやってくる。ボリビアにはそこを警備する警察も軍隊もないが、チリにはそれがある。しかるに彼らは自分たちの職務を全うせず、従い密輸が減少していない。」しかしチリのトラックはボリビアへの密輸に関与せず、あくまでもボリビア人がやっていることですが、それをチリが悪いというのはどういう神経でしょうか?まさか本気で冗談を言っているとは思えませんが。


(経済)
1)物価上昇率
5月の一般物価上昇率が発表になりました。久しぶりに0.5%アップでしたが、その理由はガソリン代アップとそれに伴うバス代の上昇が原因。

2)鉄道
ブラジルからチリまで鉄道を敷くというのは以前から計画されては失敗していますが、ブラジルと中国との貿易が拡大するにつけ、ブラジル側の熱意が上がってきているようです。現在の計画では、サオパウロを起点にボリビアサンタクルスに入り、そこから南に下がってアルゼンチンに、フフイ、サルタを経由してチリの北部へ抜け、イキケまで到着するという路線。全長約4000KMとか。
どうなるかな?

3)肉の消費が10年で2倍に
チリの経済回復を示す一つの指数でしょうが、肉の消費が順調に伸びています。その割合は鶏肉34%、牛肉33%、豚肉26%、その他となっています。一人あたりの消費量は1年間で72KGです。
昔は肉を買えなかった層が最近は買えるようになってきたのですね。


(一般)
1)子供の養育権
離婚した夫婦の問題で一番頭がいたいのは子供の養育権のことではないでしょうか?チリでは通常、母親がそれを持つことになっていますが、今回話題になったのはその母親(地方裁判所に勤務)が同性愛で、他の女性と同居している例です。この件は既に以前のチリの風でお知らせしましたが、今回の判決で、彼女は子供の養育を行うのに不適切として父親にそれを与えるとしました。で、南米各地の同性愛主義者などがこれに対し抗議行動を行ったらしい。カトリック教会はもちろんこの判決を支持しています。

2)ジャンク・フード
チリで子供のうちからデブが増えて問題になっているというのは既に書いていますが、今回国会で、学校施設内でのポテトチップなどのジャンクフードの販売を認めない法案を成立させようという動きが出ています。チリでは日本の学校と違って学校内の売店で、生徒がそういう食事をできるようになっているわけです。しかしなんだか本末転倒で笑ってしまう。

3)スモッグ
サンティアゴの冬と言えば、残念なことにひどいスモッグで有名ですが、それでも04年は03年と比較すると格段によくなっていると発表されました。車両の走行に関し通常の規制以上が発動された日数が、5月段階で03年の16日から04年は5日に減少している由。めでたしめでたし、でもその減少の理由もはっきりしてほしいですね。

4)差別
チリの差別というレポートで、現実にチリで行われている差別のうち顕著なものは次の三つだそうです。
その一番目は出自(原住民の人、チリではインディへナと言われますが、マプチェ族とかアイマラ族の人たち)
ついで所得層。貧乏な人には機会がない。
最後は年齢で、老人は社会から相手にされないとしています。
私は今、チリの会社でリキャップタイヤ(更生タイヤ)の仕事を受け持っていますが、その工場で働いている工員さんに何人か、マプチェの人がいます。で、食事のとき、他の課の人と食事をしていて、おまえのところはマプチェが多いなと言われ驚いたことがあります。それがどうしたの?と言いましたが。


(スポーツ)
1)サッカー  
笑ってしまう事件。チリではサッカーの国際試合にナショナル・ティームが勝つと市民が町に出て、旗を振り、自動車がクラクションを鳴らしてお祝いします。で、今回もべネスエラに勝った夜、その車の行列、クラクションをならす騒ぎがあったわけですが、そのうちの一台が、何と警察から迷惑だとして道路交通法違反で罰金を課せられました。運転手がテレビのニュースに出て、警官は冗談を言っているのだと思ったら、本気で反則切符をきったので驚いてしまったと語っていた。チリにもまじめな警官がいるわけだ。私も窓から大声でどなっていたら罰金かもしれない。

さて6日のブラジル戦が楽しみです。

以上