チリの風 その74  04年5月23日―29日


今週はラ・セレナと言うところで、リキャップタイヤの宣伝パーティをしました。約40名のお客さんを集めて夜中まで飲んだり食ったりしました。

それとは直接、関係ありませんが、お客さん同士の会話などから、また招待者側との関係も含め、日本とチリの違いとして、年功序列式考えのないことを感じました。

日本ではどうしても年寄りを大事にするという考えがありますが、チリでは年寄りイコール上位の考えは全くありません。むしろ老人は古い考え、やっかいものと言う考えがあり、それをからかう、馬鹿にするわけです。つまり老人は自分を守る手段がなければ、その人間性(重要性)を失うという過激な世界。それが野生動物の世界では正解といえても、人間の場合は・・・。老人の仲間入りが近い私としては、考えさせられます。

(もちろん、チリでも同じ会社の上役へのごますりは日本と同じです)


11)政治
1)ピノチェット問題
国内より外国に大きな反響を巻き起こしたのがこの事件でした。しかしチリ国内で、まったく話題になっていなかった彼が突然、世界中のメディアに登場した感じでした。と言うのは、彼は約300件の訴訟を抱えていますが、2年前最高裁判所が、88歳の高齢から裁判に耐えられる心身状況にないとして追訴の免除を受けました。それがなぜか今週、控訴裁判所が、コンドル事件(70年代、他の南米諸国と組んで左翼主義者弾圧を行った事件)に関し、彼を裁判にかけると発表。最高裁が最終認定するのではなく、実際にこの事件を担当する裁判官が、彼の心身状態を判定すべきというコメントを出しています。
このような判決が出るかもしれないと前日に報道もなくまったく唐突に変決が出たことは、私にすれば、自分たちの存在感を示すための政治的ショーにしか見えません。
これでまた舞台は最高裁まで戻りますが、時間と費用の無駄づかいをしているとしかいえないのが残念。

2)ラビンのロシア訪問
大統領候補のラビンがロシアを訪問。そこで共産党も、文化や教育部門では国に財産を残したと発言。右翼側候補なのか左翼側候補なのか分からない。これはチリの右翼は極右との国際認識を変えようとするプレーだろうが、まだ無理がある。かえってチリ国内の右翼にはラビンはスタンスが落ち着かないとの印象を与えている。

3)ボリビアの海問題
来週のチリの風にまた登場するでしょう、この問題。次回のラテンアメリカ機構会議で、ボリビアがこの問題を取り上げ、べネスエラが後押しをするという構図が再度起こりそうです。しかしボリビアはいつなんどき破産するか(破綻するか)分からないといわれ、それを防ぐ(凌ぐ)唯一の方法がチリを攻撃しつづけることなのでしょう。それにしてもチリを共通の競争相手?とするボリビア、ペルー、アルゼンチン連合の結成はチリにとっては厳しい壁になりますが、それができないところに三カ国の問題点もあるわけです。アルゼンチンは最近購入をはじめたボリビア産の天然ガスの支払いを自国製の航空機で受け取ってもらいたいと言い出しましたが、ボリビア側はちゃんとドルで払ってくださいよと言っている。支払日がきてもアルゼンチンはまた払わないんだろうな、きっと。


22)経済
1)対スペイン 
 今週のニュースで一番おもしろかったのがこれですね。チリの経済自由化路線にそって、スペインはチリの電力、電話、水、高速道路などに投資し、勢力を拡大していますが、それにともなってそれらのスペイン資本会社の重役がチリ政府批判を強めていました。その中で、チリ政府はアルゼンチン化しているというのがありましたが、大蔵大臣がそれに過激に反応し、文句があるならどうぞと扉を指差したもの。もちろんチリから出て行ってくださいということ。今週スペインを訪問していた、ラゴス大統領は向こうで、これは両国の緊密な関係からすれば些細なことですとコメントしたようですが、苦しい展開。
新聞の投書欄に、植民地時代でもあるまいに奢ったようなスペイン人の発言に飽き飽きしていたが、久しぶりにすっきりした。大蔵大臣ありがとうと言うのが掲載されました。
今月、私は電話をスペイン企業グループからチリグループに変えましたが、別に政治的見地からではありません。


33)一般
1)泥棒
一般の泥棒の話は、珍しくもないし、書きたくもないけど、今週のは特別です。しかも二つも。
その1)先週末、銀行に泥棒が入り(先週は金曜から3連休)、すべての警報装置をはずし、ビデオのテープも取り外し、まったく指紋も残さず、完璧な仕事で金庫を破っていきました。しかも3連休の前の日に、銀行が金庫からお金を全部取り出すというのを知っていて、銀行側の金庫は狙わず、顧客の貸し金庫だけ狙っています。しかし家に置いておくと泥棒に狙われると銀行の貸し金庫を信用したお客さんは120人以上泣いています。被害総額は150万ドルと言われますが。

その2)コデルコはチリでもっとも大きな会社ですが(国営銅公社)その製品が盗まれて海外に売られていたというもの。産業廃棄物として運び出されていたらしいのですが、政府がその他にもどじを踏んで、被害額を160億ドルと発表。何だかコデルコの年間営業がゼロになってしまうほどの金額。翌日、ドルとペソを間違えまして、さらに実際の被害は3000万ペソと訂正。警察が間違えたとか、政府首脳がコデルコの会社規模を知らなかったとか散々馬鹿にされています。しかし堂々とこの1年以上、正門から銅を盗みだしていたらしいが、困った話。これでまた警備の強化とかでチュキカマタ銅山に入山するとき必要な申請書類が増えることでしょう。


2)チリ人の健康状態が年々悪くなっていると言うテーマはこのチリの風で取り上げていますが、国民の身体状況として発表されたのは戦慄?もの。
平均身長、男性169cm、女性155cm、体重男性76kg、女性66kg。心臓病23%、心筋梗塞の疑いのあるもの13%、成人の50%太りすぎ、3人に一人はスーパーハイテンションコレステロール186mlなどなど。まぁ生活習慣病の患者がごろごろと言うのが結論でしょう。なぜそうなったのか、どうせれば良いのかという議論が早く出てほしいもの。

3)チリのロス・アンデスとアルゼンチンのメンドーサ(240km)を結ぶ鉄道建設の計画が浮上しています。現在はチリからメンドーサへはバスと飛行機で結んでいますが、その乗客を鉄道で運ぼうとするもの。アコンカグアの下を通っていくらしい。さそがし眺めの良い路線になるでしょう。(一部の路線は既に線路が敷かれている)


44)スポーツ
1)テニス
先週テニスでチリは世界1位になりましたが、今週は舞台をフランスに移し世界4大大会のロランド・ガロでチリ選手の活躍が期待されました。結果は、残念ながらたいしたことはなく消えてしまいました。
チリ選手の試合の時には早朝早くからテレビで中継しています

2)サッカー
いよいよ来週の火曜日、Wカップ南米予選が再開。チリの勝利を願って。CHI!


以上