チリの風  その70 04年4月25日−5月1日

先週掲載した04年チロエの旅を読み返していたら、誤字脱字がいくつも出てきます。ちゃんと読み返したつもりだったのに・・・プロの道は遠い。ところでやっと発売になったようです、私の第2作目「マチュピチュで誘拐?」(東京図書出版会。著者名 藤尾明憲)本屋で見てください。

さて寒くなってきました。最高気温20度、最低気温5度なんて感じです。日本はゴールデン・ウイークですね。こっちも5月1日は祝日ですが、あいにく土曜日になってしまい通常の週末です。


(政治)

1)大統領の外遊
 ラゴス大統領は、南ア、インドネシなどを訪問する旅に出ています。
 彼がいない間にも公共事業省の不正事件で、100万ドルほど使途不明になっている金を元大臣が自分の懐に入れたのか、大統領選挙の資金に使ったのかもめています、もう誰も政治家以外騒がなくなったけど

2)隣国との関係
その1)アルゼンチンの天然ガス
 しかし両国大統領が得意満面で天然ガス条約に調印したのはつい数年前のことなのに、アルゼンチンからの天然ガス供給はだんだんその量が減少しています。チリ政府のクレームに対して、アルゼンチン大統領はこれは輸出を行っている私企業の問題で国の問題ではないと見当外れの回答をしています。まぁ馬鹿にしているのでしょうね。しかしチリ人もあいつらは世界のどこと契約を交わしても(たとえば世界銀行)それを遵守したことがないからなと、冷たいもの。チリ政府は一時、世界的な調整機関に提訴するとしていましたが、それも見送り、成り行きを見守る方針。
結局アルゼンチンと商売するのは止めたほうがよいと言うのが結論でしょう。私の働いている(チリの)会社もアルゼンチンに進出して痛い目にあっています。
(注)アルゼンチン大統領が私企業の問題といったのは一見、見当はずれに見えるが法律的には正しい。と言うのは天然ガスの国内、国外商内を商権として私企業に貸与しているからだ。ただしそのときの支払条件がペソ立てだったので、(その頃は1ペソ、1ドルで問題なし)そのあと、ペソが切り下がったとき、政府は国民の反発を恐れて、ガス価格の値上げをペソが切り下がった分まで認可していない。したがって、利益の出ない仕事に投資をする馬鹿はいないから、需要増にもかかわらず毎年同じ量の生産(供給)しかしていない。で、こんな状態になったわけ。それを私企業の責任というところにアルゼンチン政府の強さ?が見える。

そうそう、ラゴス大統領の外遊先のインドネシアで、先方から天然ガスお分けしましょうかと乙波があったらしい。

その2)ボリビアの海
同国の人気サッカーティーム・ボリバールの監督をしていたチリ人が帰国。
ティームは現在トーナメントのトップを走っており、決して成績不振で解任されたわけではありません。彼の言うには、国中が反チリで、毎日自分がチリ代表としてボリビアの海問題を責められるのは耐え飽きたと言っています。しかし国内の問題山積で、ボリビア政府としては三日に一度は反チリで盛り上げないとつぶれてしまうのでしょう。苦しい台所は良く分かります。

その3)ペルー人移民
今週、私の関連する仕事で外国人二人と会いましたが、彼らはペルー人でした。国際企業に雇用されているのだから、彼らはそれなりの力を持っていました。さて現在チリに大量のペルー人が流れ込んでいます。大半が不法滞在と言われています。彼らの一部が、携帯電話の不法使用で利益をあげていたなどニュースになることがあります。
チリ人に言わせれば、「私たちは人種差別はしない。ただ社会レベルでの差別は多く存在する」そうです。つまり、ペルー人だからといって差別はしないが、不法に滞在して、不正行為を行っているペルー人は下に見られるということです。これなら同じチリ人でも貧民街に住んでいるグループは阻害されることになります。フーム。


(経済)
1)失業率
03年平均は8.2%でしたが、今年は8.1%が予測されています。1―.3月の数字はちょうどその8.1%でした。

2)ドル価格
5ヶ月ぶりの高水準で、1ドルが624ペソにまできました。銅の値段が下がっていることが関連しているようですが、銅価がいつまでも最高水準に保たれるのは出来すぎですよね。(マックス142セントが、今は125セントです。それでもチリにとって非常に有利な水準ですが)


(一般)
1)犯罪の増加
統計が発表されてチリ人の46%は一度は犯罪の犠牲者になっているとされました。私も犯罪者(強盗)と何回か対面しています。しかし警官を増やし、留置所を増設し、裁判官を増やしても抜本的な解決にはならないでしょうね。すると一部のチリ人はすぐに言います。ピノチェットの時代にはこんなに犯罪はなかったね。民主主義が問題なんだよ。犯罪に対する姿勢が甘いからというわけです。

2)肥満問題
先にもお知らせしましたが、チリでも最近肥満問題が多く報道されていますが、今週はそのうちの二つ。最初は12歳の子供が120KGになって心臓病でいつ死ぬかも分からないというもの。胃を半分にする手術をしなければ危ないというが。
もうひとつは学校の先生に応募した女性が肥満という理由で採用されなかったのを訴えているもの。先生が肥満では生徒に示しがつかないとテレビで説明している教育委員会の人間が肥満だったのには笑ってしまった。


(スポーツ)
1)サッカー 
水曜日、チリ対ペルーの対戦がアントファスタ で行われました。圧倒的に押していたチリですが、1対1で引き分け。これに関してある番組で、これはギネスに申請すべきかもしれない、なぜならペルーはたった1回しかチリのゴール前にこれず(それも試合終了直線の90分)それで1点あげたのだから。まぁ試合の結果に関して文句を言ってもしようがありませんね。しかしイタリアの2部リーグでプレーするヒメネスは目を見張らせるプレーをしました。すぐに1部リーグから引っ張られるはずです。
アルゼンチンでプレーするサラスは負傷でこの試合には出場しませんでしたが、アルゼンチンリーグ戦には復帰しました。

2)テニス
マスとゴンサレス選手が欧州を舞台にプレーしていますが、まだ待望のトップテンに手が届きません。


以上