チリの風 その67  04年4月8日―10日

忙しいです、原稿書きが。チリの風を書いて、2月に行ったチロエ島旅行記を書いて、まだその前の日本、韓国旅行も書き終えていないし、04年マラソンレポートも書いているし、さらに第3作の「9月11日」も書かなければ・・・
11日のレースの後は、マラソン練習だけはしばらくお休みになりますから、時間が出来ますが。
東京図書出版会から第2作の表紙カバー案と帯の文言の案が送られてきました。一番良さそうなのを選択して、本にしてもらいます。出版までもう少しです。
さてチリは今週、復活祭を祝っています。金曜日から三連休です。既に二十万台の車と15000台のバスが近くの海岸に繰り出していきました。事故なしに戻って来れると良いのですが・・・
この期間、肉料理を控えて魚介類を食べるのがチリの習慣です。


(政治)
例のスピ二アック問題(児童虐待、売春容疑)と公共事業省の給料割増、汚職問題がマスコミのトップニュースに出るのですが、はっきり言ってもう一つ新味がありません。
公共事業省にケースでは、政府高官のやりとりしたメールをオソルノのハッカーが入手して新聞社に持ち込んでおり、ニュース性は十分なのですが。
きっとまだ何か隠していることがあるのでしょう。マスコミが大きく取り上げている割には読んでいて読者の胸の深いところに届きません。


(経済)
1)物価上昇率
3月の物価上昇率は0.4%で、過去12ヶ月の合計はマイナス0.7%となりました。チリでは物価は上がらないものと言えるようになっています。

2)給料水準
メルセ・コンサルチング社の発表で世界の部長クラスの給料水準が発表されましたが、1位は香港で11.5万ドル、スイスが10.5万ドル、3位が日本で年間給与が手取り9.4万ドルとなっています。チリは5.5万ドルでした。
私は部長代理だから・・・・、まぁそんなものでしょう??

3)勤務時間
給料とともに勤務時間の長さも問題になりますが、統計ではチリ人は平均年間2244時間働き、なんとフランス人の平均より800時間も多くなっています。
長時間労働の例として、車両の運転手(週55時間)鉱山労働者、保安関係者、さらに民間会社の部長となっています。
2005年からチリの新法律で1週間の労働時間は48時間から45時間に短縮されます。

4)輸出の急増
3月の輸出入統計で輸出が前年対比64%アップ(30億ドル)、輸入が37%アップ、収支合計はチリの輸出超で38%アップ。このように見事な数字が並びました。
1−3月合計でも前年対比輸出が36%伸び、関係者でもここまでチリ経済が伸びるとは考えていなかったとしています。経済に関して言えば、チリは強いですね。中南米ではトップでしょう。


(一般)
1)犯罪の増加
既にこのチリの風でも、犯罪の増加について何度か言及しました。今回の発表で首都圏の強盗発生件数が97年の5.8倍とされ、そのあまりの増加ぶりに呆然と言うところです。(チリ全国でも約5倍)
しかし何故犯罪が増えるのか、政府はそれにどう対応しようとしているのか全く鮮明な映像が見えてこないところにもう一つの問題があります。
そして政府とともに市民の批判の目を浴びる司法関係者も顔を見せるべきでしょう。社会が落ち着かなければ、生活を楽しめるわけがありません。

2)親権問題
両親が離婚すれば、子供の養育をどうするかと言う問題が出てきます。
チリではまだ離婚できないので、実際上は結婚を取り消すか、法律上は結婚したまま別居して事実上の結婚を解消することになります。そのときチリの法律では普通母親側の権力が強く、よほどのことがない限り(例えば、親権行使の意思が無い、暴力行為を繰り返す・・)母親が子供と同居することになります。で、父親は養育費を支払うことになります。
私の場合もこのケースになっています。
さて今週問題になったのは、母親が裁判所の裁判官で、父親が弁護士と言う夫婦の結婚が破綻したのですが、父親が、その母親はレスビアンだから子供の養育には不適当と訴え出たもの。これが普通の母親なら大ニュースにはならなかったでしょうが、現職の裁判官として大ニュースになりました。
まだ最高裁の最終結論は出ていませんが、地方裁判所段階では彼女に有利な裁定に今のところなっています。

3)教育問題
毎年、チリ国内で学力テストが実施されますが、今年のテストの結果として中学2年生の例で、1998年からチリ学生の学力は全く向上していないと言う厳しい報告が出ました。先日、英語の教科書でドジをふんだ教育省はこれをどんなふうに説明するのでしょうか?反省の材料に使う?


(スポーツ)
1)テニス
デビス.カップの南米地区大会でチリはエクアドルに快勝。世界大会の入れ替え戦進出まで駒を進めるところまできました。日本はアジア地区でインドと対戦していますね。どうなるかな?
4年前、同じカップの地区大会でアルゼンチンと対戦した地元のチリは初戦勝って勢いに乗り、そのまま行けるかと思われましたが、第2戦の審判判定にファンが騒ぎ出し、会場に椅子を投げ込み始め、大混乱。もちろん、試合は没収になり、以後チリは地元での開催を拒否され続けました。
今回4年ぶりにホーム開催が認められましたが、また同じ混乱が起こらないかと心配されました。が、初戦から決定的な第3戦までチリの圧勝で、暴れるファンも出ず、無事でした。

2)サッカー
リベルタド―レス・カップで負けてばかりのチリのティームでしたが参加している3ティームの一つ、コロコロは最初の3試合連続敗戦の後4戦目に初勝利、さらに今週、前年世界チャンピオンに輝いたアルゼンチンのボカジュニア―をチリに迎え第5戦。
なんとこれにも見事勝ち、最終戦コロンビアのティームに勝つと第2回戦に進出の可能性が出てきました。浮き沈みの激しい試合振りですね。


以上