チリの風  その66  04年3月27日―4月3日

天気予報、あたりました。先週まで最高温度30度を越える日が続いていましたが、「今週から温度が下がり、雨も降るでしょう」との予報。ピタリでした。雨が降って最高温度が20度になった水曜日など、人々が冬のような服装をしていて、笑ってしまった。来週は少し暑い日もあるらしい。
さて私はマラソン本番が11日に迫り、緊張しています。3日(土)は本番コースを試走、準備は整いました・・・


(政治)
1)アルゼンチンからの天然ガスの輸入
天然ガスの輸入が止まるのではないかとの報道陣の質問にラゴス大統領は、ガスの輸入は二重にも三重にもその安全が保障されて入り、一般市民に影響することは全くないと大見得を切りました。しかし翌日、経済大臣がガスの供給が止まることを深刻に心配していると発言、そしてそのとおり第1弾としてチリ北部向けのガスが供給削減になりました。
テレビ番組で市民の声として、一般生活に大きな影響をもつ燃料をアルゼンチンの天然ガスに頼ることは大きな誤りとする声が85%にもなっています。前大統領がアルゼンチンとこの契約を結んだとき、「戦争など、いかなる理由にしろアルゼンチンが供給を止めることはない。隣国アルゼンチンに頼るのはいけないと言う声があることは知っているが、アルゼンチンとの間に戦争がおこるかもしれないというのは時代錯誤もはなはだしい。そんな人たちの声を聞いていればチリの発展は無い」とかっこよかったのですが・・・(これはフレイ前大統領ですが、今になって私は隣国の天然ガスに頼りすぎるのは良くないと、水力発電ダムの建設を促進しようとしたが、国内の反対が多く実現できなかったとしています)
しかしこれから冬になって、電気の消費も増えるときに、発電所がその燃料を早急に他の物質に求めるのは不可能でしょう。もしくは石油石炭などを緊急輸入をすればコストアップはさけらず、それが消費者に跳ね返ってくること必定ですね。
しかし不思議なのは、天然ガスの供給が削減されたことを報道するメディアが政府を厳しく責めていません。もちろん、これはチリの報道陣が手ぬるいと言うより、政府の報道管制のほうが厳しいと言うことでしょう。そして、市民が街に出て、政府を糾弾する動きもありません??
ところで、02年の数字ですがチリの発電源は水力がトップで51%、2位が問題になっているガスで28%です。このため、原子力発電を考慮する必要があるのではないかとする意見が出てきています。

2)汚職指数
国際調査機関の結果で、チリは世界の20位にランクされました。チリの直下(22位)に日本が位置しているのは偶然と言え、笑ってしまう。
日本も依然として袖の下思考が治らないようだが、チリの実態はこれよりもっとひどいような気がするがどうかな。


(経済)
1)失業率
失業率が少しづつ下がって最近の3ヶ月平均で7.4%となり、これは過去6年で最も低い水準です。もっとも若年層の就業問題は深刻とのレポートも出ていますが。チリでは日本と違って一般に65歳が定年で、それ以降も働く気があれば勤務を継続しているようです。(もっともチリ人は65歳で厚生年金をもらえるなら、それ以上働く気が無いようですが)

2)ドルがペソに対して弱くなってきたと先週のチリの風で報告しましたが、今週はそれをなんとか持ち直して1ヶ月前の水準まで戻しました。まぁ何でも急激な変化は好ましいことではないので良かったです

3)アルゼンチン航空(スペイン系資本が経営)がこの6月からチリでもオペレーションを開始することになりました。名称は南航空(アエロリネアデルスール)。ランチリが南米の中心航空会社として得ている地位を奪いたいと意欲的な投資。さてどうなるか


(一般)
1)やっと雨が降りました。サンティアゴの中心には18.7mmの降雨でした。わずか18ミリで、一部の地域で道路が湖のようになり、毎年のごとく水対策が出来ていないことを証明しました。現在サンティアゴは道路工事など街中が工事中という感じですが、その中にこの排水工事関連も入っています。もう少しすれば雨対策はばっちりと政府は言っていますが、さて。

2)チリ人気質
もちろん、チリ人気質と言っても種々考えられますが、今週の新聞になぜチリ人はものごとを最後の日にしようとするのかという特集が掲載されました。
それは3月31日で車検の切り替え(道路を走行する許可証)が終わりました。これが更新されなければ、4月1日から道路を走れません。ところが切り替え手続きを3月いっぱい放置して全員が最後の日に処理しようとします。で、とてつもない長い列が出来て、その前日なら1時間ですむところを、3時間も4時間も待たされ、ぶうぶう言ってしまうというもの。
専門家の話では、
A)時間を守らないと言うのがチリ人の基本性格(つねに約束の時間に遅れる)
B)それに楽観的な考え方(締切日に大半の人間が更新していなければ、その期限が変更されるに違いない・・・)が加わって
C)さらに役所のどこかに友人がいるので、何とかしてもらえる(縁故を頼る)、これらから、月の初めに約束事を実行してしまうチリ人は(ほとんど)いないことになる。あー。
別に車検だけではありません。学校関連の教科書、制服などの購入、税金申告、クリスマス・プレゼントなど例はいっぱいあります。

3)思春期の青年の自殺
日本だともう高校生から自殺する子供がでてきますが、チリではかって子供の自殺は全く起こりえない出来事でした。それが最近は、ささいなことで?子供が自殺するようになっています。
今週、話題になったのは学校を変わらなければならなくなった子供がそれを受け入れなくてアパートから飛び降り自殺しています。
識者の見解として、先進国では15年前から、若者の自殺が顕著に増えている。携帯やPCの普及で、いかにも対話が増えているようだが、実は友人、家族間に真の会話が無くなり、相談すべき人間を持たない若者が自殺を選ぶことになるとありますが、最近のチリの発展がこんなところで認識されたようです

4)チリ政界の堕落(凋落かな?)はもうはっきりしていますが、それより少しはましかと思われている法曹界も最近では批判の目を向けられています。今週は、サンティアゴ南地区のフロリダで、住民が道路を封鎖して裁判官に抗議。これは最近逮捕された強盗が、ほとんど日をおかず釈放されたことに抗議するもの。なぜ逮捕されて、被害者の確認もある犯罪者を直ぐ釈放するのか誰もその理由が納得できません???


(スポーツ)
1)サッカー
しかし火曜日のWカップ予選の試合は気持ちよかった。チリがボリビアのラ・パスに乗り込んでの一戦。最初チリが1点取ったとき、私の予想の通りだ、さすがに私はサッカーを知っていると思いました。しかしその後の展開は私の予想と全く違い、なんとチリが追加点を取って2対0で快勝でした。
ボリビアが勝つと言っていた私はもう会社でもどこでも頭をぺこぺこ下げて不明を詫びました。
でも本当はチリが良かったのではなくてボリビアがひどかったのではないかと思っています。
(サッカーの試合が始まると、国会も審議を中断して議員がテレビの前に釘付けになっていました)
さてこの勝利でチリは南米5位に浮上。ドイツWカップに出場の可能性が出てきました。(結論はまだまだ先の話ですが)
で、ボリビアの監督は前チリの監督なのですが、この敗戦で来週中にクビになると言われています。

2)テニス
しかしATPマイアミ大会の準決勝の試合は惜しかった。チリのゴンサレスはその試合で世界ランキング4位のコリアと対戦。1セット目を勝ち、2セット目も4度もマッチポイントを迎えながらそれを生かせず、ダブル・フォールトなどで自滅。3セット目も取られ敗退。出張先で、昼食時、少し試合を見ましたが、さすがに見ごたえのある試合でした。
これでチリにはトップ10の選手はいませんが10−20台の選手が二人になりました。


以上