チリの風 その48 2003年11月9日―15日

2003/11/19 (水) チリの風 その48 2003年11月9日―15日

14日からチリの河川での釣りが解禁になりました。で、早速、釣りキチの息子の武蔵は土曜日、渓流釣りにでかけました。サンティアゴ郊外のカホン・デル・マイポと言う地区の川に入ったそうですが、普段なら誰にも会わないようなところに、釣り人が鈴なりだったとかで、さすがにチリ人釣り師がこの日を待ちわびていたのが良くわかります。

(政治)
1)例の児童売春の件は2番目に置いておいて、最初はプンタ・アレナス市のアルゼンチン領事館に泥棒が入った事件から。同市はチリの最南端の都市。第12州の州都。チリの南部からチリ領土を通ってここに来る道はなく、空路、海路のみ。陸路の場合は隣国アルゼンチンを通過してこなければならない。同市にはフリーゾーンが設けられているので、アルゼンチン国民が安い品物を探して買い物にくることもある。さてここのアルゼンチン領事館に日曜日、泥棒が入った。当の領事が誰かが侵入し、なにやら物色したあとが残されていたのを発見。
警察を呼んで調べていくと、身分証明書が落ちていて、それを調べると陸軍諜報部隊の人間だったことが判明。一挙に政治外交問題に発展。アルゼンチンとの摩擦を望まない、現チリ政権は、陸軍で同部隊を統率するトップを含め、関係者を全員一挙に解雇する方法をとった。
さぁこの先、この問題がどうなっていくか?
しかし諜報の人間が領事館に入って、いかにも泥棒ですと言う荒らし方をして、おまけに身分証明書を置いていく(落としていく?)なんて信じられないけれど・・・・この事件の裏は何だろう?

2)さて毎週の話題に戻って、当該事件の担当からはずされた判事は、現在休暇に入っているが(入らされているが)これに替わった新判事は、同事件を担当する警察部隊を全部入れ替えさせた。今までの警官は信用できないと言うことだろう。さらに彼はマスコミとの接触も好まず、さらに前判事が、自分がやっていたころ、捜査に邪魔が入ったと訴えた事から、マスコミ側も自主的に報道を控えているように見える。
私は、政財界の人間が、この事件に関係している。またパーティーで酒、麻薬を飲まされた子供が死んでいると見るがどうだろう?

3)しかしチリにとって、それよりずっと重大な問題はボリビアとの関係だ。先月の信じられない反チリ闘争は、ボリビア国内の問題でもあるが、確かにボリビアの持つ切実な、海への出口の確保と言うチリとの外交問題を避けるわけには行かない。
今週に入って、チリの新聞に「チリの孤立」と題で外国人の論文が掲載されたが、南米で一人順調に成長しているチリを他の諸国が面白く思うはずがないと言うものだった。もっとも、じゃどうすれば良いのと言うことになってしまうだろうが。
それよりもっと強烈だったのは、国連総長のコフィ・アナンがそのボリビアの要求を実現するよう努力しなければならないと発言したことと、ボリビアで開催中の第8回イベロ・アメリカ総会に出席したベネスエラの大統領がボリビアの要求は正当な権利を持つと援護射撃した事だ。
前述したチリの国際的孤立化を象徴するような事件だった。事件だったではない、これから継続して問題になる厳しい現実だ。

(経済)
1)ちょっと前、金儲けなら株やねと新聞にも出ていましたが、10日連続で株価指数が下落。一番高値だった時期から20%も下がってしましました。損したやつがおるやろな。可愛そうに。

2)チリの南部は森と湖で有名ですが、このたび、ケンブリッヂ大学が衛星でチェックした結果として発表された数字が話題を呼んでいます。それによると過去25年で、天然林が67%減少したと言われます。
大半は人工林に変わったと思われますが、木を切ったあと、植林されないと動植物への影響が多大で、自然破壊になると報告は結ばれています。
私はもともと林学科の出身だし、森林伐採に使用されるトラックのタイヤを扱っているので、他人事とは思えません。

3)今年度の第3四半期の営業成績が発表になりましたが、チリで儲け頭になっているのはコペック石油でした。2位がエスコンディーダ銅鉱山。国営コデルコ銅公社は13位。昔はいつでもコデルコがトップだったのですが・・・


(一般)
1)和牛
いきなり、新聞の見出しにWAGYUと出たら、いったい何人の人が理解できるでしょう?さて記事を読んでいくとチリ人実業家が、それまでの仕事(森林、港湾)を清算して、和牛の生産にかけると言うもの。
一頭の和牛は日本では8千ドルするが、チリでならそれを700ドルで生産出来ると言う。2004年には1500頭を出す計画の由
この話をたまたま、私のアパートを訪問した日本人の友人に話したら、それと似た話は既に豪州で、日本商社が大規模に実施したが、大多数が失敗に終わっている。それは日本の消費者が、製品の原産国に過敏に反応し、和牛は日本産でなければ、食べないからだった。値段が半値以下に下がっても、品質に大きな差がなくても、日本の消費者は将来もそんな態度を取りつづけるのだろうか?

(スポーツ)
カップの南米予選が、この土曜日、各地で行われました。他国のことはともかく、チリは敵地でウルグアイと対戦しました。前半、先ずチリのシュートが決まって1対0。これで一気に盛り上がりました。もちろん私は礼儀正しく、窓をあけて隣人諸氏にチリのゴールをはりさけんばかりの大声でお知らせしました。そうか、このままいけば、試合が終わったら、喜んだファンが車で繰り出して町中が麻痺するなと、喜びがこみ上げてきました。しかし、世の中、そんなに甘くはありません。そのあと反撃されて結局2対1の敗戦。国中が打ちひしがれたようでした。サッカーって勝ったときだけ盛り上がるというのが良くわかりました。

以上