チリの風  その641  15年8月10日ー16日

今週も一日雨が降りましたが、先週ほどの降りではなく助かりました。大きな被害をだした先週の暴風雨ですが、一方では水不足の水力発電ダムや土地の乾燥で苦しむ農家を助けることになりました。 
今回も北部で土石流から多くの家屋の倒壊が発生しました。山に降った水が渓谷を流れるわけですから、所どころに土砂を集める小さなダムを作るか、水が流れる場所には家屋の建設を認めないのが、こうした被害を出さないための方策ですね。ほとんど実施されていませんが。 
土曜日、13 名の仲間と第1展望台までトレッキング。自然を楽しみました。日曜日は9名の参加でマラソン練習。朝9時の気温は5度と低かったですが、快晴で楽しく走りました。

(政治)

1) バチェレット
先週の大雨洪水で大きな被害をだしたトコピジャ地区を訪問し、被害者の援護を約束。その町と近くのアントファガスタ市を結ぶ道路は1週間後の今日、やっと開通しました。
彼女はその後サルバドールとメキシコに飛んで両国政府と相互援助の話し合いをしました。いつも付き合うチリ経営者グループは今回は遠慮しますと同行を拒否したらしい。
先週の政府・与党の大会議で彼女が発表した「約束を守って行動する」施策に対し、与党の一つのキリスト教民主党DCはなんだか納得しないようなコメントを発表。政府・与党内で衝突を起こしました。他の党から「いやなら出て行けばよいのだが、出ていっても幸運は待っていないよ」と反発の声。
これらの状況を見た政治評論家は、「DCは党の理論からし共産党と組めるわけはないから、与党内に留まるべきではない」とするだけでなく、このまま3法の改革案を実施すれば、次の選挙で前大統領ピニェラが勝っかもしれないが、取り返しのつかないほどのダメージをチリに残すだろうとの厳しい苦言を呈しました。
今週、新閣僚の内務・大蔵大臣は公約の契約を一気に実現することはできないとし、徐々に進めていくことを約束しました。野党側から、その方が信用できると評価されました。 何でもバチェレットと内務大臣の会話が潤滑ではないと言われますが、彼女が選んだのですからね。それとも彼女は気が向かなかったが、他の人の強い推薦(指示)があったから?
また2016年予算について野党側から「政府の提案する計画が実行できるとはとても思えない。例えば新税法が機能して85億ドルが計上されても、新教育法にかかる経費は95億ドルだろうから、その差はほかの事業に悪影響となる。つまり実行不可能だろう」  
ところでバチェレットを支持するとする層が先週は26%と発表されましたが、今週の調査ではそれが22%に落ち、過去最悪を更新中。もうチリにいたくないからバチェレットは外遊するのではないでしょうか。
その他の世論調査ですが、機関のどれを信用できるかと言う調査で、悪い方からの3つは国会、司法そして政府でした。良い方の3つはマスコミ、教会、会社(経営者)でした。 チリではマスコミは市民の信頼を受けているわけですね。今週、日本の原発再開がチリでも報じらえました。原発を止めると電力不足から日本は大混乱になると日本のマスコミで報道されていましたが、間違いだったようですね。福島の事故は終焉に向けて手が打たれていると言う報道も間違いだったようですね。じゃ、今、電気が足りているのになぜ原発が必要なのでしょう。誰かに原発稼働が必要なのでしょうね。1974年成立の電源3法案で、原発からの税収の一部がその地方の市町村に渡されると言うのが原因でしょうか。それとも日本が原発を他国に売りに行く時に、日本に動いている原発がないとセールスの迫力がなくなるからかな。

(経済)

1) 今年の経済成長
中銀の発表ですが、今年度の経済成長見込みは、毎月その数字が下がっています。そのうち3%、2%、1%となるのかな?
2) コデルコのチュキカマタ鉱山や他の部門の操業が開始されたようです。下請け労働者とどういう取引が行われたのか分かりませんが。何でもこのストで2千万ドルの損失がでたとか。しかし下請け労働者もすごいパワーを持っているものですね。

(一般)

1) ホームレス
チリの人口は多くが首都圏に集中していますが、チリ全土でのホームレスは人口当たり1000人に一人とか。するとサンティアゴには6千人ほどの人が街頭で暮らしているわけですね。寒い冬の間は政府の冬用ホームが用意され、2段ベッドを置いた体育館に数百人が夜を過ごしているとか。そこでは食事も出ますからね。もっともアメリカのロス・アンジェレスには25000人のホームレスがいるとか。アメリカ人の生活はチリより厳しそうですね。
2) 軍事政権時の犯罪
今週も、この種のニュースが続いています。秘密警察の化学薬品(兵器かな)を担当していた人間が味方の手でウルグアイで殺害されましたが、それに関連して10数名の秘密警察関連の元軍人が有罪判決を受け、軍関係者が入る刑務所に送られることになりました。そのうちの70代の高齢者の一人が、20年の刑だったのですが、自宅にいられる最後の日に自殺しました。刑務所に入ったら生きては出てこられないから、それならここでピストル自殺する方が楽だとなったわけですね。

3) パスポート
チリのパスポートの申請には48900ペソがかかりますが、これが10月から89660ペソに値上がりします。83%のアップ。なんでもこの新価格は南米で2番目に高い価格とか。1番はベネスエラで、あそこは政府がパスポートを国民に発行したくないから高くしているようです。つまりチリの値段は南米1です。これを解釈するに、チリのパスポートは他のどの国より進んだ技術を使って作られると言う考えと、値段の大半が生産コストと言われますが、外国企業とこのパスポート生産の契約をしたとき、向こうの言いなりになったのかな?2011年からこの契約は実施されてるらしい。今までは政府が値上げ分を補助していたのに、毎年、多額の赤字になるので、これから消費者に実費を支払ってもらうことにした由。
ホンマかな?もっともチリ人の外国旅行は南米が多いから、ほとんどの国でパスポートでなくチリの身分証明書(カルネ)で入国できます。

(スポーツ)

1) サッカー
さて南米カップが始まりました。これは先日の国別の大会でなくチーム別の戦い。チーム別ではリベルタドール杯が最重要カップで、この大会は2流のもの。
とはいえチリからも3チームが参加して優勝を争います。最初にカトリカが登場し、ウルグアイのチームのダヌビオとホームで対戦。終了間際にパハリート・グチエレスが得点を決め勝利を飾りました。他の参加チームのワンダラースは引き分け、ワチパトは敗戦でした。
国内リーグ戦は3試合目が終わってコロコロが首位です。 チリ代表チームの監督サンパオリにメキシコから乙波があったようです。ネゴの結果、メキシコには行かずチリに残るそうです。


以上