チリの風 その211 07年2月12日―18日

チリの風 その211 07年2月12日―18日

近くのアンデスの山が雪で真っ白になりました。冬ならあたりまえですが、今は2月、真夏ですからね。驚いています。金曜日昼頃から首都圏は強い雨になり、13ミリの降雨と発表されていますが、それが山間部で雪になったもの。
それから毎朝会社に行くとき、以前なら家をでると、もう外は明るかったのですが、最近はまだ薄暗い気配です。夏の終わりが近いのですね。
さいわい日曜日は天気も回復し、太陽の日差しを楽しみました。
さて旧友の消息です。2年前チリの一部リーグのウニオン・サンフェリッペで活躍したサッカー選手高橋さんから徳島ヴォルチスとの契約が終わり、シンガポールに移籍するとメールが入りました。コーチ兼選手としてプレーするそうですが、もう一度大活躍してもらいたいですね。


(政治)
1) バチェレットの外遊が問題になっています。数カ国訪問するようですが、その中にキューバの可能性が入っています。与党の中で左翼側に属する社会党とPPDは歓迎していますが中道のDC(キリスト教民主党)は反対しています。党首のアルベアルは休暇のワシントンから戻って、もし大統領がキューバにいくならカストロに反対している勢力にも是非合ってもらいたいとやわらかく釘をさしています。さぁどうするか?


(経済)
1) 銅の値段がポンドあたり2.5ドルと少し持ち直してほっとしていますが、忘れていることがありました。数年前、私が毎月大手鉱山を訪問している頃その生産コストは1ポンドあたり70セント以下でした。(2001年の平均生産コストは64セント)それがなんと現在は113セントと大幅上昇しています。日本もこんなことがありましたね。商品の値段がドンドン上がるのでコストの上昇に誰も目を向けないって時期が。大丈夫かな?

2) 中国の存在は日に日に大きくなっていく
今週発表されたチリの一月の貿易結果で輸入先も輸出先もトップは中国でした。日本はチリからの輸出国としては3位8,5%ですが、輸入国としては「その他」に入っています。
しかし最も汚染された都市のトップ10をほぼ独占する中国がこの勢いを続ければ、温暖化や大気汚染やその他もろもろの項目で世界的な悪影響を及ぼすのは必至です。何とかならないのでしょうか?もちろん歴史を見れば、今の中国のやりかたは長続きしないでしょうが。

3) アルゼンチンからの天然ガス
  同じようなニュースが繰り返されますが、またアルゼンチンがチリ向け天然ガスの供給を停止(もしくは減少)するとの噂が出ています。天然ガスがこないとチリの発電コストは3倍になる由で一般市民生活はもちろん工業に与える影響も多大です。にもかかわらずこれを他のエネルギー源に変える計画が展開せず、アルゼンチンに頼る体質改善が進まないのが不可解。
  コデルコを中心としたチリ北部鉱山連盟によるLGN 輸入計画もほとんど進展なしの由。


(一般)
1) しかし毎日毎日、今日は何が起こっただろうと期待してニュースを見るのは久しぶりです。そう、トランサンティアゴ新交通計画のことです。月曜日、心配された通りもめました。ちゃんとバスが来ないとユーザーが怒り始めたわけです。夜の定時ニュースの最後に(チリは全局が9時から10時まで流します)突然、「イタリア広場で乗客がバスジャック」と始まりました。これはキリクラ方面に行くバスを待っていた乗客がいくら待ってもバスが来ないので、違う方面に向うバスが乗客がほとんどなかったことからバスジャック。警官が来ても降りません。
ニュースはそこまで報道して時間切れ。翌日の報道で運転手が本社の指示を受け、行き先をかえて乗客を運んだらしい。これなんか計画性のなさの典型的な例で、各方面の始発、終発を停留所に表示すればこんな問題は起きません。
しかし当初の混乱は、私の目にはバス会社側がわざと混乱を起こしているヤラセに見えました。手持ちのバスを全部出さず、車庫にしまっておけば、当然バスが足りなくなり市民が騒ぎ出すのは当然。政府との交渉を有利に行おうとする手でしょうか。
おまけに料金徴収のマシンに欠陥が見つかり、当初の3日間の無料輸送がなんと金曜日まで延長する大変な騒ぎ。日本もパスモとかいうICカードによる料金支払いの実験が3月から首都圏の一部でスタートするらしいが、サンティアゴではカードだけでそれ以外の支払いは受け付けない極端に先進的システムの採用ですから混乱は無理ないか?
火曜日の朝BBCを見ていたらイラクの自動車爆弾ニュースの後にサンティアゴの交通問題が放映され、そうかこの問題は世界の問題なのかとニヤニヤしました。
おまけに金曜日雨が降ったら、停留所の屋根から雨が漏ってきて(出来たばかりの停留所ですよ)市民も苦笑い。これじゃ冬の本格的な雨には全く役に立たないねって。
土曜日から料金を徴収して走り出しましたが、この先どうなるのか。
そうそうニュースに出ていましたが、運転手が「夜の勤務はしたくない。だって遅く車庫に戻ってきたら、そこで寝るしか方法がないのだから。」で、夜間は仕事を早々に切り上げて他のバスに乗って家に帰ってしまうらしい。しかしこんな計画性のないいい加減なやりかたで近代的なバス輸送といえるのかな?
19日の月曜日にバスの運転手がストを予告しており、いっそうの混乱がおこるかもしれません。野党は大統領にのんきにバケーションはないでしょう、官邸にすぐに戻って仕事をしなさいとクレームしています。
苦戦するバスを助けるため地下鉄が現在の6時半スタートの営業時間を3月から半時間繰り上げ6時始発にします。地下鉄の乗客は新交通計画開始前の83%アップと激増らしい。
さてこの新計画も悪い点ばかりではありません。都市騒音の意味からは大きな貢献をしていることが明らかになった。幾つかの地点の測定で以前35デシベルだった地点が3デシベルに激減されている由。
料金も従来のバス・地下鉄独自の採算から現在は共通になったので、少なくとも今の所は私にとっては値下げになっています。

2) トーレ・デ・パイネ
   チリ最南端の国立公園ですが、2005年に旅行者の失火で15000ヘクタールが焼失しました。2年後、遊歩道の近辺などはほとんど修復されましたが、森林が元に戻るのは50年後とか。しかし今年1月にこの公園を訪問した観光客は25000人で、毎年その人気が上がっています。そそりたつ山々、氷河、森林それに野生動物・・・確かに素晴らしい所です。


(スポーツ)
1) サッカー
国内リーグは4回戦が終わって全勝はコロコロとカトリカの2チームになっています。
   リベルタドール杯はチリ代表の一つアウダックスが今週ブラジルのサオパウロと対戦0対0の引き分け。もう一つの代表コロコロはアルゼンチンのリバープレートと来週対戦です。
   さて南米カップが今年ベネスエラで6月から開催されますが、その組み合わせが発表になり、チリはブラジル、メキシコ、エクアドルのグループに入りました。チリ以外は全部先のワールドカップに出場しています。強敵ぞろいですね。苦しい。
   それから2010年の南ア・ワールドカップの南米予選の抽選がありました。チリは前回と同じく初戦はブエノス・アイレスでアルゼンチンと対戦です。前回は引き分けスタートだったのですが。


以上