チリの風 その1020 2022年11月27日ー12月4日

1週間の南部の旅を終えて戻ってきました。気温は約10度の差がありました。例えば最高気温がサンティアゴは30度、プエルト・バラスは20度という感じです。今日、日曜日は首都圏で34度まで上がっています。暑い。
もちろんどこでも、そこに住む人は精いっぱいの努力をして生活しているのは当然です。何もしないで楽しい生活を送れるわけはありません。
旅に出て、いろんな人と知り合いになって話が進むのが面白いです。今回は二組ありました。先ず飛行機の中で知り合った家族(おばあちゃん、母親、6か月の赤ちゃん)がなんと同じホテルに入っていて、毎朝、朝食を隣のテーブルに座って食べながら話をしました。それからホテルの近くのレストランで毎晩夕食を取りましたが、そのオーナー親子と知り合いになり、話が弾み、大学を卒業した息子さんが日本に興味があると言うのでサンティアゴに来た時、招待したいと言いました。また日本訪問をしたいならいろいろお手伝いできるとしました。
嫁さんがドイツケーキの作り方を習うためにそこに行ったのですが、彼女が3日間その実習をしているとき、私はそのプエルト・バラスとフルティジャールの町を歩きました。不動産屋に行って売りに出ている家の見学もしました。
そうしていろんなことを楽しめるのが幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
 エルウィンの像
 モネダ宮殿の前の広場に民主化してからの初代大統領エルウィンの像を立て、そのお祝いをしました。キリスト教民主党の彼が就任したのは1990年のことですが、軍事政権の後の初代大統領ですから、彼の責任は大変なものだったでしょうね。一方的にピノチェットを批判すると彼の支持者との対決がひどくなるし、逆に全くそれに触れなければ民主化運動のグループから批判を受けるでしょうから。私は彼は4年間よくやったと思います。
 来年、軍事革命50周年になりますから、ボリッチはそれをどう取り上げるか考えているでしょう。
 外交問題
 ボリビアがオランダのハーグ国際法廷にチリを訴えていたシララ川問題はチリのその川の水の使用に不正はないと結審されました。
 その川はボリビアの領土からチリの方に流れているので、チリはその川の水を盗んでいるのではないとされたわけですね。
 それからペルーからカスティージョ大統領が火曜日チリを訪問。モネダ宮殿でボリッチと面談しました。その日のうちにリマに戻りました。
 彼はもう何回も国会で大統領職を罷免されそうになる事態に直面していますが、毎日何を考えて仕事をしているのでしょう。

 検察総長の任命
 ボリッチが名指ししたモラレスは上院で否決されました。与党の中で反対票を投じた議員がいるわけですね。いつもと同じ与党内の混乱。
 彼は自分が15年間、検察官として働いていた時の情報が流されて、それが反対票になったと言われるが、それは不適切なことではないだろうかと政府を批判するようなコメントをしています。
 似たようなケースですが、新憲法に関し、だれがその憲法を作るのか、それがいつまでたってもはっきりしません。今の様子では国会で新憲法設立委員会を作り、議員が半分、一般市民が半分の数で憲法を用意するとなっても国民は喜ばないでしょうね。

(経済)

1)月例経済成長指数
中銀発表の指数は10月はマイナス1.2%でした。
来年はマイナス成長は間違いないと言われますが、それではその次の2024年にどれだけプラス成長が見込まれるのか計画してほしいですね。
大蔵大臣はチリは来年からTPP11に加盟すると発表しました。外国資本がチリの鉱山に投資をしてくれるかな?
2)銅価格と為替
 1ポンド3.78ドルとかなり上がりました。そのため1ドル885ペソとペソが強くなっています。
 1ドル1000ペソを超した時もあったのですが、10%以上もペソが強くなりました。 何度も書いていますが、このまま銅価格が上がるとチリ経済の成長率はマイナスではなくプラスになるはずです。
3)新車の販売
 11月の新車の販売は31708台と前年同月の18.7%減少でした。
 経済の停滞、市民の購買意欲の減少はもう間違いないようです。

(一般)

1)コロナ問題
 毎日の新規患者数は4000人ほどで増えることはなく、陽性率は14%ほどで安定。最近、良くも悪くもなく落ち着いています。最初の患者が出
たのは2020年3月ですから、もう33か月前です。この2週間で患者数が28%減少したと言われますが、それはPCR検査数が減少したからです。
 さて、以前は旅に出ると、ワクチン接種証明書(移動パス)があちこちで要請されましたが、今回は一度も見せることはありませんでした。
 私たちの乗った便は往復とも満席でした。ホテルの客も食堂を見ると、私たちの使った一番早い時間は満席でした。観光・仕事の国内での動きは完全に元に戻っていますね。
2)大学入試
 入試申請した学生の9割が受験とか。ところで今年の学生数は昨年より5万人も減っています。義務教育の子供が学校をやめてその後どう生活するのでしょう。この辺は政府はもっと手を入れて、コロナで親が失業したというのが理由なら奨学金を出すのがベストではないでしょうか?

3)暴動騒ぎ
 3年前の社会騒乱から、デモ隊が一番集まったのはイタリア広場です。そこに立っていたバケダーノ将軍の像はほかの場所に移されましたがその広場は荒れたままになっていました。それが今週から手が入って、広場に芝生の緑が見れます。その緑が続くことを願います。
 マプチェの問題ですが、裁判になっているマプチェグループのリーダーのジャイツルに25年の懲役が検察から要求されました。彼が有罪になって刑務所に収監されたらそのグループは全力を挙げて攻撃に出るでしょうね。木材会社だけでなく、学校・市役所・教会そして警察署を襲うでしょう。彼の弁護士はこれは犯罪問題ではなく政治問題だと政府を批判しています。政府はこの刑期は納得できるとしています。
先週のトラックのストは収まったようですが、新聞にブリオネスのコメントが掲載されました。彼はピニェラ政権の大蔵大臣をして大統領候補になった人です。「トラック業界の圧力に正当に対応できず、彼らの要求を呑む事態は政府として大きな問題を抱えている。これは氷山の一角で、きっと似たような例がほかにもあるはずだ」としました。
チリが民主化してから中道左翼は何回も政権を握っていますが、大きな問題はなく政治を動かしていました。今回のボリッチはそれらと比較してひどい状態というのはよくわかります。つまり彼の政権の基礎の新左翼共産党が知識経験が少ないので運営が上手くいかないのでしょう。


以上

チリの風 その1019 2022年11月21日ー26日

今週のチリの風 は土曜日までです。それは日曜日から嫁さんと南の旅に出るから。今回はプエルト・バラスとフルティジャールに行きます。
いつかそのフルティジャールに移住するのを夢見ているのですが・・・

サンティアゴは連日30度を超える日が続きました。しかし湿度は低いし風があるので公園の木陰のベンチに座ると気持ち良いです。

先月、山登りをして戻りの時転倒して胸を強打しました。病院の緊急病棟に行って半日入院して調べてもらったら肺に穴が開いて液体が入っていました。気胸(ききょう)と言われる症状です。それを何とか乗り越えて正常に戻れるよう努力しました。
何もせずにじっとしなさいと言う意見も聞きましたが、それなら1か月もすると私の年齢ではスポーツどころか散歩をするのも難しくなると思い、翌日から少しづつ歩き始めました。今週は10キロを走ったり歩いたり、先週より早くなりました。
仲間と麓歩きの山歩きもしました。もちろん軽い歩きです。胸の奥に亀裂があるのを感じますが、それでもちゃんと歩けました。
土曜日は久しぶりにサッカー教室。十数人の子供大人と楽しく練習しました。つまり今週はマラソン、登山そしてサッカーを楽しみました、
運が悪くて事故にあいましたが、運が良くてまた少しづつ元に戻ってきています。
それが人生ですね。幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
タイから戻ってきたばかりのボリッチは今週またメキシコに飛びました。メキシコでの毎日の行事の内容は大統領府のお知らせに書かれています。メキシコとの友好が図れたとボリッチはコメントしました。
ただ訪問の目的だった太平洋同盟の会議は中止とか。それはチリ・ペルー・コロンビアそしてメキシコの集まりです。メインの会議が中止なら訪問する意義は無い(減少する)と思えますが、チリにいるより外に出た方が彼には楽しいと感じるのではと思います。中止になったその会議はペルーで行われるらしい。じゃ、彼はまた外遊ですね。
世論調査で今週は彼の人気が少し下がったとか。先週上がって今週下がるというのはほとんど意味がないですね。
1%上がっても2%下がっても同じです。今週の数ですが支持するは31%、不支持は61%でした。
検察庁の長官にホセ・モラレスが選ばれました。ボリッチが彼を選んだ理由はそのうち分かるはずです。議会でそれを投票します。
新政権になって8か月ですが、ボリッチは政府高官の52%を入れ替えました。ピニェラは同時期で41%だったとか。つまり前政権で選ばれて働いていた高官を入れ替えていくわけですね。
2)新憲法委員会
議会で新憲法に関して会議がされていますが、全く盛り上がりません。世論調査では憲法改正は必要だが焦ることはないとする人が多数とか。
土曜日の新聞の経済欄に2ページの特集で渋谷大使の面談が掲載されました。彼はTPP11の専門家ですから日本企業の動きはしっかり把握しています。先の新憲法制定の投票でノーが圧勝したことを日本の企業は評価したとか。

(経済)

1)チリの経済成長率
OECDの発表ではチリの来年の経済成長率はこれまで予想されていたのと同じマイナス成長です。もちろんプロの人が判断に必要な数字を集めて結論を出すのですから間違いは少ないでしょうが。それからアンドレス・べーヨス大学の発表ですが、チリ経済の現状はインフレ・失業率・政府の負債とか多くの項目で2020年以来の最低の状況とか。
2)銅価格と為替
 1ポンド3.66ドルと先週とほとんど同じ。為替は1ドル924ペソと少しペソが下がりました。

(一般)

1)トラックのスト
 幹線道路にトラックが並んで止まり、一車線を抑えました。月曜日から始まり、もう一週間です。ディ-ゼル燃料費の高騰を政府にクレームしているのに全く反応がないからとか。コストが上がった分だけ利益が減少するのでしょうね。それで赤字になればなんのために働いているのかということになります。北部でトラックが襲われ、運転手が殺された事件がありましたが、それはトラック業界だけでなくチリの市民一般の厳しい状況です。
政府はトラック業界にディ-ゼルオイル価格の据え置きなどを提案しましたが、合意に達しないので国家安全法を用いてデモのトラックを排除する方針です。専門家の話ではガソリン価格の高騰は現政権・前政権の責任ではないとしています。
ただチリのガソリン価格はラテンアメリカの中で2番目に高いとか。もちろんこれは政府の税金のためで、それを下げれば価格は自動的に安くなりますが、政府の税収の重要な部分を占めているガソリン税の縮小はできませんね。
トラックのストが続くともちろん物流に影響し、北部からくる果物の値段が上がっているとか。北部の地区でガソリンスタンドにガソリンが無くなっているとのニュースも出ています。

ボリッチはメキシコからこの件に関しコメントし、政府の言うことを聞かないトラック業界に対し、鉄道網を充実させると発表しました。今まで何人もの大統領が同じことを言って誰もできませんでした。

2)コロナ問題
 先週とほとんど同じで一日の最高患者数は5800人でした。陽性率は毎日15%くらいが続いています。
 つまり良くもなっていないが悪くもなっていないと言うことでしょう。
3)暴力問題
 マプチェ問題はいつもと同じです。
 放火の罪で5名が逮捕されました。そのうちの一人はマプチェグループのリーダージャイツルの息子でした。
 高校生デモ
政治的に抑えようとしないという噂もあります。高校やそこが属する地区の区役所を罰するのは後で影響が出てくるので、できるだけ問題を大きくしないように放置していると言われるわけです。
マプチェや高校生デモの問題はルールを決めてそれを守るというのが、単純でやりやすいと思いますが。
タダ乗り
3年目の社会騒乱は高校生の地下鉄タダ乗り運動から始まりましたが、まだ公共バスのタダ乗りが続いています。運輸省の発表では今年は40%で、昨年の36%より増加しているとか。どこからその数字が出てくるのかわかりませんが、大変な問題です。私もバスに乗っていますが、その路線のタダ乗りは10%くらいです。路線によって、地区によってタダ乗りする人の数は変わるのですね。
しかしそれだけタダ乗りされればバス会社に利益は残りませんね。バス代を上げるという噂は出ますが、市民の反発があるので、政府はその時期を遅くしようとしています。
このタダ乗りを防ぐために政府は監査員をもっと使いたいとしています。それでは私のアイデアを伝えます。タダ乗りチェックの監査員を最低賃金で雇用します。タダ乗り客を見つけたら、政府はその人に罰金を払わせます。そこでその罰金の一部を監査官にボーナスにします。で出すわけです。すると最低賃金がたぶんその2倍になって監査員は生き生きと働くでしょう。甘いかな?

(スポーツ)

1)サッカー
チリは参加していないので今週は日本の話題にします。カタールワールドカップでこの水曜日、日本はドイツと対戦。
私は最近チリ代表の試合もほとんど見ませんが、日本の対ドイツ戦は見ました。テレビでは報道されなかったのでインターネットで見ました。
日本の2点目のゴール、浅野ですが、素晴らしかったです。それから日本の勝利は私の目にはゴールキーパーがもっとも重要な役割をしたと思います。
ごめん、チリの風と全然関係ありません。


以上

チリの風 その1018 2022年11月14日ー20日


サンティアゴは先週と大きく変わって、また最高30度の日が続いています。なんでも今月は過去10年間で最も気温の高い11月になりそうとか。
ジャカランダの紫の花が満開です。私の住む地区の街路樹としてジャカランダは多く植えられています。

さて今週の最大の話題は仲間と一緒に招待されてサンティアゴ大学の日本語学科の4年生と5年生のクラスの授業に参加したことです、日本では大学は4年制ですが、チリでは5年制です。それぞれ20名くらいの学生でした。もちろん彼らは日本語を理解し、読み書きもできます。
いろんな討論もしましたが、彼らがそこを卒業してどんな分野に入るのか楽しみです。

目の具合が悪く何回も病院に行きましたが、そこでもらった処方箋で眼鏡を作ることにしました。病院の眼鏡売り場では9万ペソと言われました。区役所が関連している眼鏡屋さんで区民証を見せると2万ペソでした。そこで眼鏡を作り、今それを使っています。しかしその価格の差はひどいですね。
スポーツも楽しんでいます。10キロを歩いたり走ったりしました。先週よりかなり早くなりました。もう一歩。
私の住むビルの前の道路の排水管の問題で金曜日、マンション全部が断水になりました。土曜日に大事な集まりがあったのですが中止になりました。運が悪いとそういうこともあるわけですね。その問題は土曜日の午後に解決しました。
さて来週は、27日の日曜日から1週間、妻と南部の旅を楽しみます。

(政治)

1)ボリッチ動向
 APECに参加するためタイに飛びました。初日はカナダ、日本の首相と面談。二日目も何人かの首脳と面談しましたが一番話題になったのは中国の習近平との面談でした。新聞に大きく報道されました。来年、訪中するらしい。
 さてチリのマスコミには日本首相と面談と報道されましたが、日本のマスコミではそれは全く出てきません。チリの重要性が日本では認められていないのでしょうね。もっともチリの新聞には中国の習近平との面談は大きく報道されましたが、岸田首相の方はほんの少しでした。ボリッチはその面談について、「チリは世界を必要としている。そして世界もチリを必要としている。チリは世界が正常に通常に進展するよう一層の努力をしたい」としました。さらに付け加えて、「中国首脳と素晴らしい会談を持てた。チリと中国が手を取り合って進むのは両国にとって素晴らしいことだ。来年、彼らの招待を受け、訪中してこの動きを一層堅固なものにしたい」としました。彼は中国がTPP11 に加盟するよう誘っているとか。 ボリッチにすれば中国がチリの明暗を決める国なのでしょう。
もっと銅を買ってくれれば、車をどんどん買いますよ。電動バスはチリでかなり走っていますが、全部中国製ですね。これから中国の属国になるの?前のピニェラも中国の重要さは理解していましたが、中国びったりではありません。アメリカの顔をうかがっていたのかな?
その点ボリッチはアメリカの様子を見るつもりは全くないですね。
ところで世論調査では風が変わって彼を評価すると言うのが少し増えています。

2)来年度予算
下院で予算案は認められ上院に送られました。成立するかな?
新税法が問題になっていますが、チリの場合は、会社のオーナー・幹部への税金は他国に比較して、それほど低くは無いようです。
さて先週から下院の議長が変わりました。新左翼の30代の男性です。議員が騒いで、議長の言うことを聞かないので、何度も警告の発言をしますが、議員は聞きません。野党側は役に立たない議長を罷免しようかという声も出ています。

それから野党(右翼)の結束が問題になっています。9月の新憲法是非の投票で反対派が圧倒したわけですが、その右翼の勝利を使って野党側が反政府として統一するのが普通ですが、チリの場合は新左翼・旧左翼が争っているように、右翼側も新右翼・旧右翼が仲良くできません。つまり左右の争いが盛り上がらないわけです。

(経済)

1)経済成長率
 今年の第3四半期は0.3%でした。そのため今年はそこそこの数字で終わるでしょうが、来年の予想数字はマイナス成長だろうというのは変わりません。にもかかわらず、この夏から再度、不法移民が大量にチリに入ってくるだろうと予想されています。
チリは不景気でもほかの国よりよさそうとみられているのでしょうか?
2)銅価格と為替 
先週は銅価格が大きく伸びましたが、今週は全く逆に大きく下がりました。需要供給の問題ではないのでしょうね。
1ポンド3.65ドルでした。そのため1ドル921ペソとペソの価値が大きく下がりました。
3)欧州連盟との自由貿易協定
 チリとEUの間で合意に達し、来週調印式がブリュッセルで行われるとか。昨年197億ドルの貿易がありました。関税が無くなれば、その額はさらに増加するでしょうね。

(一般)

1)暴力事件
先週と同じです。高校生のデモでまた火炎爆弾が投げられました。それを投げる白色のオーバーオールを着た学生が、高校の敷地に逃げ込むと警察は中に入りません。警察が犯人を追って高校の敷地に入るのを認めるようにすべきという声が出ています。
学校関係者(教師や職員)が、学生を怖がっているという話もあります。そんなことはやめなさいと言うと攻撃されるのかな?
マプチェの放火事件も継続。同じことが起こっています。そこでテロリスト法案が問題になっています。検察から現行法では取り締まりがうまくいかないという声が出ています。それならテロリスト法案を改正する必要があります。もっとも新左翼の中にはテロリストという名前で反政府グループを抑えるのはどうかという声もあります。
2)COP27
すっきりと結論・合意事項が出ないようですが、各国の気候変動対策のランキングが発表されました、チリは6位で、昨年9位よりランクアップ。
日本は50位、中国は51位とか。チリってそんなに頑張っているのですか。
3)コロナ問題
 今週の新規感染者数は最近としてはやや少ない一日平均6000名ほどでした。陽性率も少し下がって15%くらい。すごく良くなったわけではありませんが、それほど悪くはなっていないという感じでしょう。ピニェラ政権の時は外出禁止など多くの手が打たれましたが、ボリッチ政権では自由に放置されています。大観衆のコンサートをマスクもしないで実施。それでも患者が増えないのは何故でしょう?ワクチンさえ打てばもうあとは何もしなくても良いのですか?
4)国内線の飛行機
10月の国内線の利用客はコロナ問題前のレベルに戻りました。正常化が進んだのですね。
今週、ラタム航空の飛行機がリマで事故を起こし、消防の人に死亡が出ました。このためチリ・ペルー間の便が一時、全部止まり、両国の空港で多くの乗客が困っていました。
5)ビジャリカ火山
南米で最も活発な火山と言われますが、最近また活動が目立ち、警戒警報が出ました。その近くの町プコンは観光地として有名ですが、観光客の数は減っていません。数年前に大爆発したとき付近の地区は火山灰で覆われました。今回はどうかな?

(スポーツ)

1)サッカー
ワールドカップが始まりました。チリは参加していないのに、国内は盛り上がっています。同じ画面ですが、その試合を複数のチャンネルが放送しています。それほど値打ちがあるとは思えませんが。

以上

チリの風 その1017  2022年11月7日ー13日

先週と違って曇り空の日が続きました。そして水・土と二日も雨になったサンティアゴです。
日チ友好125周年記念行事があり、渋谷大使の講演を聞きに行きました。その講義は 大学の講堂とオンラインの2種類の方法で多くの人と繋がっていました。
それから5回目のワクチン注射をしました。これで1年間は大丈夫とか。私の携帯電話に移動パスが入っていますが、その中にちゃんと5回目のワクチンも記録されています。
司法書士・損害保険・健康保険の3か所にペンディング事項があったので、それらの事務所を訪問しなんとか 解決しました。良かった。
さてとうとう10キロを・・・。完走ではなく完歩でしたが、いつものマラソンコースを歩きました。正常化までもう少しの頑張りです。
雨が降ったので、土曜日のサッカー教室は中止になりました、残念でした。
日曜日のマラソン練習は3名で実施しました。後ろにみえる山は雪で真っ白でした。そして練習が終わってから全員でコーヒーを飲みながら、会話を楽しみました。
こうして毎日、することがあって人生を楽しんでいます。
台所の鳥は、私が毎日三度そこに餌を置くと、すぐに飛んできて食べています。

(政治)

1)ボリッチ動向
この木・金曜日に問題のアラウカニア州を訪問しました。初訪問です。その前に国会で南部を特別州に認定し軍隊の駐屯を認めました。
さて彼の現場での行動に関し、野党側から大統領は州内の移動をヘリコプターで実施しているが、実情を知るためには車を使うべきだろうという声が出ました。もっとも一部から車でなく自転車で移動すべきだというコメントも出ています。
ボリッチは現場で、この州の平安のため委員会を設置したいと発表しました。そして今まで否定していましたが、この地区にはテロ組織が存在するとしました。この発言の後、同州の州知事は、それなら頻繁に国会で特別法案を論議するのではなく、問題解決まで、特別法案を継続させるべきではないかとしました。同州の市民から政権ができて8か月後の初訪問だが、それなりに意味があった。問題はそれらの問題点をどう解決していくか、その計画を明らかにしてほしいとしています。

さてボリッチは国民の安全が最重要項目と発表しました。口で言うのは簡単ですが、それをどう実施していくのかが重要です。これに関し内務大臣が、来週、議員と論議したいとし、その中に野党議員も招待しました。野党は政府案の弱点を探すのが得意ですからその集まりに野党を入れると政府案より精度が上がりますね。さぁどうなるかな、
3年前の社会騒乱時、警察を毛嫌いしていたボリッチも今では警察の手を握り、今週、警察に大量のパトカーを与えました。

ところで5年前の前回の大統領選挙で新左翼から出馬したサンチェスがボリッチに拾われてメキシコ大使になりました。彼女もバチェレットのような女性大統領になる可能性があったのですが・・・。ボリッチはその時、彼女の助手のように支援活動をしていました。野党側から、ボリッチはいつものように自分の知り合い・友だちを政府関係の仕事に優遇すると批判されています。

新左翼の議員がピニェラはひどかったが、ボリッチはさらに悪いとコメントしています。もう味方からもはっきり批判されています。

さて彼の父親が不正に土地住居を購入したのではというニュースが出ました。ユーゴスラビアから移民してきたおじいちゃんがパタゴニアにチリ政府から土地を寄与され、それをもとに父親がどこかの市長とネゴをしたのでしょうか。

何をしてもうまくいかない彼の日常を見ると、このままでは4年間の任期は正常に終えないでしょうね。

2)下院議長の選挙
今週、選挙が行われ、政府の推した新左翼のミロセビッチ議員が選ばれました。つまり政府は面目を保ちました。投票結果は77対73票でしたが、予想と逆転したのは野党側に入っていた人民党の議員の一部が与党側に変更したからです。人民党はそれらの議員を党の指示を守らないとして処罰しました。先の日曜日に第5州の大統領別荘で政府関係者が集まって作戦を練ったとき、野党側の議員で票を取れるのはいないかと一人一人検討したわけです。そして数人が選ばれ、それらとコンタクトし、投票先を変えさせたのでしょうね。
新議長のミロセビッチは、すべての野党(右翼)議員が市民へのご機嫌伺い主義とは思えない。ちゃんと話し合いをして正常な議会の運営を進めたいと発表しました。
3)COP27 
世界大会が続いています。チリは石炭を使った発電が37%と最も大きな量を占めています。全国に28か所の発電所があります。
2040年までにそれをすべて封鎖するとなっています。それを少し数字を変えて大会で発表してはどうでしょう。

(経済)

1)銅価格と為替
1ポンド当たり3・83ドルと最近珍しい高値になりました。このためペソが強くなり893ペソ。
来年のチリの経済成長率はマイナスと厳しい予想がされていますが、銅価格がこのレベルを維持すればプラス成長になるはずです。
2)物価上昇率IPC
 10月は予想より低く0.5%の上昇でした。過去12か月では12.8%と毎月その数字も下がっています。落ち着いてきたのでしょうか。
3)新車の販売
今、チリではSUVタイプの車が一番売れています。そのタイプの車の今年の販売ですが、上位10車のうち7つが中国製でした。圧倒的ですね。

(一般)

1)暴力デモ
 大統領が訪問すると決まってから、アラウカニア州や隣のビオビオ州で、放火などの事件が相次ぎました。木材会社の車や重機に火をつけるだけでなく、教会や学校にも放火が続いています。マプチェの過激グループは私たちの領土へ勝手に入ってもらっては困るとコメントしました。以前から書いていますが、チリがスペインから独立したとき、そこはチリ領土ではありませんでした。

 それからいつものように高校生のデモが起き、50発の火炎爆弾が投げられました。高校の校舎の中でもそういう動きが撮影されました。事態を改善しようとする動きがまったくないですね。なぜルールを作ってそれをもとに結論を出すということができないのでしょうか。
2)コロナ問題
先週まで、毎週、新規患者の数が大きくなっていましたが、今週は最大が7791人と先週より少し下がりました。陽性率も17%と少し下がっています。この傾向が続くかな?
この週末に春祭り音楽祭が都内の公園で実施され、3日間、連日35000人の観衆で埋まりました。こうした演奏会が毎週のように行われていますが、コロナ感染の源になっているのでしょうね。違うかな?


以上

チリの風 その1016 2022年10月31日ー11月6日

先週、最高最低の気温差が20度と書きましたが、今週はそれが25度になったサンティアゴです。
月曜日に最高気温が30度、最低気温は5度を記録しました。夏と冬が一日にあるような??
体調は少しづつ良くなってきたので、仲間と近くのカランの丘歩きをしました。そのうちまた10キロを走れるようになりたいです。
私のマンションの壁に問題が見つかったので改修工事をしました。排水管の故障で、私個人の問題でなく建物の問題だったので、ビルの管理者の責任でした。技術者が来て働き三日で工事は終わりました。
この部屋は売りに出ていますが、今月半ばに、何組かの家族が見学に来るとか。売れるかな。
日曜日のマラソン練習は3人で実施。私はコースを早歩きしました。こうして毎日何かすることがあるというのがうれしいです。

台所の花壇に生まれた2匹の小鳥は外へ飛び立ちましたが、親子4匹で時々戻ってきます。それは毎日、私が水と餌を用意するからです。

1)ボリッチ動向

今週の話題は年金制度の改善です。
現在年金を受け取っている人の72%は最低賃金より低い額とか。同じ金額をためても女性は男性よりもらう年金が少なくなります。それは女性の方が平均寿命が長いからで性による差別をしているのではありません。科学的根拠からです。
今回ボリッチが提案したのは、現行の年金積立(給料の10.5%を自動的に引き抜く)の額を6%上げることです。これで貰える年金が大きく増えます。それから、その増加分は現行のAFP民間年金運用会社に渡さず、政府の機関に入ります。一部は個人、残りは共有年金に貯められます。それに関し、新聞に各自が預けた金がどこに行くかわからないのでは市民の同意を得られないと書かれています。
もちろんその他にもいろんなコメントが出ています。AFP会社連合は不公平な改定を認められないとしました。政府機関の手に渡ると、政府はそのお金を好きなように使えるが、それは認められるのかとする声もあります。政府の運営ではコストが安いと言われますが、それは正しいのか間違っているのかわかりません。さらに基礎年金保障がありますが、チリの住民権のある人は年金をもらえるわけで、これを求めてまた不法移民が入ってくると言われます。その人たちはほぼ全員が正規の職に就かず、不法・不正の仕事をしますが、それをいつか正式移民の手続きをして年金を受け取るようになるのを狙うわけです。
さて新左翼の過激派は、3年前から政府に要求していたように民間のAFPを閉めて、全部国の管轄にしようとしています。
国会でどう結論が出されるかわかりません。同じような政府案はバチェレット、ピニェラの時にも出されましたが、成立しませんでした。
さぁ今回はどうなるかな?
しかし現行のチリ年金システムは世界で高い評価を受けています。上位は欧州の国ですが チリは世界の16位、その下の17位はドイツ、日本は35位です。
チリ方式は各自が貯めた基金を運用して年金のベースにするため若者が増えても減っても全く影響しません。日本と違いますね。私はこのシステムが始まった最初の月から利用しています。ピノチェットの仕事ですが、私は好きです。

もっとも今週のボリッチ動向で一番目立ったのは、政治関連ではなく、彼が自転車通勤を始めたことです。彼の自宅からモネダ宮殿まで2.7キロですが、自転車でのんびり通勤を始めました。彼の前後に警察の護衛がついているのでしょうが、楽しそうに通勤しています。新聞の風刺漫画にガソリン代が高くなったので車をやめて自転車にしたのだと描かれました???

1年以上前の話ですが、彼が次の大統領選挙に出馬されますか?と聞かれたとき、私は経験がないから参加するつもりはありませんと答えました。その半年後に、私は今までの経験を生かして大統領になりチリをよくしたいと発言を変えました。それを聞かれると、自分を支える新左翼の力を自分の経験ということができるはずだと軽く逃げました。その新左翼が現在、政治混乱の原因になっているわけですね。
ただ彼は当初の方針を変えるつもりはないと言い張っています。
2)下院議会議長
共産党のカリオラが今月からその職に就くはずでしたが、今週、共産党はそれを辞退すると発表しました。3月に現行議長が選ばれ、彼の次ぎに共産党議員が議長に選ばれると合意に達していたのですが、この8か月の間に各党と共産党との関係が悪化し、他党の援護が薄れていったわけです。
さて14日の選挙でだれが議長にえらばれるのでしょう。予想では野党(右翼)が与党側のDCなどと手を組んで過半数の78票を確保したとされています。つまり、毎週書かれているように政府側の分裂が目立っているということです。これに対しボリッチは与党側の団結を訴えています。9月の新憲法投票で惨敗を喫しましたが、またこの議長選挙で側近の共産党議員が議長になれず野党側が指導権を握れば恥の上塗りですね。
この日曜日、第5州の大統領別荘に各グループ代表と政府関係者が集まりこの議長選にどう対応するか話し合ったとか。新左翼の代表を与党側は推すとしたいようです。

ボリッチとそのグループは自分たちはチリを変える、古い頭の人間が民主化以降チリの政治を統治してきたが、それを新しい考えで大きく変えるのだとしたわけです。それが全く機能せず、市民の離脱は明白です。犯罪、特に麻薬組織の急増など、新憲法とは全く関係なく現行憲法で対処できるわけですが、全くしませんでした。毎月発表されるいろんな機関の市民調査で彼を支持するは急下落です。4年の任期を完了できないだろうとするコメントが出るのも無理はないと言えます。


ところで、ここで少しチリの議会の歴史をまとめてみます。
1988年に軍事政権継続可否の国民投票が行われ、僅差で民主化が決定しました。そして最初の選挙で中道左派のグループが大統領を出しました。初代・2代目はキリスト教民主党DCが続き、その後、社会党PSとそこから分かれた民主のための党PPDが2代の大統領を出しました。そのころ、共産党新左翼はその中道左派グループの近くにいましたが、メンバーに入ってはいません。その後、ピニェラが初めて右翼として大統領につきました。
さて今回の選挙で、その中道左派グループが協力して候補を選ぶことをせず、各党が勝手な動きをしたので、共産党新左翼の候補に勝てませんでした。そしてその二人の争いで新左翼のボリッチが勝ったわけです。3月の政権開始の時には閣僚や政府高官は多くが共産党新左翼でした。ところが風が代わり、その二つだけでは上手くいかないことが分かり、中道左派グループから人材を選んでいます。先の内務大臣交代がそのケースです。ボリッチは与党内の合意を図る・進めるとしますが、自分の方針がはっきりしていませんからね。
共産党新左翼政権運営の経験がないので、口先だけで相手を説得する力がありません。あと3年ボリッチがどの選択をするかははっきりしていますね。

(経済)

1)チリ経済の落ち込み
2021年2月以降初めて、10月はマイナス成長になりました。もう経済停滞がはっきりしてきました。
 新車の販売が18か月ぶりに対前年で数字が下がりました。
2)銅価格と為替
銅の価格は9月13日以降で最高の3.59ドルに上がりました。するとペソが対ドルで強くなり1ドル948ペソです。
 銅の価格が上がるのはうれしいですが、どうしてこの状況で上がるのでしょう。不思議です。
3)ジニ係数
 貧富の差を図るのにこの指数が使われますが、チリの基本指数(所得ベース)は他国とほとんど同じとされています。ところが政府が関連するとそれが急に悪くなります。なにそれ?と思いますが、北欧などでは、高所得層には高い所得税をかけるので上下の差が縮みます。ところがチリの場合は、それが少ないので所得格差が開いたままとか。高所得層への増税は長い間、論議されていますが、一向に実現しません。ここでボリッチは思い切った方針を立ててほしいもの。そうすると少しは人気が戻りますよ。高所得層への税金が2倍になったら、ボリッチの人気も2倍になるかも。甘いか?

(一般)

1)高校デモ
 100年を超す歴史を持つ名門高校INBA高校の前でまた暴力デモ。6名が逮捕されました。そのうち2名は同校の学生、その他は一般人でした。新聞の社説にどうしてちゃんとした処置を取らないのかと書かれました。今年に入って587件の暴力事件が起こっているが3.2%のケースだけ関係者が処罰がされたらしい。つまりほぼ全員に処罰はされていないわけです。

マプチェ問題も同じで倉庫やトラック・重機に放火されました。しかし同地区で森林業などの会社を運営するのは至難の業です。
いつまで経営を続けられるか毎日苦悩ですね。経営者だけではなく従業員もそうですが。
2)山火事
また山火事の季節です。既に39か所で山火事が起こっています。
関係ありませんが、大気汚染の問題で2酸化炭素の量がチリは世界平均を超え、ラテンアメリカで最悪とか。悲しい事実です。
COP27世界大会がエジプトで始まりました。ニュースに出ますが、チリではそれに関し以前の熱気はなくなりました。
3)テレトン
障害児を援助する機関の費用を集める運動です。年に一度、この時期に行われます。行事の最後は国立競技場で行われます。6万人の観衆の前で国内外のアーティストがショーをするのですが、朝の2時まで続いたらしい。そして集めた金額は目標を超えて373億ペソでした。もっともその多額の基金はテレトン運営者の関係者の懐に多くいくようですが。
4)コロナ問題
今週で一番新規患者数が多かったのは土曜日で8745人。もう毎週その数を増やしています。さらに悪いのは陽性率でその日19%を記録しています。つまりどちらもこの数週間で最悪の数字です。政府も市民も反応していませんが。
5回目のワクチン接種が始まっています。今月は70歳以上の人が摂取する権利があるとか。

(スポーツ)

1)サッカー
リーグ戦が終了しました。人気3チームの結果はコロコロは引き分け、カトリカは勝利、チリ大学は敗戦でした。その結果、優勝はコロコロ、カトリカは5位、チリ大学は13位(全部で18チームです)
そしてコロコロは国際カップのリべルタドール杯、カトリカは南米カップに参加します。

もう一つのチリカップ戦は決勝をウニオン・エスパニョウールとマガジャネスが争います。
人気3チームは早々の敗退でした。


以上

チリの風 その1015 2022年10月24日ー30日

最高最低気温の差が20度くらいの日が続くサンティアゴです。最高27度・最低7度とかです。ところが今日の日曜日は曇りで、いつものように朝に早足散歩をしたら霧雨でした。
友人たちを招待して昼食会をしました。嫁さんの作った料理は皆に喜ばれました。その後、日本語とスペイン語が混じった会話を楽しみました。それから次の旅行の航空券を買いました。11月からまた旅を始めます。
先日の怪我がまだ治らないのでマラソン・登山のスポーツはできませんが、軽くトレーニングを始めています。その歩き練習の時ごみ収集車と出会ったら、おっさんから、「どうしたの今日は走っていないね」と言われました。同じ地区に35年も住んでいると顔がよく知られています。
この週末から来週、月曜・火曜日と4連休になります。また多くの車が郊外に出ていきますね。今日までで30万台が出たとか。

 台所の外の花壇で生まれた2羽の小鳥は日々大きくなって、花壇の上まで飛び始め,金曜日の夜、どこかへ飛び立ちました。
 生まれてわずか10日で飛び立つのですね。

(政治)

1)ボリス動向
 10月31日は福音派の祝日です。ボリッチはキリスト教の旧教カトリックでなく新教福音派を金曜日モネダ宮殿に招待してお祝いしました。
 
 さて内政だけでなく外交部門もパッとしません。メキシコ・コロンビアなどまだ大使が決定していない国をどうするのか、外務大臣とのネゴがうまくいきません。彼の仕事が遅いのか、外務大臣が省内をまとめられないのかわかりませんが。
 経団連ソフォファの会合に参加し演説しました。「現在のチリは厳しい状況にある。もちろんそれはチリだけでなく世界中同じだ。そう考えればチリには未来がある。談合問題で訴えられた鶏肉・薬局・トイレットペーパーなどの問題産業はあるが、全般にあなた方は社会に責任をもって対処されている。素晴らしい、ありがとうと言いたい。その努力を一層高めてほしい」これってほめているのですか、ばかにしているのですか?
 この他、サイバーアタックに対応する防衛組織の発足を祝いました。
3)TPP11
 環太平洋パートナーシップ条約です。最初はTPP12でしたが、トランプがそこからアメリカを外したのでTPP11になりました。
 11か国の中に日本とチリが入っていました。11か国でどう運営していくかの会議がチリであり、バチェレット大統領のころですが、何とか継続できることになりました。その次のピニェラ政権の時も問題なかったのですが、ボリッチになって共産党新左翼が反対になり政府を反条約に動かそうとしています。憲法裁判所にその件が持ち込まれましたが、大きな動きはなさそうです。 
 駐チリ渋谷大使からチリがこの条約から抜けると日本企業の中にチリへの新規投資をあきらめるところが出るとするコメントが出ています。
 確かにそうでしょうね。
 犯罪抑制(市民の安全確保)と並んで経済促進が望まれていますが、その逆の方向に行くとはボリッチ政権は不可解です。

 ボリッチ政権の与党は上記の2グループのほかに以前の中道左派グループがあります。そこがチリの民主化以来、多くの大統領を出してきたのですが、そこも分裂気味です。その一つキリスト教民主党DCの有名代議士リンコンとウォーカー、それに首都圏と第10州の州知事合計4名が離党宣言しました。新憲法問題で賛成・反対に分かれたことなどから内部が噛み合えないのでしょうね。彼らは新憲法に反対したのは右翼だけではないとしています。そして中道左派グループをリードする新党を結成すようです。
 先週書いた下院の議長に関して共産党は最も有能なわが党の候補者をDCは応援しないが許せないと噛みつきました。
ボリッチが所属していた新左翼は行く道を失ったとされ、中道左派グループとも共産党ともうまくいっていません。
 それなら以前、チリの風で書いたようにボリッチは私は国民の皆さんのために働きますと、共産党新左翼と距離を置けばよいのでは。

(経済)

1)経済成長率
 IMFの予想ではチリの成長率は今年は2.1%、そして来年は…なんとマイナス1.3%だとか。そんなにひどいの?
2)銅価格と為替 
1ポンド3.47ドルと少し上がりました。そのため為替は1ドル945ペソとペソ高になっています。
 銅価格の変化とコストの関連で、コデルコ銅公社の現在までの国庫納入金が26億ドルと昨年同時期の52億ドルの半分になりました。大蔵大臣は渋い顔でしょうね。
 コデルコ社長のパチェコの記事が出ました。世界で2500万トンの銅の生産の中でコデルコは150万トンとそれほどのシェアーは持っていないと言われると、「しかし一社として世界トップクラスにあるわけで、世界そしてチリへの貢献は素晴らしいものがある。それをこれからも維持して行くのが私たちの使命だ」としました。
3)家屋の販売
この第3四半期に家屋の販売が前年対比38%も下がりました。もちろんこれは家屋の建設に影響し、大手の建設業者が倒産とか。なんでも十数社が破産もしくは破産寸前だとかで、370の建設が終了できないとみられています。
政府はこの状況をよくするため、援護政策を検討中です。
4)価格の上昇
 消費者物価の上昇の一つガソリン代ですが、93オクタンの場合今年になって320ペソ上がり、全国平均で1300ペソ以上になっています。
 もちろん各ドライバーに直接影響しますね。今週、このガソリン価格のほかに、ドライバーに影響する高速道路の支払いに抗議するデモがあり、車・トラックが一車線を封鎖したので渋滞が起きました。
 5)失業率はあまり変わりませんが、この4半期は8%と前期よりやや上昇。厳しいです。なんでも9月に18000人が失業したとか。
 昨年の今頃はコロナが収まってきたと10万人くらいが新しい仕事に就いたのですが。

(一般)

1)コロナ問題
 先週6000人まで新規患者が上がりましたが、今週は木曜日7366人。この2週間で患者数は62%上昇しました。もちろんいつも言っているようにPCR検査数が増えれば陽性者数は増えます。ただ少し前には陽性率が数%だったのに木曜日は17%でした。政府は全く対応しようとしません。首都圏だけではもう20%寸前です。つまりその辺を歩いている人の5人に一人はコロナにかかっているということですね。テレビの番組で人が混雑するところではマスクの着用を義務付けるのは必要ではないかと専門家に質問する場面もありました。
日本もかなり患者数が増えているようですから、また出入国にブレーキがかかりそうですね。
2)犯罪問題
 この6か月で、チリの家族の32%が犯罪に関わらされたとなっています。商店では3分の2が被害にあったようです。したがって市民がこの問題を重要視するには当然ですね。ボリッチにとって最重要事項になります。
 ボリッチは大統領に就任するときに犯罪の増加を抑え市民の安全を高めたいとしましたが、彼が就任した3月以降、犯罪数は減少ではなく増加の度合いを高めています。まったく手を打っていないか、間違った手を打っているかのどちらかです。
 さて殺人事件に関しては北部に問題は集中し、最北部のアリカでは昨年対比46%アップになっています。これは同地区に不法移民グループが根を下ろし、活動を高めているからでしょう。
 逮捕された犯人は、もちろんチリ人が90%と大半ですが、外人ではベネスエラ人が1位で26人、2位はコロンビア人で25人でした。
 北部で話題になっていた銅の盗難事件で、今週、犯人グループが逮捕されました。
 - 国外追放
 今年、先月までで国外追放は898名。一番多かったのはボリビア人で666名、次いでコロンビア人89名でした。
 - マプチェ問題
 南部の特別条約を国会でまた承認しました。それから材木運送のトラックが襲われ全焼しました。まったく変わりませんね。
 - 高校生デモ
 この件で元大学教授と話をしました。彼は国や警察・学校を批判する声が聴かれるが、問題の根源は家庭だとしました。一流高校の生徒が白いオーバーホールを着て道路に出て警官にモロトフ爆弾を投げつけるが、誰がその服を買うのか?母親だ。つまり両親は自分の子供がそうした犯罪行為にかかわっているのを知っている。父親は民間か公務員の幹部だろう。その両親は責任を取るべきだ。
 どうでしょう?
 私がその学校の校長なら、問題学生とその両親に連絡を取り、犯罪行為を続けるなら放校処分にする。行為をやめるなら処分はしないとします。


以上

チリの風 その1014 2022年10月17日ー23日

穏やかな毎日が続くサンティアゴです。花粉症になる木の花があちこちに咲いています。私には困ったことです。
さて今週の話題は2つあります。まず日本人学校の第40回運動会。子供の元気な様子を見るのはたまらない喜びです。全力で走ってもしばらくすると子供にはまたエネルギーが戻ってきます。大人ではそうは行きません。私の二人の子供が昔はそこで走っていたのを思い出します。
それからクラッシクのコンサートに。チャイコフスキー白鳥の湖という曲を踊るバレーでしたが立派でした。
コロナの前は毎月のようにコンサートに行っていたのですが、もう3年ぶりになりました。
日曜日のマラソン練習は仲間の後を追いました。
2羽の小鳥が台所の花壇で生まれました。その両親が小鳥を育てています。可愛いです。毎日、餌と水を供給しています。

(政治)

1)ボリッチ動向
ボリッチを支持するは27%、支持しないは72%と市民が彼を見放しているのは明白です。その理由は簡単に説明できます。

 10月18日に社会暴動3回目の記念日が来ました。そして予想されていたのと同じくまた暴力デモが起きました。
 ボリッチは3年前の騒乱に関し、モネダ宮殿で演説しました。彼の考え方は暴動デモを評価するつもりはないが、長い間チリに社会格差問題があるのに、それを時の政権が解決しようとしていなかったことがきっかけになっているとして、暴動デモのすぐ後の集会で100万人を超える人が集まったのはその証拠としました。
さて首都圏レコレタ区長のハドゥエは政府を鋭く糾弾し、3年前にピニェラに要求した事項を全く取り上げていないとしました。彼は先の大統領選挙の候補者になった共産党員です。
さらに新左翼の議員のセレスはボリッチはピニェラよりレベルが低いと糾弾しました。彼女は各自が積み立てている厚生年金の基本金を一部引き出すのを認める法案を作って成立させました。私は皆さんのために働きますとコメント。もらえる年金は下がりますけどね。
つまり共産党新左翼はボリッチを糾弾するわけです。ピニェラ政権で働いたデルガードがボリッチは議員の時、警察援助の法案に反対票を投じているから今回、警察と手を組んで社会の安定を図ろうというのは信用しがたいとしています。右からも左からも嫌われています。

ボリッチは木曜日に零細企業連合の総会に出席しましたが、そのリーダーが出席者に「私たちには犯罪防止と新憲法とどちらが重要か?」と聞きました。全員が犯罪防止と答えると、その人たちは席を立ってくださいとすると全員が総立ちで拍手。そんなところでボリッチが話を始めると雰囲気が全く合わず、犯罪防止をなぜやらないんだとされます。
ボリッチも分かっていますと回答しましたが、出席者の一人がボリッチにかみつきクレームを言うと、私の発言を邪魔しないでと何度も何度もお願いしました。お互いに信頼が無いわけですね。そういうところにどうしてボリッチは行ったの?新左翼共産党が私たちの応援グループだとして連れて行ったのでしょうね。
大統領府のボリッチ動向の記録では地下鉄7号線の開所式に参加とか出てきますが、この零細企業グループの集会参加はありません???

今年の3回記念日に起きた事件に関し、政府は今年も問題が起きたことは認めましたが、昨年よりその傾向は軽かったと逃げました。150件のデモがあり、195人が逮捕されました。
商店略奪事件などは3年前と同じです。新左翼などはそれで逮捕された犯人を政治犯として全員釈放するよう要求していました。
 じゃ、ボリッチは今回の犯人を政府として裁判所に訴えることはしないのでしょうか。
 テレビのニュースに店から商品を持って出てくる犯人が多く映っています。もちろん近所の人が見ればすぐに誰かわかるでしょう。
 逮捕されてもすぐに釈放されるのかな?
 先週話題になった経済大臣がモネダ宮殿で警察トップと2時間の面談をして、社会騒乱の鎮静をどう図るか話をしたとか。
 彼は3年前は警官を調べて暴行罪で起訴するよう言っていたのですが、今はその頃のピニェラと同じようにコメントしています。
 右も左も同じですね。
 新聞の社説に3年前に暴動を呼び起こすことになったデモを繰り返すのは国のためにならないとされました。

これだけ書くともうボリッチに将来はないということになります。じゃ思い切って勝負をかけてみればどうでしょう。私の考えは3年前の社会騒乱をベースにして自己批判し、新左翼共産党の陰で行動するのではなく、彼らとは一線を置いて市民の皆さんのために働きたいと言う演説を切々と訴えれば、市民の心に響き、支持率が上昇し、それがベースになって新左翼共産党も彼を援護するようになる・・・甘いかな?
2)TPP11
 議会で承認された条約ですが、それを憲法裁判所に持ち込みこの条約を違法とさせる動きが出ています。与党の議員グループですね。
 彼らが次の選挙で全員落選してほしいです。
3)下院議長の交代
 中道左派グル-プの中心PPD党のソトが現在の下院議長をしていますが、来月に辞任します。彼の後任に共産党
 カリオラ議員が就任するはずでしたが、もめています。彼女は共産党員として初めての議長になるはずでした。共産党は彼女が議長にならなか
 ったら議会の混乱が極限まで行くだろうと脅しのコメントをしています。

(経済)

1)経済成長率
 今年のチリのGDPは2.2%と言われますが、それはラテンアメリカ平均の3.2%より低い数字です。また来年の予想は0.9%とラ米で最悪の予想とか。経済低迷が目立ちます。それはボリッチが大統領だからですか?
 近い将来にチリは厳しい経済危機に立ち向かうとされています。経済停滞、高インフレ、失業率の増加と問題が並びます。
 ただS&P社の発表ではチリの経済状況は現行のAランクが維持されるとしました。まだ下方低迷とはなっていない由。

2)銅価格と為替
 今週の銅価格は1ポンド3.42ドルと先週よりも下がりました。チリには厳しいニュースです。そこで為替も1ドル972ペソとペソ安になりました。

(一般)

1)コロナ問題
 最近新規患者数が増えています。水曜日は5611人でした。さらに木曜日は上がって6201人。これは9月2日以来の高い数字です。新規患者の陽性率も毎日のように14%まで上がっています。ピニェラの時、厚生大臣をしていたマニャリッチがこれだけ患者数が増えているのだから地下鉄やバスの乗客はマスクをするべきではないかとコメント。彼がコロナの責任者の時は野党側から彼は無策と厳しい批判が出ていました。
 一番きついコメントをしていたのは医師協会の会長ですが、彼女はボリッチの内務大臣になったときコロナ対策を全面的に白紙にしました。
 外出禁止とかマスク着用とか、手を打っても新規患者が減らなかった時期が続きましたが、ボリッチになってから何もしなくても減少してきたのは確かです。じゃどうして今また増えてきたのかな?土曜日にコンサートに行ったとき、満員の観衆でしたが、マスクをしていたのは私たち夫婦だけで、ほかにはほとんどいませんでした??
2)メトロ
 サンティアゴの地下鉄が営業を止めるという事件が最近よくありますが、デモで止まった他に、今週1号線が半分くらい止まりました。
 誰かが線路に降りて歩いていたらしい。そんな事故(犯罪?)はいつでもどこでも起こりそうですね。そんな事は3年前までほとんどなかったのですが。
 事件としては爆弾騒ぎがあります。数年前にあちこちに爆弾を置いて負傷者を出した犯人が今週45年の刑になりました。その裁判の翌日同じようにラス・コンデスのビルに袋が置かれていました。それが爆弾でした。それは普通グループではなく個人の犯罪です。
 昔のニュースを聞いて、自分もやってみようと思ったのでしょうね。
 マプチェ問題もいつものように覆面グル-プが家屋の放火事件を起こしています。
 

(スポーツ)

1)サッカー
 リーグ戦の取り残されていた過去の試合が実施され、カトリカが勝ちました。
 さて今週の結果はコロコロは勝利、チリ大学は引き分け。カトリカは敗戦でした。
 コロコロが勝って今シーズンの優勝が決定。33回目です。サンティアゴのイタリア広場はファンが埋め尽くしました。先日の3回目の騒乱とは関係ありません。


以上