チリの風 その997 2022年6月20日―26日

この木曜日、かなりの雨が降ったサンティアゴです。雨の中、傘をさして買い物に出ました。別に雨がやんでからでも良かったのですがたまには雨の中を歩いてみたかったからです。来週は3日も雨が降る予想です。さて冬至の日が過ぎました。これから毎日少しづつ日が伸びますね。
来週の月曜日がカトリックの祝日になったので、3連休として首都圏からこの週末、郊外に多くの車・人が出てゆきました。

金曜日、久しぶりに大使館に行きました。選挙の投票です。しかし日本は変わっていますね。ネットを使えば瞬時に投票が出来るのに投票用紙を郵送するのですから。そのうち世界で日本だけ取り残されるのでは??
山歩きは、仲間と一緒に石塔へ。近くの丘に上がってから下に降りる冒険コースでした。雨の後だったので、サンティアゴの街が遠くまでくっきり見えました。
ラソンもいつものように週日一人で10キロ、日曜日は仲間と走りました。
このほかにも毎日のように、用事・仕事があって面白かったです。
いつものように幸せな毎日でした。

(政治)

1)ボリッチ動向
コデルコのスト突入と終焉
 コデルコの労働者がストに入ったので、毎日、多くの金が失われると言われました。なんでも一日当たり何百万ドルになるだろうとか。そんなに?
精錬所の労働者グループの代表は共産党員でした。共産党は現政権で与党側ですが、労働者のリーダーになるのは得意ですからね。
今まで、こういうストは数週間、ひどい時は何か月も続きましたが、今回は何と1週間にもならず終焉。どういう合意事項があったのか良く報道されませんが、全く不思議な終焉方法でした。
新聞の社説にこれに関してベンタナス精錬所完全封鎖を実施するための、事前の政府の準備が不自由分だったことが明白だと厳しいコメントが書かれました。
その精錬所は、独立した1部門ですが、採算が悪く、毎年赤字でした。このため精錬所を閉めるアイデアが2011、2015,2019年に出ています。
つまり今回は4回目です。それだけ効率の悪い、そして大気汚染のひどい工場を維持していく必要はないですね。
しかしストに入った労働者の
声はコデルコ幹部やボリッチ大統領より大きかったわけです。どうしてストが解決したか、その内、秘密が漏れてくるでしょう。

それから労働時間を週40時間とすることを政府案にして、国会に送ります。
新税制は7月1日に政府案が発表されますが、それに先立ってマルセル大蔵大臣は過去の大蔵大臣と会談する予定とか。プロの意見を聞くのは大事ですよね。
社員で所得税を払っている人は過去16年で16%から25%に上がっています。
マプチェに関しては、一向に状況は良くなりませんが、また国会に軍隊駐屯案の承認を要求しました。素人の私には何故その期間が15日で、頻繁に延長するのか分かりません。少なくとも3か月にすれば、6回分になりますからね。最右翼のUDI党の議員が、「私たちは政府案を承認するからボリッチは、仲間の人間の説得を図る必要がありますね」と馬鹿にしていました。
世論調査でボリッチを支持するは25%、不支持は44%でした。もういつもの数字ですね。

2)新憲法委員会
与党グループのキリスト教民主党DCの元党首9名が新憲法の是非について各自の自由にさせたいと発表し揉めています。普通、党として賛成反対を明白にするものですが、これに関して党が二つに分かれているわけです。党員の一部が新憲法反対のグループを作って行動し始めました。
そうそう委員会の最終日に元大統領を全員招待しましたが、4人が全員出席を拒否しました。何かその裏にあるのですね。
来週に新憲法委員会の全行程が終わります。なぜか、お疲れさまでしたと言う気にならないのですが。
鉱山関連の新憲法案に関し討論会がありましたが、委員がチリや世界の実情をちゃんと理解しているのか心配です。
世論調査では新憲法を拒否する人の方が認証すると言う人より多くなっています。9月4日の投票の結果が、どうなっても社会騒乱が起きるだろう予想されています。

(経済)

1)銅価格と為替
銅の価格はポンド当たり3.75ドルと先週から10%も下がりました。2021年12月以来の最低の数字です。
このため今週は対ドルでペソが大きく落ち込み、1週間で41ペソも下がりました。この数字は2009年以来の大きな落ち込みです。
為替は1ドル918ペソになりました。それは歴史上初めての記録です。中銀は手持ちのドルを売って、この動きを抑えるらしい。
この先どうなるのか極めて不安定な状況が続きそう。
このため輸入品が多い肉などの値段が上がり、消費者物価指数はまた大幅アップになりそうです。

(一般)

1)コロナ問題
 今週も一日の新規感染者数が1万人を超えました。ピニェラの時は厚生大臣がテレビの番組で感染者数について発表・解説をしていましたが、ボリッチになってそれは無くなりました。1万人を超えると大騒ぎをした感染者数が今ではほとんど取り上げられません。余裕が出てきたのか、5次の波でもう慣れてしまったかのようです。金曜日も土曜日も新規感染率が17%台と104日ぶりの高い数字でしたが、厚生省はそれほど驚かなったようです???

2)犯罪の増加
サンティアゴの大規模集会場で行われていた数千人が参加したパーティの途中、銃の発砲があり、4名の負傷者が出ました。その他に、街のディスコでも発砲事件があり負傷者が出ました。
なんだかアメリカ合衆国のようですね。
ボリッチが銃の所持を禁止する法案を用意していますが、それに抗議するデモがありました。国内で正規に販売された銃器が犯罪に使用されたとは報道されていない。つまり不正に入った銃器、もしくは盗難されたものが犯罪に使われているわけで、正規のルートを無視する・廃棄すると言うのは過ちとしています。どうでしょう。

(スポーツ)

1)サッカー
1部リーグと2部リーグの全チームが当たるチリカップで、コロコロとカトリカは勝って、準々決勝に進みました。私の予想ではそのどちらかが優勝するでしょう。もう一つの人気チーム、チリ大学は明日に試合が予定されています。


以上

チリの風 その996 2022年6月13日-19日

いつものように今週も楽しく忙しかったです。
山歩きは近くのサン・ラモン公園に行って、川のせせらぎを聞きながら歩きました。
それからカホン・デル・マイポ渓谷に行きました。地下鉄とバスを乗り継いで、2時間かけてその渓谷の中心にある町サン・ホセに着きました。そこから近くの丘に歩き、麓歩きを楽しみました。
土曜日のサッカー教室は大人・子ども合わせて十数名の参加者で実施。少し肌寒い日でしたが、楽しくプレーしました。体力では劣っても小さな子供が大きな兄ちゃんと同じ技術を持っているのが楽しいです。
日曜日のマラソン練習も仲間と楽しく走りました。出発の9時は気温9度ほどでしたが、走り始めるとポカポカするのが面白い。
今日は父の日だったので午後、娘がカップルでお菓子をもって挨拶に来てくれました。ありがとう。
静脈血栓症の薬の効果を調べる血液検査をするため病院に行きましたが、結果はばっちり。死ぬまで薬を飲みますが、血栓症で死ぬことはなさそうです。
こうして毎日幸せです。

来週火曜日が祝日なので、月曜日を休みにすると4連休。20万台の車が首都圏から郊外に出て行きました。
今週は晴れの日が少なくどんよりとした冬の日が続きました。
ただ予想と違って雨は降りませんでした。来週はかなりの雨の様子。予報が当たるかな?

(政治)

1)ボリッチ動向
最初の4日間、体調が悪いと自宅勤務をしました。しかし最後の金曜日は大活躍でした。先ず、モネダ宮殿で新税制について演説しましたが、この新税制は誰かを敵にすると言うのではなく、公正に全ての企業に適応するよう改正したいとしました。
その後、先週話題になった第5州の大気汚染問題で、コデルコが所有する精錬所を閉鎖すると発表しました。
「同地区にある10数か所の工場が大気汚染の源泉になっている。それは50年も前から継続している。つまりその間、時の政府は大気汚染の問題より産業開発の方が重要だと判断したわけだ。しかし私たちは違う。この問題で同地区の住民が病気になり、大気汚染指数が発表されると、近くの学校の授業が中止になると言うのは認めがたい。従ってコデルコ銅公社が所有する精錬所を段階的に封鎖することにした。しかし同工場で働く従業員を解雇するつもりはない。彼らとその家族に問題が起きないよう考慮して新政策を実施する」としました。その日の午前中に同社のダイレクター会議が行われ、「我々はチリを代表する企業だ。また世界最大級の銅会社だ。それが市民に与える問題を抑えることが出来ないのは恥になる」とし、同精錬所を永久に閉めることにしたもの。
同工場の労組は同市の道路を封鎖して、反対の動きをしています。全国的に政府案に反対するデモを実施するとしています。しかしボリッチの提案は大気汚染を防ぎ、そのために起きるだろう社員の解雇は認めないとするわけですから、立派なものです。
完全封鎖迄5年と言われますから、その間に同精錬所で行っていた作業を他の地区に移し、その新工場は汚染を出さない(もしくは少なくする)で現状より良くなるわけでしょうね。そこで仕事が見つかれば社員の問題はほとんどでないでしょう。
この問題は4年前、大問題になりましたが、ピニェラは各企業への政府の検査を入れるとあやふやな結論で終え、結局、改善はされませんでした。
そのコデルコの精錬所は最近、運転を止めていたそうですが、同地区の汚染度はあまり変化がなかったとか。つまり、コデルコ以外の15社の方が汚染指数が高いのでしょうね。彼らは汚染縮小のために何をするか発表していません。

今日の新聞に就任100日のボリッチの試行錯誤として10の疑問点が書かれました。就任する前、ピニェラ政権の反政府側だったわけで、そのころの彼の言動と現在がどう違うかの10の事項が書かれています。まず警察で、3年前の社会騒乱以来、警察はデモ隊に襲い掛かると言うコメントをしていましたが、今では警察はしっかり仕事をしていると評価を変えました。マプチェ問題で現地の安全確保に軍隊を使用していますが、それも昔は反対していました。厚生年金の引き戻しも昔は賛成でしたが、今は反対。移動パスも意味はないとしていたのに、今は4回目のワクチンを打っていないと移動パスが無効になると方向転換。その他の件も入れて、就任後は通常の人間になったようです。
2)新憲法委員会
憲法委員会の最後の日に前・元大統領を招いて記念式典を催すようですが、4人の招待大統領の中で2人は招待を断りました。いろんな考え方があるわけですね。

(経済)

1)銅価格と為替
1ポンド当たり4.13ドルとこの1月で最も低い数字になりました。それに関連して為替も大きく動き、1ドルが870ペソで終えました。しかし週日に877ペソと過去最高の数字にまでなっています。
少し前、3月30日は777ペソでしたから、わずか2か月と少しで100ペソも下がっています。
インフレがひどいと言うのは、毎週の話題になっていますが、そのため、今年は貧困層の比率が拡大しそうとか。今まで段階的に減少していたのですが。
2)最低賃金
国際機関の発表で世界の数字を比較した所、チリは下から6番目の酷いランクでした。1時間当たり3.3ドルです。ペソが弱くなるとこの数字が下がるわけです。
8月から最低賃金がかなり上がりますから、次回の発表時にはもう少し良いところになるでしょう。一番低いのはメキシコ、そしてブラジル、ロシアでした。
日本は19位で8.2ドルとか。
同じようですが、国際競争力ランクでチリは64か国中、45位になりました。一番良かったのは2005年で19位でした。世界で19位なんて素晴らしい感じですが、政治・経済の混乱から競争力が低下していったのですね。またいつか上に上れるかな?

(一般)

1)コロナ問題
 金曜日12111人の新規患者が出て、最近数か月で最大の数字。昨年、自宅待機令が出ましたが、その時の患者数を上回っています。今年はその自宅待機令は全国の
どこにも出ていません。つまりピニェラ政権の時は危機状況だったのが、現政権ではまだ許容範囲としているわけです。もちろん私は自宅待機に戻りたいとは思いませんが。毎週、患者数が増えているのは心配ですね。
猿菌と呼ばれる新しい病気にかかった最初のチリ人が見つかりました。その人は欧州から戻って来たとか。21日間、入院します。発熱、背中の痛みが目立つとか。それが新しいパンデミックになりませんよう祈ります。
コロナ問題など病気に関連して、この冬休みを大きく変更します。冬休みの開始を早め、期間を長くします。子供は大喜びと言う雰囲気はありませんが。

2)マプチェ問題
先週の動きは緊張感が上限まで達したと言う感じでしたが、今週も変わりません。ボリッチは軍隊派遣の延期を要請し、国会がこれを承認しました。普通、政府案は与党がイエス、野党がノーとするのですが、この案件では逆で、右翼の野党は全部、賛成で、与党は賛否に分かれました。共産党新左翼は軍隊を使用すると言うのに違和感があり、軍隊を中心にするこの法案は認められないとするわけです。
今週も、マプチェなどの反政府運動は活発に行われ、重機・家屋への放火は日常茶飯事になっています。

(スポーツ)

1)サッカー 
チリ代表チームは3連敗でアジア遠征を終えました。黄金時代と呼ばれるアメリカップ2連勝の代表選手は今回は全部外し、(一人だけ残っていましたが)若手を起用しました。つまり今回負けても2,3年後にまた高いレベルになれると言う計画です。そうなれば良いのですが。
以前、私と一緒にマラソン練習をしていた友人からメールが入り、チリ対チュニジア戦を神戸に見にいったとか。応援のため、ちゃんとチリのユニフォームを着て。
うれしいです、チリのイメージが日本人の心に残っているのが。
国内リーグ戦は来月までお休みですが、それとは別のチリカップ戦が始まりました。それは1部2部リーグのチームが参加するもので、ホーム・アウェーの2試合です決まります。
今週の人気チームの結果はコロコロは引き分け、カトリカとチリ大学は勝利でした。


以上

チリの風 その995 2022年6月6日―12日

先週は曇った日が続きましたが、今週は太陽がさして最高気温20度ほどになり秋晴れの雰囲気。
陽の当たるベランダに座り、ゆっくり本を読むのは最高の贅沢です。もっとも天気予報では来週は再度、元に戻って曇り・雨の日が続くとか。
土曜日、登山教室がありました。絶好の登山日和に恵まれ、10名で第1展望台に登りました。

意外とスモッグが少なく、きれいな街を見下ろす展望台に着いたのは全員の喜びでした。
ラソンもいつもの通り、週日は一人で10キロ、週末は仲間と楽しく走っています。
今週のトピックとしては準備が整ってきた日本の歴史の事を近くの四つの学校で登録(?)しました。ある学校の教頭の前で、少し話をすると、もっと聞いてみたいと言われました。先方からいつか依頼が来るでしょうね。日曜日の昼食は仲間と楽しく。今日は仲間が料理を作ってくれました。ありがとう。
こうして毎日、いろんなことが出来るのがうれしいです。

(政治)

1)ボリッチ動向
 私の先週の予想が当たって、彼の年次教書が良い印象を与えたようです。6月の世論調査で彼を支持するは44%まで上がり、不支持は47%に下がりました。
 その教書ですが、68%の人が教書の発表を見たらしい。そしてその内63%はそれを評価するとしました。その数字は2014年の時以来の高い数字。
ボリッチの人気が上になったわけですね。
ところが、その後の政府機関の世論調査は全く逆の結果が出ました。
ボリッチを支持するは32%にしかならず、民主化が始まってから最低の数字でした。国民の多数が、社会の安全・経済の安定を現行政権は実施できないと悲観的です。内閣の中では大蔵大臣がトップの評価を受け、逆に大統領に次ぐ内務大臣が低い評価を受けています。

さてボリッチの北米出張ですが、先ずカナダでトルードウ首相と会談して、同国の安全体制が隣国アメリカと全く違って堅固なのを評価し、カナダの銃の所持の仕組みをチリも学びたいとしました。
翌日、アメリカに入り米州首脳会談に出席しましたが、その前にロス・アンジェルスの区長と面談。水不足から来る問題を話し合いました。両者ともその問題を抱えています。
さらに起業家と会議をしました。彼は「チリでは右翼から左翼に政権が変わったが、皆さんの企業に与える影響はありません。皆さんの権利は全く不動です。
税務問題とか自然保護などの問題で関係省庁が連絡してくることは考えられますが、それは各省庁の動きで、責任は政府ではありません」
彼は「世界はチリを必要とする。そしてチリも世界が必要だ」としました。
その首脳会議に関しては良かった・大きな成果はないと評価が分かれていますが、ボリッチには初めての各国首脳とのコンタクトで値打ちはあったと思われます。その後、バイデン大統領と少し面談しました。
この北米外遊で、彼は英語とフランス語を使って面談しました。会談出席者の中の男性でネクタイを締めていなかったのは彼だけです。
2)新憲法委員会
 ボリッチの件と同じく新憲法を承認するはアップして42%、拒否するは下がって45%になりました。ほとんど互角の勝負ですね。9月まで緊張は継続です。
右翼側はもし否決が勝つとすれば、私たちは現行憲法の一部改訂を提案したいと余裕を見せています。

(経済)

1)公定金利の上昇
中銀の発表で再度金利が上がり9%になりました。昨年12月は4%でしたから、短期間に極端な上昇をしたことが分かります。
5月のIPCが再度大きく上昇していますから、物価上昇と金利の上昇が競っています??
その物価上昇率は1.2‘%、過去12か月で11.5%と高めで動きません。
このため、物価上昇率が賃金上昇を上回り、今月は実質賃金が下がりました。
2)銅価格と為替 1ポンド4.33ドルと高値安定、為替は1ドル827ペソとややペソ安になりました。

(一般)

1)コロナ問題
 木金と二日続けて新規感染者数は11000人を超えました。土曜日も10600人とほぼ同じ。陽性患者総数は47000人と3月以来の高い数字になりました。
 現内務大臣はピニェラの時代は医師協会の会長をしていて、政府のコロナ対策が適切ではないと批判していました。彼女が政治を動かすようになったら、適切な指示を厚生大臣に出していないようです。感染をどう抑えるか政府案は全く出ません。もっとも市民も緊張している様子は全くありません。慣れてしまったの?

2)マプチェ問題
 毎週、同じですね。今週もカニェテなどで放火事件が継続。死亡者も出ています。ビオビオ・アラウカニア州(第8,9州)の各地で市長・町長が脅されていると報道されました。
 コントロールができないわけですね。森林地区でトラックや重機に放火され、軽四輪車が盗まれるる事件が毎日続いています。
今日の新聞に「消えかかった町の明かり」として第9州のカピタン・パステネスの特集が組まれました。20世紀の初めにイタリア人の移民が住み着いた町です。イタリアの雰囲気で人気があったのですが、今では誰も来ません。以前はイタリア系とマプチェは友好な関係でしたが、今ではマプチェが移民の子孫の車に銃弾を浴びせ、出て行け侵入者と言うとか。
 コロンビアのゲリラ組織が同国の領土の一部を占拠していましたが、チリでも同じようなことが起きているわけです。
 ボリッチ政権は彼らとの会話が必要だとし、内務大臣がアラウカニア州を訪問しましたが、全く誰とも会えないで首都に逃げてきました。ボリッチもそこには行けません。
 政府は3回目の軍隊駐屯案を国会が承認するよう要求中です。これに関して前政権の内務大臣がどうしてこの案を犯罪が抑えられない首都圏にも運用しないのかとコメントしています。

 さてマプチェの最大勢力のCAMの創始者がテレビのマイクの前で、彼らの信条を語りました。その中で学校の占拠案(彼らの管轄に置く)も出ました。
 もし彼が国会を訪問して、下記のように話せばどんな反応があるでしょう?
 「私はマプチェを代表してここに来ている。私は君たち全員を刑務所に送り込みたい。君たちがマプチェにおこなったことの責任を取らせるためだ。チリが独立した時アラウカニアはチリの領土ではなかった。しかし君たちは一方的に侵入し私たちの領土を奪い、住民を殺害した。その時、政府は会話が大事だと言ったか?
 ノーだ。国会は暴力はいけないと言ったか?ノーだ。
 私たちが森林会社の土地から材木を盗んでいると君たち喚くが、ここは私たちの領土だから、盗んでいるのではない。
 私たちが麻薬を扱っていると君たちは批判してくるが、君たちが銃で私たちを攻撃してくるのをどう防げばよいのか?私たちも銃で防衛する必要がある。
 君たちの銃は国税から費用が出るが私たちには税金は回ってこないから銃を購入する費用を自分たちで出す必要がある。
 税金を回してくれるなら麻薬を扱う必要はない。
 私たちはマプチェの領土に入ってきている君たちを追い払いたいのだ。のんびりとあの昔の頃のようにマプチェの生活を送りたいのだ。
 君たちの狂った頭を正常化したいのだ。君たちも私の言う事実を真摯に考慮し、一方的な考え方でマプチェを攻撃するのは止めてほしい」
 もちろん、これは私の発想ですが、これが発表されれば、世界中でマプチェ問題が取り上げられるでしょうね。
 
 いつも付加として出していますが、高校生の暴力デモも継続で、その内の一つとして有名な高校INBAの校長室に火がつけられました。その学校は授業が停止になっています。またイタリア広場のデモも金曜日にあり、交通が遮断しました。全く進展・改善がありません。
3)観光
 パタゴニアの最も有名な観光地はプエルトナタレスにあります。そこにサーモン業界が進出し、自然破壊の問題が出ています。
 養殖が全部悪いと言うことはないし、全部問題ないと言うこともありません。つまり今、そこで自然汚染が起きているなら現在そこで操業している会社に適切な指示を出すべきです。操業停止ではなく改善指示ですね。市民は観光が大事なのはわかっているが、サーモン関連でかなりの人が仕事を得ているのは喜ばしいと養殖廃止には反対しています。
4)大気汚染問題
 またキンテロなどで大気汚染問題が起こり、多くの住民の生活に影響が出ています。学校も授業が止まっています。ピニェラの時に大問題になった同じ地区です。
 その近くの数社の企業が石炭火力発電や化学薬品などを使用した操業をしており、問題の本質は既に明白のはずですが、問題が再燃しました。
 その頃、反政府だった新左翼は政府は企業の側に立って市民の健康を守るために企業の行動を抑えることをしないと批判しましたが、今こそ自由に企業を規制してほしいです。
 新聞にこの大気汚染問題は3月に始まっているのに政府は何ら対策を取ろうとしなかったとされています。右も左も政治家は同じですね。

(スポーツ)

1)サッカー
アジア訪問中のチリ代表チームは先ず韓国で同チームと対戦。0対2で軽く負けました。その後日本に入り、対チュニジア戦。朝3時の試合だったので実況は見られませんでしたが、昼頃、その試合を見ました。敵のゴールが取り消しになったり(日本人審判のエラー)、チリがPKを失敗したりしましたが、結局前戦と同じ0対2の敗戦。
チリがアメリカップで連勝した時、ブラジルやアルゼンチンにも負けませんでした。その頃はアジアやアフリカのチームに負けるのは考えられませんでしたが今では全く勝ち目がありません。その黄金の世代の選手で、今回の遠征でプレーしているのは一人だけです。
10代の選手がこの試合に出ていましたが、後2・3年で彼らがチリのトップ選手になれば、チーム力も上がるでしょうね。期待します。

以上

チリの風 その994 2022年5月30日ー6月5日

天気予報は当たって今週のサンティアゴの月・火・水曜日の最低気温はマイナスでした。5月最後の31日はマイナス2度でしたが、5月にその気温が出たのは53年ぶりとか。立冬はまだ先ですが、もう冬の寒さですね。
いつも山には木曜日に入りますが、その日は雨の予報だったので、水曜日に変え、一人で久しぶりに初級広場の方へ歩きました。最初はかなり寒かったです。
水曜日の夜に雨になり、ベッドに入るとボーウィンドウの窓ガラスに雨の当たる音が続きました。そして金曜日の午後もずっと雨でした。
ラソンも続けています。週日に一人でちゃんと10キロ走り、週末は仲間と練習しています。
土曜日はサッカー教室でした。前日の雨でグラウンドの状態が心配でしたが、それほどぬかるみなどはありませんでした。練習の前にお父さん方と3人で会話をしながらサイドキックの練習をしました。それも面白い。本番の教室は10数名の参加者で楽しくプレーしました。
現地の学校でスペイン語で日本の歴史の講義をする予定ですが、毎日、ベランダに座って一人でブツブツと練習しています。
カップルが日曜日に来て昼食を一緒にしました。その後、二人に歴史の話をしたら受けました。
こうして何かやっているのが心身の健康維持になるわけですね。
まだまだがんばります、同じことを言っていますが。もちろん、いつまで続くか分かりませけれど。

(政治)

1)ボリッチ動向
今週の最大の話題はこれです。彼にとって初めての年次教書の発表です。政治・経済・一般の各項目で今年・任期中に実行する案を発表するわけです。その中心項目になる税制改正は経営者陣ともめるでしょうね。今月中に政府案の詳細を発表するとか。
国会で約500名の議員・関係者を前に2時間20分のスピーチをしました。
そしてなんとその夜に全テレビ局で特別番組として年次教書の追加を発表しました。しかしこのエレルギーはすごい。普通なら2時間もスピーチをすれば疲れ切って国会のあるバルパライソ市から首都に戻り、すぐ自宅に入るはずですが、彼の場合は教書に満足せず、モネダ宮殿の事務所に部下を集めて内容を検討させ、足りないと思われた部門に追加のコメントを入れたわけです。
私は長々と続いたその演説の一部をテレビ中継で見ました。コロナ問題で、「私はワクチンの接種が大事と考えるが、その接種を始めたのはピニェラ政権で…」とコメントすると与党側から、何故反政府のピニェラを持ち上げるのかと厳しいクレーム。それは事実ですよ。
社会格差を是正する、貧困層に援助する(灯油価格を下げる、ガソリン価格が上がらないようにする、バスなど公共運送費用が上がらないようにする)そして彼らのために6万5千軒の家屋を建てるとしました。労働者の保護として最低賃金のアップ、労働時間を最高週40時間にするとしました。
犯罪の問題軽減に全力を上げるとしましたが、右翼の区長が「そんなコメントは信用できない。毎日、事件が起きているのに警察力の増加など全く聞いたことがない」と厳しいコメント。
現行の年金システムを全面的に更新させるようですが。現在各自が持っている基金には国は手を出さないとしました。
マプチェ問題で同地区に警備の仕事をしている軍隊をその努力に感謝するとしました。大統領としてのコメントですね。新左翼の頃は軍隊は権力者のために存在していると批判していましたから。
この演説の前に発表された 世論調査で、彼を支持するは27%、不支持は57%でした。この演説で少しは変わるかな?
さて今日の夕方、彼は大統領専用機で北アメリカに。アメリカで国際会議に出席してから、カナダで大統領と面談とか。どうなるかな?
 2)新憲法委員会
世論調査で新憲法を認証するは29%、拒否するは45%でした。長い間、変わりませんね. 来月初めにこの委員会の活動は終了します。そして9月に新憲法是非の投票になります。これが可決されるのかどうかチリにとって一大事になりますね。今日の新聞の特集で新憲法が否決されればどうなるかと言うのが書かれました。
軍事政権時に作成された現行憲法民主化のもとに改善すると言う意見が出され、その声が大きくなったので、政府は新憲法是非の投票を認めました。単純に言うと左翼は新憲法、右翼な現行憲法支持になります。そしてその是非の選挙でイエスが勝ち、新憲法への移行が動き出しました。次に新憲法作成をする委員の選挙が始まり委員が任命されました。
ここまでくればすべて過半数で来ているから、どんな新憲法が出来てもそれを認証するのが当然と言うことになりますが、世論調査では別の結果になっています。委員の質があやしいとか、現行をどう変化させていくのかがちゃんと報道されていないと言うこともあり、新憲法否決の声が大きくなっているわけです。ボリッチは現行憲法で自分たちの政策が実行できにくいことがある。新憲法の自由さが必要としました。共産党の党首は右翼は反対しているが、最後は自分たちが勝って新憲法が成立するとコメントしました。

(経済)

1)銅価格と為替
1ポンド4.29ドルと先週よりアップしました。このため為替は1ドル815ペソとペソ高になりました。
チリにとってありがたい傾向ですね。
2)ガソリン価格安定化
 15億ドルをシステムに注入して、小売価格の安定を狙うことになりました。さぁちゃんと機能するかな?
3)家の販売価格
 ラテンアメリカの各市の中で、価格の比較が行われ、サンティアゴはその中で高い順で3番目に入りました。プンタ・エステ市(ウルグアイ)が首位、2位はメキシコのリベラマヤでした。サンティアゴの人は家屋の購入に大変な苦労をしているわけですね。
4)観光
外国からの観光客を受け入れるため、ワクチン接種のことなど入国制限を軽減することにしました。
1-4月の数字ですが、コロナ問題の始まる前の2019年は190万人が入国、20年は108万人、21年はわずか7万人でした。それが今年は32万人に増えています。
 さぁこれから今までの数字に近づくかな?イースター島は8月1日から入島可能になりますが、それに先駆けて、今週、政府関係者のグループが入島。2年半ぶりの観光客でした。このままコロナ問題がうまく治まって行ってほしいです。

(一般)

1)コロナ問題
 先週よりさらに数が増えて新規患者数が1日8500人まで増えました。もっとも今までにも書いているように、PCR検査の数が2倍になれば新規患者数も2倍になるのは当然で、患者数が増えたと大騒ぎするのは意味がないのでは。陽性率は以前より増えているのは事実ですが。
そのほかに6月1日から4回目のワクチンを接種していない人の移動パスが取り消されました。なんでも180万人がそれにあたるとか。
そこで厚生省の関係者がレストランに入り、お客さんに移動パスを見せるように要求しました。それがテレビのカメラに写っていましたが、店のオーナーが嫌がってテレビ局の人間を外に出しました。
 移動パスがない客がレストランの中にいれば、客に罰が行くのか、レストランに行くのか知りませんが、チェックが頻繁になればレストラン・バー・スナックなどの経営に影響しますね。
2)マプチェ問題
 殆ど毎週同じです。今週も南部各地で車や家屋への放火が続きました。
 大統領特例で軍隊を派遣していますが、それが15日間延長になりました。その期間に国会で討議するのか、この特例を無期限に継続するのか。
 同じように高校生の暴動も継続。今週も車両への放火がありました。しかし高校生がモロトフ爆弾を作って校外の道路で車両にぶつけるのはどうして防げないのでしょう、学校も警察も見ているだけですか?最右翼のUDI党はボリッチに文書で問題軽減のため、火炎爆弾を投げた学生の処置をしてもらいたいと要請。
学生グループは問題の存在を無視して自分たちを攻撃するUDIは恥知らずだと発表しました。ボリッチがやっていた学生運動の時と同じようですね。

3)世界の料理 
テイスト・アトラス誌の発表で世界各国の料理が比較されました。チリはラテンアメリカ諸国の中でメキシコ・ブラジルに次ぐ3位。ペルーやアルゼンチンより上位で世界の30位でした。日本はさすがに6位です。 

(スポーツ)

1)サッカー
チリ代表は新監督のもとにアジアに向かいました。このため当分、国内リーグ戦はありません。明日、韓国で同国と対戦し、その後、日本へ向かいます。
新監督は黄金の世代と呼ばれる選手を外し、若手に変えることを考えています。それは今すぐには戦力ダウンになりますが、2,3年後のことを考えると正解でしょうね。新しい選手で新しいチリを作ってほしいです。
明日、朝7時に韓国戦が始まります。テレビの前に座ります。


以上

チリの風 その993 2022年5月23日―29日

先週と似たような天気の毎日が続くサンティアゴです。最高13度、最低気温は3度くらいの日が続いてます。来週はもっと寒くなってマイナスになり、何日か雨が降りそうとか。天気予報が当たるかな?
今週の山歩きは先日、登った中間展望台へ仲間と二人で行きました。肌寒い日でしたが、しっかり歩きました。途中の道路で放牧されている牛があふれていて
彼らを怒らせないように回り道をして彼らの後ろに出ました。展望台から下の街を見るとスモッグの上に霧がかかり、まるで湖の前にいる様でした。向こう側の山が
湖に面した島の様な幻想的な風景でした。確かにそのスモッグのため、土曜日に今年初めて準非常事態宣言が出され、車の通行が制限されました。
もちろんマラソン練習もいつもと同じです。ちゃんと10キロ走っています。週に5日スポーツをしました。
そして週末、嫁さんの友だちを招待して食事会をしました。
土曜日、近所で蚤の市があったので、嫁さんと行き、数品買い物をしました。沢山の人が歩いていました。
毎晩ベッドに入ると今日も楽しい日だったと感謝しています。

(政治)

1)ボリッチ動向
タイムス誌で今年世界で注目される100人が発表されましたが、その中にボリッチの名前がありました。目立って活躍したと言うより、超若手の大統領と言うことで注目されたのではと思いますが、どうでしょう。
チリ国内で ボリッチを支持すると言う層は50%ですが、彼が大統領特例として南部に軍隊を派遣したことを評価するのは77%です。つまり右翼・中道、そして一部の左翼が賛成し、共産党新左翼がそれに反対しているようです。共産党の党首は「軍隊を派遣すると言うのは危険が伴う」と反対の声明を出しています。この大統領特例をどうするか、継続か変更化が明日の月曜日に発表されるらしい。
土曜日、2年ぶりに文化財の日が復活して、全国各地であちこちの場所が市民に開放されました。例えば、中央銀行、国立テレビ局NTV(日本のNHK)、その中で、モネダ宮殿も一般市民が入るのを認めました。ボリッチはそこにいて市民と一緒に写真を撮らせたりして歓迎しました。
さてその前に、彼はモネダ宮殿に労組代表などを招待して、最低賃金のアップを祝いました。歴代の政府の中で、今回ほど大幅アップをしたケースはないとコメントし、参加者から拍手を受けました。
庶民援護の一つとして、今週、灯油の値段を平均300ペソも下げました。ガソリンスタンドによって少し差はありますが,1300ペソだったのが、突然1000ペソに下がったわけです。ボリッチの評判が上がるかな?

2)新憲法委員会
9月4日に新憲法の是非を問う国民投票がありますが、それを受けて国会で認証するかどうかの討議が行われますが、見通しは困難です。

これを応援するバチェレット元大統領は現在国連の人権部門のトップですが、2005年以来初めて、中国に入国し調査をすることになりました。6日間の滞在でしたが、調査はあまり進まなかったようです。もちろん中国政府は内政干渉をするなと軽くあしらいました。

(経済)

1)チリ国の危険度
 JPモルガン社の調査で、チリの危険度は4月の場合、危険度が減少と良い評価だったのですが、5月は逆になりました。経済成長率の低下、インフレの継続、金利の上昇などが問題のようですが、もちろんボリッチ政権の評価、新憲法委員会の動きなどがマイナスの動きになったのでしょうね。
2)小売業界
消費者の動きですが、首都圏では動きがはっきりしています。今年4月の売れ行きは前年対比66%のアップでした。すごい売れ行きだと思うのは間違いです。昨年の4月は外出禁止令が出て、店は閉まっているし、買い物に出られなかったわけですから。コロナの始まる前の2019年より1%下です。
同じように1-4月の合計でも今年は17%の上昇ですが、2019年より2%マイナス。まだ元に戻っていないわけです。
それとは違って株式市場は上昇中です。5,388ポイントまで上がり、それは2019年2月以来の高い数字です。
今年の第1四半期は上場企業の80%が前年対比で良い記録を残しています。
3)銅価格と為替
銅の価格は1ポンド当たり4.26ドルと先週とほぼ同じでした。為替は1ドル829ペソとすこしペソが強くなりました。
このまましばらく安定してほしいです。
3)厚生年金の運営
チリは各自が積み立てた金を年金運営会社が投資するわけですが、先月の結果は一番危険の多い(従って見返りも大きいい)AランクからDランクまで全部マイナス成長、ただ一番安全なEランクだけがプラス成長でした。このシステムが開始してからの長い期間でマイナス成長になったことはほとんどありませんから、今年の後半にかけて少しは良くなっていくでしょう。

(一般)

1)コロナ問題
 水曜日、新規患者数が6000名を越えました。それが木・金・土・日と7000名を越えました。毎週、数が増えていますね。
 どういう手を打てばよいのでしょうか。前政権の時は毎日、厚生大臣が状況説明の場を作っていましたが、新政権は外から見るとかなりのんびり働いています。
 コロナワクチンは何回も打つと自然免疫を破壊すると言われています。私はそれに乗って4回目の接種は止めようと思っていたのですが、それまでの移動パスが無効になると脅されて4回目を打ちました???
 さてチリでこの問題はどう進んでいくのでしょう。
2)マプチェ問題
 第9州アラウカニアで林業会社の従業員の乗ったバスが攻撃され多数の負傷者が出ましたが、その中の一人は死亡しました。殺すつもりで射撃してくるのですね。これが大きなニュースになったら、翌日、北隣の第8州ビオビオで同じような事件が起きました。もう止まりませんね。
キディコの警察署にも銃を持った70名が襲撃をかけました。つまり、一つの町にマプチェのグループが集合しているのではなく、その2州にはどこへでも攻撃をかけられる力を持っているわけです。
今日の新聞の特集記事でWAMの紹介がありました。WAMと言うのはマプチェの言葉で反乱軍の戦いと言う意味ですが、自分たちのグループの名前に反乱と言う言葉を使うのは変わっていますね。正義の戦いと言うのならわかりますが。
そのグループはマプチェの武装組織CAMから分裂したとかで、WAMのリーダーはまだ表に出ていません。昨年、ピニェラが同地区に軍隊を派遣すると決定した時、彼らは警告のビデオを発表しましたが、40名ほどの組員が銃器をもって戦い宣言していました。住居、車両への攻撃・放火や警察・軍との戦いも記録されています。
まるでコロンビアの反政府ゲリラのように組織が勢力を上げてきているのが感じられます。ボリッチが話し合って解決したいと言うのは甘いでしょうね。もっとも彼らにすれば今から200年前にチリが独立した時、今の第9州アラウカニアはチリ領土に入っていなかったわけで、その後、チリがマプチェの領土に勝手に入ってきて武力で取り上げたのは歴史的にはっきりしています。

これに関連しているかのように高校生の暴力デモが継続です。サンティアゴの中央道路アラメダ通りを走る公共バスに攻撃をかけ、乗客を降ろして火炎爆弾で放火。バスは燃え上がりました。その放火事件は白いオーバーオールを付けたグループが実施したのですが、警察がその中の二人を逮捕しました。二人とも近くの高校の生徒でした。そのグループは極左のテログループに関連しているとか。3年前の社会騒乱の時と同じですね。
金曜日に同じような暴力デモが怒り、公共バスへの放火が起きました。どうして逮捕できないのか、逮捕した人間を調べてそのグループを解体できないのか不思議です。テレビのニュースにそのデモ隊のビデオが出ますが、顔が映っている人間もちゃんといますからね。

3)身分証明書RUT
 チリ人は10年ごと。移民は5年ごとに証明書の更新が必要です。それが市民登録所がうまく機能しないので、更新手続きが、たまり続けて250万人が期限切れの証明書を持っているとか。私は少し前に更新しましたが、ほとんど待たされることもなく手続きが終わりました。ラス・コンデス区の事務所はしっかりしています。政府はこのため1年間、古い証明書を有効にすると発表しました。

(スポーツ)

1)サッカー
 国内リーグ戦ですが、先週首位だった3チームの一つ、ウニオン・エスパニョールは引き分けで首位を堅持。もう二つのコロコロとニュブレンセは明日、対決します。
 つまり今日の段階では首位はウニオンですが、明日の結果で勝った方が首位になります。
 人気チームの結果はチリ大学は負けて11位に転落。カトリカは勝って10位に上がりました。

 チーム別の南米大会のリベルタドール杯でチリ代表のコロコロとカトリカはまた負けて1回戦を勝ち抜けませんでした。
 チリ代表チームの新監督が決まりました。昔、ビエルサが監督をしているとき、その助手をしていたアルゼンチン人のべリソです。少しはイメージを変えられるかな?


以上

チリの風 その992 2022年5月16日ー22日

私の好きな街路樹リキダンバルの紅葉が進み、多くの葉が地面に落ちています。朝晩は気温が下がっても、穏やかな初冬と言う
雰囲気のサンティアゴです。

土曜日、今年度、2回目の登山教室。プロビンシア山系の一番軽い歩きの石碑コースを10名で歩きました。戻ってきてから両方に参加している子供にサッカー教室と登山教室はどちらが楽しいかと聞くとサッカー教室と答えがありました。ボランティアとして教室をやっているので子供とコンタクトが出来ます。嬉しいです
ラソンもいつもの通りです。週日 一人で10キロを走っている時、段差に躓いてこけそうになりましたが、何とか持ち直しました。
まだ運動神経が機能しています。

日本の歴史の方も進み、チリ人の友人の前で練習しました。

嫁さんに付き合って病院にも行きました。
毎日いろいろすることがあって、楽しいです。

(政治)

1)ボリッチ動向
先週と同じです。公報で彼の動向として、南米スポーツ青年大会で活躍した選手をモネダに招待して祝福したとなっています。
彼の人気がないと言うのは世論調査で頻繁に報告されますが、就任1年までは軽々しく批判するなと言うコメントもありますし、逆に4年の任期を全うできないで途中で投げ出すのではと言うきつい意見もあります。
彼の現在の最も重要な事項は市民生活の安全保障ですが、南部の州を特別区として軍隊のサービスを使用し始めました。
左翼の社会党と最右翼のUDI党が幹線道路のパトロールだけでなく市民の生活を守るよう一般道路・市民地区のコントロールもすべきではないかとしています。右・左の意見の一致です???
結局、今まで批判してきたピニェラ方式と同じことをやり始めたわけです。

キリスト教民主党DCはボリッチに市民の安全保障に関し文書を提出しました。今まで中道左派の中でDCは中心政党だったのですが、この内閣では蚊帳の外で、まるで野党のような振る舞いです。
この他では、土曜日の海軍記念日に彼は隣州のバルパライソを訪問し、海軍パレードを見ました。コロナ問題で2年続けてそのパレードは中止されていました。その日は太平洋戦争のイキケの戦いの記念日です。
彼は海軍はチリ国家の安全確保のため最も重要な組織の一つだと演説しました。しかし海軍の上部の一人が、チリ海軍にとって脅威になるのは隣国の侵略かチリ国内の混乱だろうと政治批判をしています。アジェンデの思い出でしょうか?

2)新憲法委員会
中心委員が北部のアントファガスタを訪問し、現地と交流したほか、新憲法草案を発表しました。
元大統領のバチェレットが新憲法案の成立を全力で応援したいとしています。
新聞社説で新憲法の経済部門を調べれば、将来の外部からの投資・経済成長率にマイナスの影響を与える可能性があり心配されるとされました。投書欄には1973年のアジェンデ内閣の時、エラーをしたグループ(共産党など)が同じことをこの新憲法で実行しようとしていると心配の声。どうなるかな?
それから教育問題で、政府の援助で運営されている民間校に援助が行かなくなったら、当然、閉校になるわけで、それは望ましいことなのか?と記載されました。
9月4日に新憲法投票がありますが、その前に賛否両方のプレゼンテーションをテレビでしますが、各政党ともすっきりイエスともノートとも言えないとか。それは同じ政党の中でも賛否の意見があって単純にイエスともノーとも言えないからとか。社会混乱・騒動が再燃しないことを願いますが。
今日からイエス・グループが活動を始めたとニュースに出ました。歌手とか俳優のグループで、新憲法で私たちの自由を守ろうとしています。

(経済)

1)銅価格と為替
1ポンド当たり4.3ドルと先週より大きく上がりました。このため為替も1ドル842ペソとペソ高になりました。中国経済問題がはっきりしてきたので、銅価格が減少したと、先週、説明されましたが、わずか1週間で銅価格が元に戻って来たと言うことは中国はそれほど危険な状況ではないと言うことですね。プロの言うこともあまり信用できませんね。
つまり銅価格の変動は誰かが動かしているのでしょう。買いに出るか売りに出すか。

さて経済活動の一つに住居の建設販売がありますが、国立銀行が大広告を出しました。購入価格の80%までを20年期間の貸し出しをするとし、金利はUF建てで年3.85%の金利です。UF建てと言うのは物価が10%上がれば貸し出された金額も10%上がります。今の所6500万ペソの貸し出しでは毎月41万ペソほどの支払いになります。
少し前のチリの風に給料が上がっても物価上昇率IPCより低いので実質的には給料は下がっているとありましたが、その問題をなくすため、給料をIPCに関連したUF建てにしようとする動きが出ています。それが成立すれば、給料の安定は確保ですね。また税務局のトップがボリッチ政権の終わる前に現行の消費税20%を14%に下げたいと発表しました。ボリッチも頑張らなければ国民の評判は上がりませんからね。

(一般)

1)コロナ問題
 何とこの木曜日、新規感染者数が6000人を超しました。陽性者数の合計は2万人まで上がっています。
 このまま加速すれば、確かに第5波になりそうです。また外出禁止令とかになるのかな?
2)マプチェ問題
ボリッチが幹線道路に軍隊使用を発表すると、直ちに、反政府マプチェは道路の封鎖、車両への銃撃と政府のやり方は納得できないと行動を開始。毎日の様に事件が起きています。どこまで行くのかな?
内務大臣は、わが政権は軍隊を出してマプチェを殺しに行くことは考えていないと場違いなコメント。
その女性内務大臣を憲法会議に訴えようと共和党が申し出ましたが、右翼の中で合意に達しません。
その党はボリッチに敗れたカストが作った党です。
市民生活の安全保持の件に関して、ボリッチは首都圏の中央駅区にあるメイグ地区にある不法露店を一掃しました。そこは道路にテントを張って自分の所有地のようにして店を構えていたわけです。道の両側にそれがあったので車はその道を走れませんでした。
今年のメーデーの時、その近くで露天商とデモ隊がぶつかり、彼らの発砲した弾丸に当たったマスコミ関係者が死亡しました。犯人はまだ逮捕されていませんが銃を撃っているのはビデオにとられています。
そして今週、とうとう政府は動いて、彼らのテントを全部、取り払いました。夜のニュースで、全く、誰もいなくなった道路が報道されました。
しかし、次の日、彼らは机を持ち出し、また商売を始めました。警察は何をしているのかな???
それから、政府は市民の銃の所持を禁止しようとしているみたいです。
現在は、正規の銃器販売所で購入し届け出ると銃の所持が認められます。それを廃棄しようとするわけです。その法案が通ると、怪しい場所で歩行者を調べて銃を持っていれば全員逮捕出来ます。犯罪の数は激減するでしょう。
そうなるとボリッチの人気は上がるはずです。

3)イースター島
8月1日から一般観光客が島を訪問できそうです。この2年超の期間、観光客が全く入れなかったので、島の唯一の産業たる観光が閉ざされ、生存の危機です。
町はボリッチの訪問を要請していますが、彼は故郷のパタゴニアは行きましたが、イースター島には反応していません。
収入がなく、島にはほとんどない野菜果物などの食品は本土から入れるわけですが、それが極端に減少し、価格が上がれば島民の生活は破産になるのは当然ですね。
どうしてそこの所属する第5州、そしてチリ政府が真剣に島民の保護・援助をしてこなかったのでしょうか?

(スポーツ)

1)サッカー
国内リーグ戦は人気のコロコロは引き分け、チリ大学は勝利、カトリカは敗戦になりました。
順位はトップはコロコロ、ニュブレンセ、ウニオンの3チームで勝ち点28です。
チリ大学は10位、カトリカは12位です。
リベルタドール杯のチリ代表のコロコロとカトリカはそれぞれアルゼンチンとブラジルで敵と対戦し、0対4,0対3で敗戦。1次予選突破は困難です。

以上

チリの風 その991 2022年5月9日―15日

最高気温が上がらず曇った日が続いています。洗濯ものが乾かないのが困ります。
今週もいつものように過ごしました。
さて4回目のワクチン接種をしました。私はもう3回で十分だと思っていたのですが、4回目を打たない人の移動パスは
来月から無効になると圧力がかかりました。それまではワクチン接種所は閑古鳥だったのですが、私と同じ考えの人が殺到し長蛇の列になりました。
山歩きはいつもの第1展望台に。丘の上から下の街を見るとスモッグで汚れていました。
土曜日のサッカー教室は大人・子供合わせて13名の参加者で楽しく汗をかきました。
日曜日は仲間とマラソン練習をしました。いつも週に2,3回走っていますが、今週も10キロを走りました。
その後、友人・家族を招待して昼食会をしました。食事をしながら会話を楽しむのがうれしいです。
いつも同じことを書きますが、幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
大統領府の広報で、今週の彼の行動はほとんどありません。私の推定では、それは「俺はもう駄目だ」「どうして大統領の俺が言うことを他の人間は尊重しないのか」のどちらかでイライラしていたからでしょう。
問題は軍隊の使用です。トラック業界との合意で道路の通行の安全確保のため軍隊を使用するとしましたが、それは国会で認証される必要があります。与党の中の新左翼が、「ピニェラと同じことを何故、自分たちがやるのだ。俺は反対するぜ」とコメントしています。
政府として「それはしません」と今まで言ってきたのを裏切るわけですね。
土曜日の新聞に、「市民の安全確保のため軍隊を使用すると言うアイデア新左翼が抗議したため、政府は凍結しました。そしてキリスト教民主党DCのウォーカー議員に国会で討議するため仲介してもらえないかと依頼した」と書かれてありました。与野党のぶつかりは世界中同じですが、同じ与党の中で意見が乱れるのは悲しいですね。
私の想像もかなり当たっていました。
国会で、この問題に関し、右翼側は賛成が多く、左翼側は反対が多いので、まるでボリッチは右翼政権のようです。
先週、エナップ石油公社が下請けのストでガソリンの供給に困っているとありましたが、話し合いが進まなかったため、警察が労働者を排除しました。すると例の共産党の区長が「労働者の権利を警察が排除するなんて、どう言うことだ」とクレームしました。

それに少し関連していますが、犯罪の増加が目立ちます。今週は防衛大臣の家に泥棒が入り、貴重品・車が盗まれました。(車は後で見つかりました)そしてボリッチの護衛をする警官が誘拐されて金品をはく奪されました。いやはや。


2)新憲法委員会
テレビの番組で、委員会の実情を紹介する番組がありました。右翼・左翼の委員が二人ずつ、そして評論家が2名隣のテーブルに座りました。
私は憲法関連の単語や言い回しを全部理解する能力はありませんから、ところどころ理解不明でしたが、それでも教育関連でこんな議論がありました。
左翼側は公立学校の教育を重要視し、金持ちが行かせる私立なんかどうでも良いと言う感じの発言をします。なんとなく理解はできますが、現在、順調に活動している私立の学校を嫌がらせるのは納得できません。その他、厚生年金、水利権、上院議会とか問題が山積みと言うのは理解できました。
明日、新憲法草案が発表されるとか。来週は、それに関していろんな意見が出るでしょうね。

(経済)

1)銅価格と為替
銅価格は急落です。1ポンド当たり4.11と4ドル近くまで落ちました。今年の銅鉱山への投資は2%減少するとニュースに出ました。その数字が当たっているかどうかは分かりませんが。この傾向では前向き投資はする気にならないでしょうね。
中国の低迷がどこまで続くか分かりませんが、銅価格の急激な下落はチリに大きく影響します。これは経済の問題だけでなく社会全般に影響しますね。ウクラニア戦争で銅価格が下がったと言うのは間違いです。わずか1か月にもならない4月17日に4.71ドルまで上がっていますから。さぁどうなるかな?
このため為替もペソ安が進み、1ドル868ペソです。
2)移民就労ビザ
2021年は97800人と過去10年で最小でした。2018年は42.8万人とピークになりましたが。それ以降は派手に縮小しています。
2012年は96000人でしたから、それが今までは普通だったのですね。チリ経済が上向きになって、移民がチリに行けば夢がかなうと殺到するようになったのですが、3年前の社会騒乱でその夢は消えました。おまけにコロナ問題が重なって。
過去10年で就労ビザを取得した移民は1位がべネスエラで50万人、次いでペルー36万人、コロンビア31万人です。中国が10位で2.5万人と言うのが目立ちます。日本人の数はいくらかな?

(一般)

1)コロナ問題
 火曜日は新規感染者数が1462人でした。水曜日は3048人、木曜日は4333人。金・土・日も4千人を超えました。第5波の波が押し寄せていると言われます。
 これにともなって陽性患者数も1万人を割っていたのに1万5千人を超えています。
 シノバック社がサンティアゴのキリクラ地区に薬品工場の建設を始めました。コロナワクチンだけでなく、インフルなどの薬も製造するらしい。
2)マプチェ問題
 毎週同じで、住居や個人への攻撃が続いています
 政府が出した軍隊使用
案に関してマプチェの最も攻撃的なグループCAM
が、それは絶対に認められない。自分たちは身を守るため、銃器を使った自衛をさらに強めるとしています。今週、彼らの手で20台以上の車両に放火したとか。
3)学生運動
 有名学校の国立学院の占拠問題が解決しそうですが、校舎が壊されているとかで、来週から授業が始められるのかな?まだ選挙が継続している学校もあるらしい。

それとは関係ありませんが、チリ大学の学長に女性が就任しました。180年の歴史で初めてのことです。

4)大気汚染 
先日から汚染を少なくするため、古い車の通行が制限されています。先週1週間で、規則を守らず走行して捕まった車は5千台とか。罰金ですね。
大気汚染は良くならず、警戒警報が出されています。

(スポーツ)

1)サッカー
国内リーグ戦は13戦が終わった段階で、首位はコロコロ、2位はニュブレンセとウニオンが同点です。
人気チームの成績はコロコロとカトリカが勝利、チリ大は敗戦でした。

以上