チリの風 その989 2022年4月25日―5月1日

サンティアゴの最低気温が今週は零度まで下がりました。もっとも昼には20度くらいまで上がってポカポカの暖かさです。
火曜日、とうとう降りました。天気予報の通り、短時間で30ミリも降り、水害が出ました。それでもこれだけの雨が降るのは素晴らしいです。
その後、三日目に山登りをしたら、サンティアゴの空はスモッグで汚れていました。
さて家屋税所得税を支払いました。そして先日、申請したカルネ(身分証明書)を入手しました。これで5年間チリの中を自由に歩けます。
次の申請時には私は80歳、まだ生きているかな?

土曜日のサッカー教室は10名強の参加者で、いつもより少なかったですが、楽しくプレー。日曜日は仲間とマラソン練習をしました。チリの学校での授業のための日本の歴史の準備も進んでいます。やることが一杯あって、これ以上贅沢は言えませんね。
美味しいものを毎日食べているし、嫁さんとうまく行っています。今週も毎日幸せな日が続きました。

そうそうマンションの住民総会があり、私はオーナーですから、それに参加して意見を述べました。コロナ問題で過去2年間、集会が出来なかったので久しぶりでした。

(政治)

1)ボリス動向
EU代表のウレボラと面談し、チリの現状を説明しました。その他、近郊の住民集会に参加して政府の社会安全政策を説明しました。
5月1日のメーデーの前に労働者連盟CUTと面談して、労働者援護の政策を説明しました。
そのメーデーですが、いつもの通り、イタリア広場に集まったデモ隊は街の中心アラメダ通りをデモし、モネダ宮殿近くで集会を持ちました。CUT代表が長々と演説しましたが、その中で何度もアジェンデの名前が出ました。「彼は銅鉱山の国有化を行いました。そしてコデルコ銅公社を作りました。その恩恵を私たちは今でも受け取っています」そのおかげで外国資本はチリから抜け出し、経済危機が襲ったことを忘れていますね。更にその代表の彼は新憲法で労働者の権利が明確になると喜んでいました。
そのデモ隊に中央駅付近で露天商が攻撃し、ピストルで撃たれてデモ隊3名が負傷。政府はその事件を裁判所に訴えました。犯人が二人逮捕されましたが、コロンビア人とべネスエラ人でした。俺たちの商売の邪魔をするなとしたわけです。
今晩のテレビのニュース番組にボリッチは招待され話をしました。その中で就任50日で新政権の人気は低いですがと厳しいコメントを受けると、旧政権が出来なかったことを新政権が即時に解決すると思われたのでしょうが、そうはいきません。私たちの努力を見守っていただきたいとしました。 

2)新憲法委員会
 もう最後の日が近いのに、これが私たちの作った新憲法ですと言う最終案がまだ出来上がっていません。なんと、もう少し、3か月ほど期間を延長してはどうかと言う声が委員から出ています。既に一度延長はしていますから、これが通ると、延長が何度も続くでしょうね。
 新憲法が国民に否決されれば、社会騒乱の復帰になるのでしょうか?

(経済)

1)最低賃金の変更
8月から最低賃金は40万ペソになります。最近の物価上昇分に見合ったものと言えそうです。その額を比較すると、ラテンアメリカではコスタリカに続いて2番目の高い数字とか。それからブラジルの2倍になる由。各国が独自の政策を取っているのが良く分かります。しかしブラジルの人の生活は厳しいですね。もっともOECD参加国の平均賃金と比べるとチリのそれは約半分とか。世界の壁はまだ遠い。
2)女性の幹部が増加
 上場企業の重役に女性が増えています。2019年に8.6%だったのに今年は一気に18.4%になりました。有名企業の女性幹部の数が新聞に掲載されましたがそれを受けて、「うちももう少し女性を増やそうよ」と言う社長が出てくるでしょうね。必要と言うより、雰囲気の問題ですね。
3)銅価格と為替
銅の価格はポンド当たり4.45ドルと先週からかなり下がりました。するとそれにつれて為替も1ドル857ペソと先週よりチリペソは約5%弱くなりました。銅公社コデルコは昨年過去9年で最高の利益を出しましたが、今年は風が変わって売り上げが下がりコストが上がり今年の第1四半期は昨年から6.5%の減少になりました。もっともまだ今年は始まったばかりですけど。

(一般)

1)コロナ問題
かなり良くなってきています。火曜日は新規感染者数が993人と今年最少の数字でした。今まで2回ワクチンを接種した人が持っていた移動パスは今日から効力を失いました。つまり3回目接種が義務付けられたわけです。入院者数は過去最少にまで減少しているとか。
さぁこのままコロナ問題は治まっていくかな?
隣国との陸の国境40カ所の内、22カ所が今日からオープンされました。
2)マプチェ問題
毎週、激しくなります。先週と同じく、トラックが銃撃され運転手が負傷しました。
これに関し前政権の内務次官をしていたガジが共産党新左翼は社会デモとゲリラの破壊活動の区別が出来ていないとコメントしました。
そしてなんとトラック・重機が30台以上も燃やされる事件がありました。防犯カメラに写っていますが、軽トラックに乗ったグループが手に機関銃を持っており駐車場施設に入る際から威嚇射撃です。そこに入ってくるトラックを止めて動けなくし、警察の車が入れないようにしてから、敷地にあったすべての機械を燃やしました。マプチェの問題なのか、一部のゲリラグループが社会騒乱をするためにこうした攻撃をしているのか分かりませんが、南の第8州、第9州でこうした社会騒乱が継続し、政府が全く手を打てないのは自明です。対話で問題解決を図るとするのは間違いでしょうね。
3)高校生の抗議活動
 政府は高校生の環境をよくする政策を取っていないと学校内外で抗議行動をしています。
 高校生の犯罪かどうかまだ決まっていませんが、学校近くで公共バスに火がつけられ全焼しました。
 話し合いが大事だ、そうした暴力行為は認められないと政府はしています。校舎の改善などに100億ペソの予算を組むと発表しました。
 今週、学校の前でモロトフ爆弾を投げた生徒が捕まりましたが、彼はその学校の生徒でした。
いくつかの高校が学生に占拠されています。それを警官が排除すると言うのはまだ起きていません。いつも出てくる共産党の区長が警察が学生をひどい目に合わせているとコメントしました。爆弾を投げる学生を逮捕するのは正常と私は思いますが。

4)トラックの抗議活動
 トラックが道路を封鎖する抗議活動が全国各地で起きています。3車線の道路を2車線分トラックで抑えると残りは1車線。交通渋滞が起きるのは当然です。
 彼らは、高速道路の料金・ガソリン代、そして何より交通の安全が保障されていないと政府に抗議しています。政府は、何日の何時以降はその行為を認められないと 脅しをかけましたが、彼らは政府案を無視したので、政府は裁判所に訴えました。
政府は彼らの抗議内容に関し、政府案を提示して説得するべきですが、今日、政府はそれをトラック業界と面談してに提示したらしい。
5)スーパーマーケット襲撃
 今週、首都圏近くの店が襲われました。数人のグループではありません。200名と言われる大集団です。そのグループは店の近くの道路を封鎖し、警察の介入を妨げようとしましたが、何人も逮捕されました。もちろん、偶然そのグループが出来たのではなく、作戦を練り上げて実行したのですね。
 逮捕した人間からどんな秘密が聞き出せるかな?
 政府はそのグループを犯罪者として起訴しました。3年前の社会騒乱の時、同じような暴動を裁判所に訴えたピニェラを左翼グループは批判しましたが、今回は自分たちも 同じことをしています。

6)交通規制
今週の山登りは大雨の3日後でしたが、空はスモッグで覆われていました。サンティアゴの場合は暖房に薪を焚くから空が汚れるのではなく自動車・工場が原因のようです。そこで明日から8月末まで週日の車の交通規制が始まります。新車は別にして、古い車は週に一回、通行禁止があります。
月曜日はナンバープレートの末尾の数字が0と1の車がそれに当てはまります。もちろん規則を守らないと罰金を取られます。

(スポーツ)

1)サッカー
 国内リーグ戦は今週は5月1日の祝日のため通常試合は中止。今まで延期されていた試合だけ実施されました。それで11試合が終わった段階でコロコロとウニオンが同点首位を守っています。カトリカは10位、チリ大学は13位と全部で16チームの1部リーグで下位低迷です。両チームとも不振の責任を取らせて監督を交替しました。
 リベルタドール杯は参加中のコロコロとカトリカが両方ともホームで対戦しどちらも負けました。惨めですね、


以上、

チリの風 その988 2022年4月18日―24日

なんだか夏から一気に晩秋になったようなサンティアゴです。今晩から暖房を使い始めました。昼間も太陽が当たって暖かくなるべランダに座って新聞を読みます。
ありがとう。金曜日の深夜、少しですが、やっと雨が降りました。来週はもっと本格的な雨が降ると予想されています。

19日、親父の命日でした。ロウソク・線香をつけて娘がお経をあげました、彼女は般若心経を日本に留学した時に覚えました。彼が亡くなって10年になります。
それからコロナ問題が収まってきたので、市内観光をしました。行ったのは歴史博物館、考古学博物館、カトリック大聖堂、新憲法委員会議場、モネダ宮殿、そしてその文化センターです。中に入ったのはその最初と最後の二つですが、どちらも移動証明書の提示が求められました。こうして街の中心部を歩いていると人々の生活が通常化(正常化)しているのが良く分かります。


もちろん、私の生活はいつもの通りです。一人で走った10キロで今年のベストと同じ記録が出ました。週に一度の山歩きはいつもの第1展望台へ。涼しくても少し汗をかきました。
それから4月は税金の月で、税務署に家屋税所得税について質問・相談に行きました。また区役所の中高年援助課に行くと、昨年私が支払った清掃経費が戻してもらえることになりました。こうした交渉は私にとって楽しみになります。
土曜日は今年度1回目の登山教室、楽しく近くの丘に登り、遊歩道を歩きました。

いつも言っていますが、毎日幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
 ラテンアメリカカリブの自然保護条約についての話し合いがチリでありボリッチはそれに参加しました。
そして北部のラ・セレナを訪問していると、石を投げつけられました。その後のテレビの番組で、その件について、「私は国民の近くにいたい、この石投げ事件があってもそれは変わらない」としました。その犯人を裁判所に訴えたようです。
ただ、その前日に、政府の公安関係の人間が現在の犯罪状況はチリが民主化して以来最悪の事態だと発言した件について、自分たちはそういう状況で前政権から受け継いだとコメントし責任をピニェラに擦り付ける感じです。私なら、「そういう状況で引き継いだけど、それをよくしようと頑張っています」と言いますが。

今週、もっとも重要な要件は第5回の年金引き出し案の失敗です。左翼側議員から5回目の引き出し案件が出たとき、政府はそれはチリ経済に悪影響するとして拒否の態度を取りました。
しかし市民を助ける引き出し案を認めよと押されると、借金があってその支払いに困っている人には引き出しを認めるとするアイデアを出し、議会に提出しました。今週その2案が別々に議論され両方とも拒否されました。政府にとって良かったねと言うところですが、左翼側から困っている市民を助けようとしない政府は何を考えているのかと強いクレームが出て与党内部の争いです。つまり内部の違う考えをうまく統一・抑制できないボリッチの力のなさがはっきりしました。
それにも絡んで、与党内でぎくしゃくしている関係を少しでも正常化するためボリッチはキリスト教民主党DCのメンバーをモネダ宮殿に招待し話し合いました。
民主化して以来、中道左派グループの中心党だったDCが今回はほとんど蚊帳の外ですからね。DCを嫌う共産党がボリッチを動かしていますから。
その共産党の区長ハドゥエは毎週のように問題を起こしていますが、今週は彼でなく彼の弟です。ボリッチはその弟を電話関連の政府機関の幹部に任命しました。右翼からおかしな人事はやめよと抗議が出ています。最もピニェラの時にも似たような人事はありましたが。
2)新憲法委員会
9月4日の可否投票が任意でなく義務制になりました。投票に行かないと罰金がとられます。急に義務制にしたのは、投票者数が半数にもいかないと後で問題が残るからでしょうね。世論調査でその委員会の活動について評価するとしたのは1年前は71%でしたが、今月は44%。逆に同意しないは29%から56%に上がっています。
3)大蔵大臣がアメリカ訪問
現地でIMFや世銀で面談するとか。

(経済)

1)経済成長率 
IMFの予想ではチリの今年の成長率は2.1%です。少し前は2.9%だったのですが、下がりました。ラテンアメリカの平均は2.5%ですから、チリは平均にもいかないわけですね。おまけに来年の予想は0.5%と最悪です。経済不安と言うより、政治の不安定、新憲法の可否が大きく影響しているのでしょう。
2)銅価格と為替
1ポンド4.64ドルと少し下がりました。為替は1ドル817ペソとペソ安になりました。
3)就業率
コロナ問題で失業者が急増したわけですが、それが収まり、今週の発表では、就業者数はコロナ前を乗り越えたとなっています。給料はどうなったかわかりませんが。
最低賃金を大幅に上げるアイデアが国会で議論されています。

(一般)

1)コロナ問題 
もう大騒ぎは治まったかのようです。前政権の時は毎日、厚生大臣がその日の新患者数などの説明をする番組がありましたが、新政権では全くありません。
新規患者数は、少し前一日3万人にもなっていたのに、今週は3千人以下でした。もっともPCR検査数も15万人にもなっていたのが、今週は3万人位です。
2)交通事故
先週の3連休で、首都圏から30万台の車が近郊に出たようですが、その3日間の事故の結果は、交通事故数は580件、死亡者は19名。アルコールテストで捕まったのは260人でした。 
3)マプチェ問題 
火曜日、なんと1晩で4件の襲撃事件が起きました。マプチェの政治犯を釈放せよと要求する文書が置かれていました。
それが継続して、金曜日、走行しているトラックに発砲し、運転手に命中。トラックは道のわきに転倒。彼は瀕死の重傷で入院中。その銃は小さなピストルではなく軍が使うような大口径のものでした。 もう誰も安心して仕事が出来ませんね。政府はその件に関し、政府の名前で裁判所に訴えました。
、新聞の社説に、各政権で独自の政策がとられるのは当然だが、このマプチェ問題は緊急に問題の軽減・解決が求められており、それをボリッチが実行しようとしているようには見えないと書かれました。軍隊で抑えるのではなく、対話で問題縮小を図ると言うわけですが、全く進歩はありません。

(スポーツ)

1)サッカー
国内リーグ戦は首位だったコロコロは引き分け、もう一つのウニオンは明日に試合があります。
 つまり明日迄順位ははっきりしませんが、今日の段階では首位はコロコロ勝ち点21点、2位はウニオン20点、3位はクリコとニュブレンセが19点で並んでいます。
 人気のカトリカは9位、チリ大学は11位です。

2)マラソン
サンティアゴラソンの宣伝がテレビで流れています。5月8日ともうすぐです。今年は3万人が参加するとか。2年ぶりですからね。
この時期、マラソン練習をするランナーが急増するのですが、今日、仲間とマラソン練習をしているとき、他のランナーにはほとんど会いませんでした???
3万人がスターを切るのは迫力ですね。


以上

チリの風 その987 2022年4月11日―17日

イースターの祝日が入ってこの週末は3連休でした。40年前はイースターのミサに参加していましたが、カトリックの腐敗でそんな気にならなくなりました。
金曜日、サンティアゴの最高気温は16度でしたが、夜になると最低温度は5度まで下がり、今年初めて暖房を使った所が出たらしい。
今週も山歩き、マラソン練習、目の検査、娘との食事など先週と同じようなスケジュールが続きましたが、一番、面白かったのは来月帰国する友人が挨拶に訪れてきてくれたことです。
彼女は長いチリでの仕事を終え、日本での勤務になります。遠くにいて日本の良さが分かったとコメントがありました。日本でまた頑張ってほしいです。
それから日本の歴史を、侍を中心にしてまとめました。そしてそれをスペイン語にしました。嫁さんに直してもらってからそれを頭に入れます。
近くの学校で特別授業としてやらせてもらいたいです。
また近くで拾った栗を茹でて、栗ご飯にしました。おいしかったです。
いつもと同じく今週も幸せな毎日でした。

(政治)

1)ボリッチ動向
チリ大学を訪問し挨拶。また首都圏のセロ ナビア区で区民を前に私たちは社会正義のために働いていると演説しました。
来週は初めて国内訪問で、北部を訪れます。移民問題で北部地区は厳しい状況ですからね。
就任1か月が経過しましたが、彼を支持するは落ち込んで28%、不支持は上昇して51%です。前のバチェレット、ピニェラと比較すると不支持はトップ支持は最下位でした。普通、新政権が出ると、4年間の古い政権をどう変えていくか期待感が多いのですが、ボリッチの場合は全く逆ですね。
さて新聞に南のマプチェ問題をどう解決するか、軽減させるかがボリッチにとって最大・緊急の問題だろうと言うコメントがあります。
それから厚生年金の5回目引き出しに関して、政府案を出しました。今までは野党の左翼が引き出し賛成、与党の右翼が引き出し拒否でしたが、ボリッチはこの引き出しでまたインフレが拡大すると考え反対側に立ちました。しかし与党側の左翼から圧力がかかり、引き出しを認めるが、条件を付けるとしました。例えばローンなどで借金がある人には引き出しを認めるわけです。それが通るかどうかで、彼が与党内を把握しているか、全く抑える力が無いかがはっきりするとされます。
明日の月曜日に国会で議決されます。与党議員が政府と対決するなんて今まででは考えられなかったことです。明日はこれで大騒ぎになるでしょうね。
ボリビアのシララ川問題は論議継続で大きな動きはありません。
さてレコレタ区の区長ハドゥエ(先の大統領選挙の時の共産党の候補者)がべネスエラを訪問しました。マドゥロ大統領を入れた会議に出席し、ここの人権問題が国連で論議されたりするが、チリでも同じような政治犯の収容もあるわけでここだけの問題ではないなど、べネスエラ援護の発言をしました。さらに「ボリビアの軍隊を尊敬する。彼らは国を守っている。チリの場合は逆に、軍隊が国を壊している」とコメント。これはアジェンデ政権を壊した軍事革命のことを言っているわけですね。
もちろん、チリの中で彼を批判する声も大きいです。
2)内務大臣
約1週間、姿を消していた内務大臣は仕事を始めたようで、私たちは市民のために全力を尽くしますとコメントしました。新聞に彼女について、自分の能力を過大評価しているのかとするコメントがありました。また政府内で彼女と対立するグループがあるとかで、見通しは苦しいですね。
3)新憲法委員会
国会の2院制から上院を廃止することになったようです。しかし地方議会を設置するとか。
上院関係者は右翼も左翼もこの委員会案に反対です。国民のほとんどが新憲法委員会の設立に賛成しましたが、ここまできて国民の過半数が委員会を否定です。
9月4日の新憲法是非投票は揉めるでしょうね。
なんでも現行の国歌・国旗・国の紋章は変更ないとか。

(経済)

1)銅価格と為替
 1ポンド当たり4.66ドルと先週とほとんど同じ。為替は1ドル805ペソで、まずまずでした。

(一般)

1)コロナ問題
 連日、新規感染者数は3000人ほどで、陽性率も5%ほどと低め安定しています。
今週から街を歩くのにマスクが不要になりました。もう2年ほどマスクをつけて歩いていましたから、マスクなしで歩くと不思議な気がします。
ただ商店や地下鉄の中では使用の義務は残っています。
2)社会騒乱
 毎週、金曜日の夕方にサンティアゴのバケダーノ広場でデモ隊が集まりますが、今週は連休になったので、一日前の木曜日に集会がありました。
 道路のバリケードをして車の通行を止めます。近くの地下鉄の駅もそのため全部入り口が閉められ乗客の乗降はできません。
 3年前にボリッチのグループがそのデモで
 騒いでいたわけですが、新政権になっても全く様子は変わりません。デモ隊は何を要求しているのか、政府はそれにどう対応しているのか不思議です。
 全然、それには関係ありませんが、最近電線泥棒が増えています。銅の値段が上がって、電線も高く売れるとか。もちろん電線を切られると、その地区は停電になります。
3)黒崎殺人事件
 チリでも注目されていましたが、犯人とみられるセペダに28年の実刑が課せられました。
日曜日にこの件の特集記事が掲載され2ページにわたって彼の異常な性格が詳細に書かれました。
「フランスの裁判所は素晴らしい。チリの裁判所ではそんな刑を科すことはないだろう」と言うコメントが出ました。
28年、異国の刑務所に入るのは厳しいでしょうが、もちろん。彼が殺人をしたのは間違いないでしょうから、当然でしょうね。再審を要求するようですが。新しい事実がなければただ時間と金の無駄遣いになるでしょう。彼らが30時間、一緒に過ごした後に黒崎さんが歩いているのが確認されれば無罪になるでしょうが。
4)交通渋滞
 この週末は多くの車が首都圏から外に出てゆき、交通事故のあった南行きの幹線5号線は何と12時間の渋滞になったとか。運転手は動かないと言ってもぐっする眠るわけにはいきませんから、疲労の極みでしょうね。水・食料が無ければ高速道路の中では近くで買い物と言うわけには行きません。
公共事業省の大臣が高速道路を設計した時の通行量を大きく越えているから、こうした問題は頻繁に起こる。車の運行量を下げるためには市民に今よりもっとバスや汽車の利用をしていただきたいとしています。
5)乾燥
サンティアゴは今年未だ1回しか雨が降っていません。13年ぶりの異常乾燥とか。そのため一部の区で断水が始まりました。
その内、私の住むところも断水になるかも。厳しいですね。

(スポーツ)

国内リーグ戦は人気3チームの結果はコロコロは勝利、チリ大学は引き分け、カトリカは敗戦でした。
今日までの所、首位はコロコロとウニオンが同点首位カ。トリカは9位、チリ大学は11位です。
リベルタドール杯に参加の2チーム。コロコロとカトリカはどちらも勝ってグループの2位を確保しています。


以上

チリの風 その986 2022年4月4日-10日

この週末、サンティアゴの最高気温は23、24度で秋の気配です。朝早く外を走ると指先が冷たく感じます。
昨年から眼科に通っていますが、今週、指示された目の検査に行くと、係の人が日系3世でした。彼女は私にどこの出身ですかと聞いてきました。神戸と答えると、私の祖母と同じところですと大喜び。おばあちゃんは終戦後、日本では将来がないと南米を目指した移民家族の子供さんでしょう。私と違って、命を懸けた移民の旅だったでしょうね。
山歩きは、先週見つけた新しいルートを一人で歩き始めました。もうその山系は40年以上歩いていますが、まだ知らないルートが見つかるわけです。楽しい。
ラソン練習で、週日10キロを走りましたが、今年の新記録がでました。にっこり。もちろん日曜日は仲間と一緒に走りました。そのうちの一人は来月のサンティアゴラソンでフルを走るので気合が入っています。私も昔はそれに参加していたのですが。
土曜日に今年度の第1回サッカー教室がありました。大人・子供で20名弱。いつものように楽しく練習しました。
また娘の所に行って話し合いをしました。彼女の人生の新計画が楽しみです。
いつものように今週も幸せな毎日でした。

(政治)

1)ボリッチ動向
 アルゼンチン訪問
 最初は飛行場に到着した時、そして飛行機の中で記者団に囲まれ話をするのがニュースになりました。向こうについてフェルナンデス大統領と政治・経済・文化などの話し合いをしたのも大きく報道されました。現地の経営者との集まりもありました。

これが将来の両国の関係にどう影響するかな?
戻ってきてチリ社会の安定化について新政策を発表しました。
しかし彼にとって頭の痛いのは内務大臣問題です。
2)内務大臣
新内閣開始でまだ1か月もしませんが、内務大臣は3つの大問題を抱えました。マプチェ問題で、ピニェラを批判し、彼の4年間の政権で同地区の犯罪は4倍になっている。従って彼と同じような軍隊を出して力で抑えると言う方針はとらないとし、現地でマプチェと面談するとしましたが、同地区を訪問した時、銃弾で脅され、全く話し合いは無しに終わりました。そしてマプチェ問題をウオルマプとしました。それは国境を挟んでチリ・アルゼンチンに住むマプチェ族を表すので、アルゼンチンから国内干渉をしないようにと苦情が出ることになり謝りました。
最後は不法移民問題です。彼らを国外追放にした飛行機が、彼らをその国に降ろさないで(入国を禁止されたのか?)またチリまで連れて帰ったと、ピニェラ政権を批判しました。しかしそれは嘘の情報だったとバレて、謝りました。このエラーはひどいので彼女を罷免すべしとするコメントが出ています。ボリッチは帰国後、彼女と面談し、その後、彼女を支持するとしました。
隣のペルーで、内閣が頻繁に入れ替わっていますが、チリもそんなことになるのかな?
新聞の社説に、これは彼女一人の問題ではなく、たった1か月で新内閣の疲労が表立っているのではとされました。
これに関しては問題点(もしくは課題点)として先ず、大使の任命問題が出ています。ボリッチは大統領候補の時、「大使はそれまでの政治的経験を考慮して任命したい。何かの褒美でその職を与えることはしない」とコメントしていますが、先月の彼の任命した大使は、全く逆ですね。社会党共産党の関係者を大使にしています。2番目は厚生年金の引き出し。これも大きく彼の見解が変わりました。3番目はマプチェ問題。ピニェラを批判していたが、新政策を全く実施できず、問題が悪くなっています。4番目は警察軍との関係。批判と協調が入れ替わり。5番目は教育問題、そしてコロナ対策問題。
つまりピニェラ政権を批判していたのに、自分たちが政権を取っても何も新しいことを実施していないと言うわけです。
もちろん、何もできないので疲労するなら、この先、新政権への世論の批判は厳しくなりますね。
3)新憲法委員会
 3社の世論調査で、全部が9月4日の新憲法可否の投票でノーが勝つだろうと発表し、問題になっています。ラゴス元大統領は新憲法を成立させるための努力をすぐに始めるべしとしました。まだ新憲法は完成していませんが、委員会のイメージがパッとしないのは事実です。
4)厚生年金積立金の引き出し
 5回目の引き出しを国会で審議中。いつまでこんなアホなことをするのか不可解。ボリッチは議員の時は引き出しに賛成しましたが、この引き出しがあれば、チリ経済に悪影響すると、現在は反対の立場です。

(経済)

1)経済政策
政府は国民援助として下記の政策を発表しました。
チリを安定的に成長させるため、37億ドルの費用をかけ21の項目で経済発展を図るとしています。例えば、次の2年間で50万人の新規雇用を創出し失業率の低下を図る。ガソリンや灯油の値上げを抑える。反インフレとしてバスなどの公共運送費を30ペソ上げることになっていたのを政府の支出で抑え、現状価格を維持する。IFEの低賃金労働者への援助を9月まで継続するなどです。最後のIFE(緊急家族収入案の略です)はピニェラが自分の政権が終わる3月以降も継続するとしたのを余計なことだとクレームしましたが、結局はピニェラ式の継続を認めました。
2)輸出の伸び
 1-3月の輸出は249億ドルで過去8年間の最高でした。
 輸出の半分近くを占める銅の価格が急上昇ですから、輸出額が伸びるのは当然ですね。
 これは年内続きそうです。
3)物価上昇率IPC
 何と3月は1.9%の上昇で、過去12ヵ月では9.4%。これは1993年以来の28年ぶりの酷い数字。中央銀行公定歩合をさらに上げる必要があると言われています。キリスト教民主党DCは食品についている消費税を外すか、減少してほしいと政府に要求しています、
4)銅価格と為替
銅の価格はポンド当たり4.71ドルと4.7の壁を越えました。チリ政府にとって最高のニュースですね。
それでペソは対ドルで強くなるとみられましたが、消費者物価指数がひどくなったのでドルが息を吹き返し1ドル817ペソになりました。
5)果物輸出
毎年、果物の輸出量が増えています。さて先月、ウニフルッチ社がアブダビの会社に買収されました。これで大手10社のうち、半数が外国資本で動いています。一番生産量が多いのはサクランボです。昨年の国別輸出先は1位がアメリカ41%、2位が中国20%、3位はオランダ8%でした。さぁ外国資本が参入してくると言うこの傾向はこれからも続くかな?

(一般)

1)コロナ問題
 低め安定です。新規患者数は5千人を割った所で落ち着いています、今日、日曜日は新規感染者数が3,057人でした。新規陽性率も4.7%。これは94日ぶりの低い数字。そのため、患者数も減少してきて、救急病棟などの余裕もかなりはっきりしています。
来週後半から、道路・公園などでは、マスクなしに歩けることになりました。5月1日からすべての国境がオープンになります。チリ政府はコロナが終焉すると見込んでいるのですね。
本当にこのまま収まるかな?
2)マプチェ
先年、マプチェグループに焼殺されたルーシンゲル夫妻の荘園にまた火がつけられました。マプチェの組織CAMが犯行声明を出しています。
政権交代後、一向にマプチェの攻撃が収まりません。逆に過激化しているようです。過去3週間で83件の攻撃が記録されています。ビオビオ州で37件、アラウカニア州で46件です。その大半は家屋への攻撃です。昨年は1786件と対前年で46%も上昇し、過去10年間で最悪でしたが、今年はそれと同じような傾向です。
3)黒崎殺人事件
もう数年前の事ですが、日本人留学生の黒崎さんが、元恋人だったチリ人のセペダにフランスで殺されたとみられる裁判が始まりました。彼は自分は無罪、彼女を殺した事実は全くないと主張しています。でもどうしてフランスの警察は彼女の死体を発見できないのでしょうか???
4)社会騒乱
3年前の10月に社会騒乱が始まりましたが、その初期に地下鉄の駅を襲う事件が続発。駅に放火して全焼状態になった所も出ましたが、今週、その犯人に判決が出ました。12年の刑でした。政治犯ではないですから、刑務所で反省してほしいです。出てきたら、また同じようなことをするかな?

(スポーツ)

1)サッカー
国内戦は人気3チームがすべて敗戦でした???
今日の段階で1位、2位はコロコロとウニオンが同点首位、3位4位もコブレサルとニュブレンセが同点で並んでいます。
今週からチーム別の南米の最大の大会リベルタドール杯が始まりました。コロコロはブラジルの敵地で勝利、もう一つのカトリカはアルゼンチンで敗戦と分かれました。


以上

チリの風 その985 2022年3月28日―4月3日

夏時間が終わって時間の無理がなくなりました。私の一番好きな街路樹リキダンバルの紅葉が進んでいます。
今週は、いつもと違うことが二つありました。先ず、民間健康保険会社イサプレの料金が値上げされますが、それに反対する組織が運動をしています。ある弁護士グループから誘われたので、その事務所に行って話し合いをし、私も反対グループに加盟しました。弁護士の話では、ほとんど100%値上げは避けられるだろうとのこと。裁判所の判決で、現行より料金が下がる可能性もあるらしい。どうなるか楽しみです。
もう一つはチリの身分証明書カルネの更新で、市民登録事務所に行きました。外国人は5年ごとに更新ですが、今までは街の中心街の外人登録局に行きました。毎回、すぐには手配が終わらず、2,3回行かされるほどでした。それは必要書類が多く手続きが複雑だったからです。そのため列を作って待たされるました。それが今回は何と5分で完成しました。先ず入所するのに長い列がありましたが、係官に中高年ですと言うと、すぐに中に入れてくれました。そして、今までの様にいろんな書類を見せることなく即手続きが完成しました。今月末に新しいカードが入手可能とか。これは彼らの最新システムの中に必要な情報が全部用意されていると言う証拠ですね、素晴らしい。チリはこの点で進んできています。
もちろん、仲間と山歩きをしました。そしてマラソン練習も、週日に一人でちゃんと10キロ、日曜日は仲間と楽しく走っています。
新年度の学校でのサッカー教室・登山教室の準備も進んでいます。

いつものように幸せな一週間でした。

(政治)

1)ボリッチ動向
外交問題ですが、二つあります。今週からボリビアの訴えでハーグ国際法廷でシララ川問題の論議が始まりました。その川の水をチリが不正使用していると言うものです。ボリビアからチリに流れてくる川ですから。下流に位置するチリが、その水を利用するのは不正ではないと思われますが。
それから4月2日はフォークランド戦争が始まって40年の記念日でした。その時、南米全ての国がアルゼンチンを応援しましたが、チリだけイギリスの味方をしました。さてその島に現在199名のチリ人が住んでいます(人口の6%とか)。大半が、1990年以降に渡った人たちです。あんな孤島でも、楽しく住めるのですね。
今日、ボリッチがアルゼンチン訪問を始めました。5名の大臣を率いて同国に到着。明日から公式行事が始まります。
2)マプチェ問題
先日、内務大臣がアラウカニア州(第9州)を訪問し、マプチェの集落を訪問しようとした時、銃による脅しを受けました。
今週はその北のビオビオ州(第8州)のカニェテに内務次官が訪問すると、道路が封鎖されて町に入ることが出来ません。
さてそのカニェテで殺人事件がありました。元警官が殺されましたが、捕まった二人は17歳で、ものを盗もうとして襲ったとか。そんな小さな町でも、そういう殺人事件が起きるようになったのですね。悲しい。
それから、その地区で老夫婦が持つ土地に覆面部隊が来て、3週間以内にお前たちはここから出て行けと命令をしました。その様子がちゃんと録画されテレビのニュースに出ました。以前、そうして家が燃やされ老夫婦が焼死しましたが、警察は何もできないのかな?ビデオがあるから覆面をしたその男を特定して逮捕するのは可能と思いますが。
ボリッチはピニェラがやっていた軍隊を前面に出して暴力行為を抑えるのは間違いとして、1週間前に軍隊を撤退させましたが、状況は悪くなっています。こうして毎日起きる事件に打つ手はないのでしょうか。なんと土曜日に、第9州で11軒の家が燃やされ、車両も多く焼けました。マプチェのグループが犯行声明を出しています。野党だけでなく、与党からも安全対策として打つ手はないのかとボリッチ政権に反対する声が上がっています。
ここで、やっぱり軍隊が必要とすれば赤っ恥ですね。
内務大臣がその問題に関し、そこをアラウカノと言わずワォルマプとしたところ、アルゼンチンからクレームが出ました。アラウカノはチリだけですが、ワォルマプは両国に住むマプチェを意味するからとか。もちろん彼女はそんな深い意味を知らずに使ったのでしょうね。チリ側は小さな問題を大げさに言わないでほしいとコメント。どうなるかな?
3)警察長官の不正問題
裁判所に呼び出された元長官は黙秘をしたので、裁判にする価値があるかどうか調べる5日間の間、施設に収容されることになりました。裁判所に行って自分の意見を述べないと言うのはどういう考えなのでしょう。彼が有罪になって刑務所に入れば、後任者は不正をする気にならないでしょうね。

 

(経済)

1)経済見通し
中銀の発表ですが、昨年11.7%を記録した経済成長は今年は1-2%だろうとか。この2月の成長率は6.8%で、昨年平均から大きく下がってきています。
またインフレは昨年よりひどく10%が見込まれるらしい。
このため派手な消費をさせないため公定歩合を7%と2009年以来の高い数字にしました。
2023年はさらに低成長率が見込まれるが、その原因は新憲法が原因になるだろうとのこと。いやはや。確かにチリの命綱の鉱山関連事業は新憲法で国有化が可能になるとすれば、誰も投資はしませんね。
新聞の社説で、新憲法でチリの民主主義が危機に面していると書かれています。
コロナで落ち込んだ2020年から2021年は大きく取り戻したわけですが、大手679社の数字で21年は20年より売り上げが29.5%上昇し、利益は461%の大幅増になっています。さぁ2022年はどうかな?
2)株式市場
順調に伸びていき、今週は4907ポイントと2019年10月以降で初めて5000ポイントに近づくところに来ました。
3)銅価格と為替
1ポンド4.65ドルで終えました。一時4.71ドルと上昇しましたが、残念、最後は普通のレベルでした。為替は
1ドル787ペソとペソ高になっています。

(一般)

1)コロナ問題 
 現政権のコロナ対策がはっきりしないと言われ始めました。
 土曜日の新規感染者数は4823人で82日ぶりの低い数字。陽性率は6.6%でした。このまま治まって行くのかな?
2)青年闘士の日
これは37年前、軍事政権時に反政府運動家が殺された事件を記念する運動ですが、毎年デモ隊と警察が激しくぶつかります。
今年もそれで55名の逮捕者が出ました。警察官の負傷も記録されています。
先週、警官が発砲してデモ隊員が負傷した事件で、内務大臣は警察軍を批判しましたが、その警官はデモ隊から暴行を受けているビデオが出ると、彼女は一変して、私たちは警察の横にいて、警察の活動を応援したいとしました。このコメントに対し共産党の区長が、警官を応援するなんて、右翼的だなとクレーム。いやはやですね。
新聞の風刺漫画に内務大臣が出ました。制服交換として、白い医者の服の下に警官のユニフォームでした。彼女は内務大臣になる前は医師協会の会長でしたから。笑ってしまいますね。
この件に関し、新聞の社説で「内務大臣もやっと社会の秩序の維持が大事だと理解したのだろう」と書かれました。3年前の社会騒乱の時、ボリッチのグループは反政府としてデモをしていたのですが。
土曜日の11軒の家の放火事件で政府は現地警察に面談を申し入れました。
警察軍の新長官が、「こうした暴力事件に私たちは何も手を打てないと言われるのは同意出来かねるし、犯罪グループを抑えようとすると人権問題と言われるのもどうも」とコメントしています。
3)不法占拠
全国345の市町村の内、3分の1の地区で空き地を使った不法占拠が行われています。そこに掘っ立て小屋を建て、生活するわけです。最近の厚生年金の引き出しで入手した金で材料を買って小屋を作ったと言う話も出ています。都内のセリジョスではもう1万人が住んでおり、都内最大の不法占拠地区になっています。ボリッチはどんな手を打つのかな?

(スポーツ)

1)サッカー
ワールドカップの南米予選の最終戦が行われ、チリはホームでウルグアイと対戦し、0対2で惨敗。南米で10チーム中7位で全試合を終えました。これで2回連続、ワールドカップに参加できません。チリ代表チームの監督は交替になります。
FIFAのランキングで、毎回の様にランクを下げ、今は28位になっています。一桁だった時期が懐かしいですね。
国内リーグ戦は宿敵のカトリカ対チリ大学が行われ、最近、連敗しているカトリカが勝ちました。
順位は1位はコロコロ、2位はコブレサル、3位はニュブレンセです。
カトリカは7位、チリ大学は9位です。


以上

チリの風 その984 2022年3月21日ー27日

秋になってきました。朝、散歩に出ると寒いほどで、今まで日陰を捜して歩いていたのに、今では太陽の当たっているところを歩いています。
交通渋滞がひどいです。特に朝ですが、私の住居の窓から外の交差点を見ていると車があふれています。
今は7時半ころまで暗いですが、冬時間になると6時半から明るくなるわけで、それが待ち遠しいです。
今週はインフルエンザの予防注射を打ちました。その接種場所は以前、コロナワクチンの3回目の接種をした公園です。
その時は3時間も待たされましたが、今回はほとんど誰もいませんでした。副作用もなくバッチリ。さぁ、この冬は風邪もひかないかな?そこから区役所の無料周回バスで家に戻ってきました。チリも国民にいろいろサービスをしています。
土曜日は登山教室。今回はいつもと違って隣の山岳公園で川めぐりコースを歩きました。山岳公園の入山者が溢れるほどでしたが、それはコロナ問題が少なくなっているからでしょう。
私たちのグループは12名の参加者でしたが、つり橋が一人ずつしか渡れないので、そこはすごい混みようでした。
日曜日はマラソン練習、いつもの通りです。こうして毎日、充実した生活を送れるのが幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
 二つの世論調査で政権1週間の彼を支持するは50%、47%でした。ほとんど同じ数字ですね。
 私の考えでは今週の彼の行動で一番目立つのは大使任命です。その中で目立つのが二人います。一人はこの大統領選挙で社会党から出た女性で、彼女をチリの国連大使に任命。これは社会党にごまをすったのかな?
もう一人は共産党員で労働者連合の会長をしていたフィゲロアで、彼女をアルゼンチン大使にしました。フィゲロアは昔、国会の後ろの席で議事を見学しているとき、大蔵大臣を糾弾しはじめ、係員の阻止を無視して怒声を上げ続けたので実力排除されました。その時、ボリッチは彼女の近くにいました。

それから彼は空軍設立92周年記念日のパレードに参加しました。大統領になる前は、こんな行事は不要だと思っていたのでしょうが、今は大統領になったので、それに出席しました。

国会で各自が積み立てた厚生年金の5回目の引き出し案が討議されています。ボリッチはそれに反対していますが、左翼グループの多くが賛成し、成立を図っています。共産党の区長が、少し前まで野党グループが総力を挙げて国民のために闘ってきたのに、どうして新政権は違った見解を取るのだとクレームしています。
国民が自分の積み立てた年金基礎を引き出せば、年金をもらう年齢になった時、その額が激減するのは当然で、それを国民のために戦っているとする与党グループ(先月までの野党グループ)の考えは異常です。

こうしたことからボリッチは仲間に呼びかけました。与党として統一戦線を組もうということです。今までの中道左翼政権はキリスト教民主党DC、社会党PS、そこから分かれたPPDが3大政党でした。今回はその時期は見下されていた新左翼共産党が主力で、今までの政権と大きく変わっています。それを旧主力と新主力とすると、まるで仲間と言うより敵対グループのようになるわけです。新聞の特集でその中で特に社会党共産党の意見の違いが大きいとされています。
もっとも新主力の中も新左翼共産党は対立していますが。
ボリッチの呼びかけが成功するか、全く役に立たないかの二つの可能性があります。
2)新憲法委員会 
期間内に新憲法案は出来上がらないと、3か月期間を延長し、7月5日に成立することになりました。
もう最近同じことが言われますが、この新憲法は一般チリ人が納得するものではないだろう、つまりそのれを認定するかどうかの国民投票で拒否されるだろうと言われています。今の中央政権制を変えて、アメリカ合衆国の様に各州に自治を任せると言う意見もあるとか。新憲法の是非に一部づつ投票するわけではないから、全体として認めるとするのは大きな一歩を踏み出すことになりますね。
それを嫌がって拒否をすれば、ボリッチが心配するようにまた社会騒乱が再発しそうです。
3)元アントファガスタ市長の海外逃亡
汚職の罪で有罪になり、5年間の服役が決まった元市長が、刑務所に入る替わりに欧州に逃げました。2,3週間、欧州で滞在するならわかりますが、そこで住み始めれば、国際警察の手が入るのは当然で、海外逃亡したその人の考えが良く分かりません。欧州から強制送還されてチリに戻って来た時、どんなコメントをするのかな?

(経済)

1)新政権の経済政策
 厚生年金の5回目の引き出しや、ウクラニア問題を前にしながら、今年も高い経済成長を目指すとすることは極めて困難と思われますが、ボリッチ政権は国民に、もしくは支持者に夢を与えるのを当面の目標にするようです。
それに関してすぐにばけの皮が剥がれるコメントより真実を説明する方が良いのではと新聞に書かれました。
2)ガソリン・灯油価格の安定化
 チリではMEPCOと言うシステムがあり、毎日の価格の上昇の割合が決まっています。下降の場合も同じです。
 それを超えた数字を市場が要求すれば、時間をかけてその価格にするわけです。
 その基礎に政府が資本を注入し、一層の安定化をもくろむことになりました。
 ガソリンだけでなく、冬になって一般家庭が必要とする灯油にもそれを運用します。

3)銅価格と為替
 銅は1ポンド4.66ドルと先週より少し上がりました。そのため為替はペソが強くなり、1ドル790ペソでした。
 しかしこうして銅価格が高値安定しているのはチリにとって最高のニュースですね。ボリッチ応援のようです。
4)株式市場 チリの株式市場が世界1位の上昇です。
 誰も理解できません。ロシアのウクラニア侵入以降、チリの株式市場は13%の上昇を記録し、それは世界1位だとか。
 どうしてかな?

(一般)

1)コロナ問題
 今週の新規患者数は8000人前後で。先週より少なくなっています。そして陽性率も下がって10%以下が多いです。
陽性者数は一時は10万人を超えていましたが、今週は35000人とかなり下がってきています。病床もかなり余裕が出てきたとか。
 このまま収まるかな????
  
2)武器の盗難
 信じられないことが起きました。軍が保存している銃が何十丁と盗まれました。銃を積んだ車が軍の施設を抜け出すのにチェックは無いのでしょうか。まさか、軍の車で運び出されたのかな?
一般人が一人逮捕されましたが、良く分かりません。軍の誰かが関連しているのは間違いないでしょうね。
しかしそんな犯罪では、遅かれ早かれ関係者は全員逮捕されると、犯人グループは思わないのかな?

3)学生デモ
金曜日、全国各地で学生デモがあり、奨学金がこの10年間、全く増額されていないとクレームしました。
昔、そのデモ隊のリーダーをしていたのが今の大統領です。そのデモ隊に覆面をしたグループが加わり、騒動を起こし始めました。それを抑えるため警官が、放水車などを使いましたが、一部で発砲もあったとかで、その弾丸でデモ隊の一人が負傷しました。3年前から全く変わっていませんね。
政府は、これを重大事件とし警察軍に調査を指示しました。警察と政府の対立が始まるかな?右翼の議員は、この事件で逮捕者数と警官の負傷者数がほとんど同じと言うことは、デモ隊が警察軍に攻撃をかけていたことは自明で、警官が自衛処置として銃を使用したのは認められると政府を批判しました。
それから先週もありましたが、女子学生が校内での性的事件を訴えていますが、今年に入って現在まで48の訴えが文部省に入っています。
4)マプチェ問題
ボリッチ新政権の目玉になるかと思われましたが、マプチェ問題は全く進展していません。
数年前に、住居に火をつけ、中にいた老夫婦が焼死した事件で服役していた二人のマプチェが、刑務所内でハンガーストライキをして、政治犯として釈放せよと要求しました。裁判所は、彼らの刑の一部を軽くして、今日から日曜日に外出できるようにしました。もちろん、この処置に反対する声も大きくなっています。
マプチェのグループで最も暴力的な組織のCAMは政府との対話をするつもりはないらしい。政府のコメント・現地訪問で関係が良くなるとか、問題の軽減が図れる可能性はないとされています。
マプチェが麻薬と深く関係し、反政府のための闘争の経済基盤を手にしたことも問題の深刻化を大きくしているとか。
つまり近い将来に何かが良くなる可能性はほとんどないらしい。

(スポーツ)

1)サッカー
 今回、ワールドカップの南米予選の最終2試合があります。その最初の試合が今週有りました。
 チリは敵地でブラジルと対決し、0対4で惨敗しました。
 私は負けると思っていましたから、その通りでした。
 昔は、こうした試合を気合を入れてみました。
 チリのゴールが決まると、窓を開けて、通行中の人にも喜びをわけるため、大声で「ゴー―――ル」と叫んでいました。上層階の人から「うるさい、中国人」と言われたこともあります。
 今は全くそんな気になりません。
 最終戦は来週、チリで対ウルグアイ戦です。チリがアメリカ杯で優勝していた時、どの国と対戦しても勝ちそうだった事が懐かしいです。今はどこと試合をしても負けそうです。
国内リーグ戦ですが、1試合残っていた試合が行われ、そのけ結果、7試合が終わった段階で、首位はコブレサル、ついでコロコロ。3位はニュブレンセです。人気のチリ大学は8位、カトリカは9位と振るいません。

以上

チリの風 その983 2022年3月14日―20日

最高気温が30度の日が続いていたサンティアゴですが、立秋の日、日曜日は曇って涼しかったです。
さて今週も忙しく毎日を楽しみました。
一番、緊張したのは金曜日で、午前中、不動産屋に付き添われて中高年女性がここに来ました。
彼女はここの近くの一軒家に住んでいますが、ご主人がなくなったのでそこを出てマンションに住みたくなったとか。最後にここが気に入ったとコメントしました。
午後は仲間に頼まれたマプチェの講義をしました。質疑応答も入れて1時間半ほど話しました。
先月はパタゴニア、今月はマプチェの話をしましたが、この調子だと南部移住の夢が実現すれば、現地のチリの学校で日本の歴史や文化の話をすることになるのでしょうか?
さて木曜日の山歩きは仲間と第1展望台の上に位置するサボテン公園へ行きました。そこのサボテンに寄生植物が赤い花を咲かせているのを見ました。
それから一人で郊外のマイポ峡谷にいって散歩しました。そこまで地下鉄とバスを乗り継いで片道2時間です。
久しぶりに娘が来て夕食を一緒にしました。彼女の毎日の生活の様子を聞きました。
土曜日は久しぶりの日本人学校のサッカー教室。20名ほどの参加者で楽しく練習しました。
ラソンは、先週の事故の後、また10キロを走れるようになりました。日曜日のマラソン練習はいつもの通り、仲間と楽しく走りました。

私は幸運です。

(政治)

1)ボリッチ動向
大統領に就任して1週間がたちました。
いろんなことがありましたが、やっぱりマプチェ問題が最大の話題でしょうね。内務大臣は即時、その第9州アラウカニアに飛び、マプチェ側の組織とその被害を受けた側の両方に面談しようとしました。ところが、現地に着いてすぐに、彼女の近くで銃弾が飛び回り、予定を中止しました。(その内務大臣は出張から帰ってPCR検査をしたところ陽性でした???)
マプチェ側は政府は右でも左でも同じだ。自分たちの土地に無断で侵入し、武器を使ってそこを取り上げた凶悪政府の後継者だとするのでしょうね。歴史的にはそれは真実です。
しかし現実的にはそうした動きでは同州の発展はなく、これからも苦しい生活が続くと言うことを考えた方が良いと思うのですが、どうでしょう。新憲法委員会で同州の自治州化が出されています。

外遊
ボリッチの最初の外遊は4月の初めにアルゼンチンに決定です。
先週の就任式で同国の大統領がボリッチにすり寄りましたね。

憲法委員会
ボリッチはこの件で、新憲法国民投票で否決されれば、また社会騒乱が起きるのではないかと心配するとしました。
共産党はこの件に関し、政府は中道ではなく、新憲法制定に向けて動くべきだと警告しています。
もっとも政権内で新左翼と旧左翼の混乱・対立がいつも噂されています。

大統領の恩赦
この前の社会騒乱で逮捕された犯人を釈放する動きがあります。
私にすれば放火・略奪事件の犯人は政治犯ではないですが、ボリッチにすれば昔の仲間と言う感じかもしれません。
選挙前からそれを公約していたボリッチはその中の183人に関し、ピニェラ政府が国として裁判所に訴えていたのを取り消しました。
その一人は火炎爆弾を投げていました。私の想像では、彼はそれが人生の楽しみで、デモがあれば必ず爆弾を持って参加し、それが燃え上がるのを見ると、にっこり笑って家に戻っていたのでしょう。有罪ではないですか?

環境保全エスカス
ボリッチは公約通りその条約にサインをしました。それはラテンアメリカ・カリブの諸国が環境保全で同調しようとする条約ですが、ピニェラはサインするのをためらっていました。既に24か国がサインしています。
これが通ると大気汚染問題などに手を入れやすくなりますね。この条約は国会に送られました。

首都圏の水不足
ボリッチは水不足から断水が起きる可能性があると警告しました。新聞に、区によって各自の水の消費量が大きく異なると発表されました。一日・一人当たりの水の消費が多いのはピルケが211リットル。バルネチェア198リットル。逆に少ないのはエル・タボで25リットル、エル・キスコ26リットルです。大変な差がありますね。その理由は説明されていません。私の住んでいるラスコンデスは87リットルでした。それほどひどくなないですね。

警察首脳の不正問題
陸軍の場合と同じですが、不正問題は継続です。どうしてそういう組織を改善できないのですか?
内部の監査組織を見直すとか、不正事件のトップを重罪にするとか、ボリッチには手を打ってもらいたいです。
 

(経済)

1)経済成長率
 昨年のチリの成長率は11.7%で、なんと世界4位の高さ。(1位はパナマの18%でした)
 コロナで落ち込んだ2010年のマイナスを取り戻しました。個人消費・新規投資・貯蓄増加とかがプラスになっています。
 ただ今年はそれには遠い、低い数字が予想されています。

2)銅価格と為替
1ポンド4.65ドルと先週より少し上がりました。為替は1ドル798ペソとペソが少し強くなっています。
2020年に2.1ドル程まで落ち込んでいますから、同じ量の生産で2倍以上の収入ですね。
チリの国営銅公社は国庫に大きな額を毎年納入しています。その2020年は12.9億ドルでしたが、昨年は何と55億ドルと急上昇。それが今年もまだ上がるかもしれませんね。

(一般)

1)コロナ問題
新規患者数は連日1万人以上、陽性率は15%ほどと悪い数字が継続ですが、もう病気の件は話題にならなくなっています。
確かに緊急病棟が足りないと言うことはないようです。自宅待機令などの規制は首都圏ではありません。

2)ロラパロサ音楽祭
もうコロナ問題は終わったのでしょうか、この週末、久しぶりの音楽祭が都内で開催され、毎日7万5千人の観衆が集まりました。
全く距離を置かないで、マスクもしないで満員の観衆が音楽を楽しんでいました。大丈夫かな?

3)女子学生デモ
学校内で暴力行為、性的いじめなどが止まらないと女子学生の抗議デモがありました。
ボリッチはどんな手を打つのかな?
4)夏時間の終わり
来月、4月2日の土曜日から、夏時間が終わり、自然時間に戻ります。つまり朝は1時間、太陽が出るのが遅くなり夕方は1時間、夜の来るのが遅くなるわけです。
5)山火事
パタゴニアの中心のフエゴ島の山火事は1か月以上燃え続き、1300ヘクタールを焼きましたが、今週やっと鎮火したらしい。良かった、しかしいつまた山火事が起きるか分かりませんね。

(スポーツ)

1)サッカー
国内リーグ戦の結果ですが、人気3チームの成績はコロコロは勝利、チリ大学は引き分け、カトリカはまた負けて4連敗。
順位は首位はコブレサル、2位はコロコロ、3位はニュブレンセでした。ただ3位のチームは明日に試合があるので、それに勝てば1位になります。
1部リーグ16チームの中でカトリカは7位、チリ大学は10位と振るいません。
もうすぐ、ワールドカップの南米予選の最終戦があります。どうなるかな?
ワールドカップの南米予選の最終戦が近づいています。あまり期待できませんが、対ブラジル。ウルグアイに勝てば本大会に出られるようです。


以上